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ドリトル先生 [読書]

「ドリトル先生」って、今ブームなんですか?
見てないけど、テレビドラマのタイトルにもなってるし、雑誌「考える人」では特集組んでるし。

読んだのはもうはるか昔の小学生の頃だった。
親と本屋に行って好きなのを買って上げると言われて、何となく、たぶん表紙の絵に惹かれて選んだのが「ドリトル先生航海記」だった。
動物とお話ができる、ユニークで優しいお医者さん、というのは子供にはとても魅力的で、何度も繰り返して読んだっけ。
でもドリトル先生はシリーズで他にもたくさん本があることには気づかないまま年月はたち、特別動物好きと言うほどでもなかったので、大人になってからまた読もうという気もなかった。

でも「考える人」の特集を読んでいたら、なんだか猛烈に読みたくなってきた。
だって知らなかったことがいっぱい。
日本語訳はかの井伏鱒二。へえ、そうだったの?
ドリトル先生はオリジナルでは”Dr.Dolittle" つまり、do little 役に立たない人。
頭が二つついてる不思議な動物「オシツオサレツ」は ”Pushmi-Pullyu" すなわち ”push me pull you”。
井伏鱒二って、翻訳というか意訳の天才!?と思ってしまうような絶妙な命名。

これはもう一度読み返してみなくては。それもできれば原書と比較しながら。(それは、無理か)
でも図書館では子供向けの書架かな?


ドリトル先生航海記 (岩波少年文庫 (022))

ドリトル先生航海記 (岩波少年文庫 (022))

  • 作者: ヒュー・ロフティング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/06/16
  • メディア: 単行本





考える人 2010年 11月号 [雑誌]

考える人 2010年 11月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/10/04
  • メディア: 雑誌



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松浦侯 [読書]

先日歌舞伎座で「松浦の太鼓」という演目をみてきたのですが、その後、前にご紹介した雑誌「考える人」をパラパラとめくっていましたところ山内昌之さんという東大の先生の記事に「甲子夜話(かっしやわ)」と言う江戸時代末期に書かれた随筆のことが書いてありました。

無知な私は題名すら初めて聞いたのですが、正続それぞれ百巻、三編七十八巻という大部のこの本の作者が松浦静山と言って、幕末の肥前平戸藩の藩主だった人なんですね。そしてその静山の五代前の藩主が、そうあのお芝居の松浦侯、松浦鎮信(しずのぶ)だったのです。

へっ!?実在の人物だったの?知らなかったわ~。
もちろん、お芝居の話はでっち上げでしょうけど、Wikipediaで調べてみたら山鹿流を学んだのもどうやら本当らしく、茶人としても有名な(鎮信流というのがいまでもあるそうな)文化人だったそうで。
鎮信と言い、静山と言い、平戸のお殿様は文化教養のある人が多かったんでしょうか。
ちなみにお芝居では「まつうら」ですが本当は「まつら」と読むのが正しいそうです。
なんだかひょんなところでお芝居と現実がつながって、ちょっと楽しい気分になりました。
いわゆるシンクロニシティって奴でしょうか。

「甲子夜話」は山内先生お気に入りの本だそうで、面白そうなのでいつか読んでみたくなりました。
東洋文庫で出てたみたいなんですが、現代語訳じゃないと私には無理だな~。

甲子夜話 1 (東洋文庫 306)

甲子夜話 1 (東洋文庫 306)

  • 作者: 松浦 静山
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1977/04
  • メディア: 新書



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ハロウィンで思い出す [読書]

ハロウィンなんて、私が子供の頃は聞いたこともなかったなあ。
この頃は日本ではもっぱらお菓子業界が中心になって盛り上げている感じだけれど、「イベント」として定着してる様子でもない。
子供が仮装して「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」なんて言って回る光景に出くわしたこともないし。

私が「ハロウィン」というのを初めて知ったのは、内田善美の漫画ででした。
どの作品だったか覚えてないけど、内田さんはハロウィンがお好きだったようで、いろんな作品の中で触れられていた記憶があります。
「万聖節」という言葉も内田さんで知りました。

ひところ、内田さんの漫画が大好きで、単行本はほとんど全部持っていたはずなんだけど、いつの間にかなくなってしまって今は数冊しか手元にないわ。
時々ふっと読みたくなるのだけど。


星の時計のLiddell (3)

星の時計のLiddell (3)

  • 作者: 内田 善美
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1986/10
  • メディア: 単行本


今も持っているうちの一つがこれ。あ、ハロウィンはこれには出てきません。
20年以上前の作品だけど、壮大なテーマで少女漫画の枠をはるかに越えてる。この後数年で内田さんは漫画を描くのを止めてしまったようなんだけど、この作品で精力使い果たしたのかなあ、なんてその頃は思いましたがどうなんでしょうね。今はどうしてるのかなあ。

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両性具有と言えば [読書]



本当にこういう人がいるんですね。びっくりです。
両性具有なんて、SFか漫画の世界の話だとばっかり思っていました。
確率的に何人に一人いるんだろう?

両性具有と聞いていちばんに思い出すのはこれ。

11人いる! (小学館文庫)

11人いる! (小学館文庫)

  • 作者: 萩尾 望都
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1994/11
  • メディア: 文庫



中心人物のフロルがそうでした。でもこの漫画の話では、フロルは大人になるときにどっちになるか選ぶんだったけど。
昔単行本を持ってたんだけど、どっかいっちゃったなあ。懐かしいわ。
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本?漫画? この頃の読書から [読書]


本漫画

本漫画

  • 作者: 和田 誠
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2009/01/24
  • メディア: 単行本


和田誠さんの絵は、ユーモアがあって暖かくて好きですね~。
この本は、毎日新聞の書評欄に連載されていた一コマ漫画集。どれも読書をテーマに、一ひねりしてあったり、ほのぼのしたり、ニンマリしたり、楽しい絵ばかり。


未見坂

未見坂

  • 作者: 堀江 敏幸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/10
  • メディア: 単行本


前の「雪沼とその周辺」の続きのような雰囲気の、連作短編集。ほんのり暖かく、でもちょっと哀しい、どこにでもいそうな人たちの日常の、ふとした出来事。この本では、子供が多く出てくるのが特徴かな。ちょっと寂しい子供達を見つめる作者の眼差しが優しい。


見知らぬ場所 (新潮クレスト・ブックス)

見知らぬ場所 (新潮クレスト・ブックス)

  • 作者: ジュンパ ラヒリ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 単行本


「停電の夜」「その名にちなんで」に続く最新刊。アメリカに暮らすインド系移民の生活を描く点で変わりはない。その特異さを強調するわけでなく、むしろ淡々と描く生活ぶりに、インド人の強さやしたたかさを感じる。


光の指で触れよ

光の指で触れよ

  • 作者: 池澤 夏樹
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 単行本


「素晴らしい新世界」で描かれた一種理想的な家族が危機に陥ってしまう冒頭から、一体どうしちゃったんだろう、とハラハラするけれど、社会と個人の新しいつながり方をそれぞれに模索していく夫婦が、最後は同じところに緩やかに着地する様子が、読者に希望を与えてくれる池澤さんらしい小説。


仏果を得ず

仏果を得ず

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2007/11
  • メディア: 単行本


文楽好きとしては、一種のバック・ステージもののようにも読め、また有名な文楽作品の解説としても読める。小説として優れているかはわからないけど、登場する大夫や三味線弾きなどのモデルはあの人かしらん、などと思わず想像しながら読むと滅茶苦茶楽しい。

アフリカの日々/やし酒飲み(世界文学全集1-8) (世界文学全集 1-8)

アフリカの日々/やし酒飲み(世界文学全集1-8) (世界文学全集 1-8)

  • 作者: イサク・ディネセン
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2008/06/11
  • メディア: ハードカバー


確か昔メリル・ストリーブとロバート・レッドフォードの主演で映画化された「愛と哀しみの果て」の原作なんだけど、映画は二人のロマンスに的を絞った感じなのに対し、原作はもっと主人公(作者本人)とアフリカの自然や現地の人々との関わりを中心としていて、特に現地の使用人らに対する作者の態度に見下した様子がなく、彼らの尊厳を認めている様子なのが当時(20世紀初頭)としては珍しい気がして面白い。雄大なアフリカの自然の描写も素晴らしく、いつかアフリカに行ってみたいなあ、という気がした。


食堂かたつむり

食堂かたつむり

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 単行本


浜田省吾ファンには、Fairlifeの春蘭さんとして知られる人の小説。正直言うと、話ができすぎていて小説としていい作品だとは思わなかったけれど、出てくるお料理は本当に美味しそうで、こんなレストランがほんとにあったら一度行ってみたいなあ、とは思いました。春蘭さんは実際にお料理が得意なんですよね。
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しめこのうさうさ [読書]

去年の五月、演舞場で吉右衛門の「法界坊」を観たとき、法界坊はじめ数人の登場人物が次々に「しめこのうさうさ」とちょっと節をつけて楽しそうに言う場面があって、面白くて耳についたのだが、初めて聞く言葉だったので意味が分からなかった。すぐに調べればいいものをそのままほったらかしにしてあったのだが、先日ひょんなところで発見。


文学鶴亀

文学鶴亀

  • 作者: 武藤 康史
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2008/02
  • メディア: 単行本


この本の中で、「しめこのうさぎ」の解説が載っていて、「兎を締める」から「しめた!」(うまくいった)が地口化したもの、「しめこのうさうさ」とも言う、と氷解した。う~ん、為になる本だ。
芝居中の使われ方からもそんな感じかな、とは思っていたが、昔は普通に使われていたらしい。でも今こんな言葉言う人はいないかな。今度会社で使ってみようかしらん。すっごい怪しい人と思われるかも(笑)。

ところで話は違うが、ブログパーツの「gremz」の登録数が1万人突破だそうです。何となく貼ってみたが、やっぱり成長ぶりが気になる~。早く大きくなって植林できるといいけど、いつのことやらです。
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この頃の読書 [読書]

久しぶりの読書の記事を。

近頃、古典の新訳ブームとかでいろいろ話題になってますが、私も元々日本人作家のより、外国の小説の方が好きなこともあり、いくつか続けて読んでいます。

村上春樹訳のチャンドラー「ロング・グッドバイ」
同じく村上訳フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」
亀山郁夫訳ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」
野崎歓訳スタンダール「赤と黒」

どれもすごく面白いです。
もっとも「カラマーゾフ」なんて、通勤電車の中だけで読んでたら、2ヶ月くらいかかっちゃたけど。
問題はですね。
「ギャツビー」以外は全部若い頃に読んだことがある。いや、読んだはず。
なのに、全然覚えてない!
「カラマーゾフ」はさすがにインパクトが強かったのか、多少覚えていたけど、「ロング・グッドバイ(長いお別れ)」なんて、ミステリーなのに真犯人を覚えていなかった!
ま、おかげで面白く読めたけど、さすがにこの記憶力のなさはやばいんじゃないかと思う今日この頃です。

とは言え、再読に耐える古典の力ってやっぱりすごいな~、と素直に思います。
村上春樹は他にもまだ新訳を出すようなので、ちょっと追っかけてしまおうかと思っています。村上さんって、文章は好きなんだけど、小説は荒唐無稽でついていけないのよね。

ロング・グッドバイ

ロング・グッドバイ

  • 作者: レイモンド・チャンドラー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/03/08
  • メディア: 単行本




グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

  • 作者: スコット フィッツジェラルド
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 単行本

フィッツジェラルドは、「バビロンに帰る」のような短編集の方がひねりが効いていて好き。


カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ドストエフスキー
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫


いろんな人が言っているように、ほんとにすらすら読める訳文。ただ欲を言えば、すらすら読めるが故に、例えば「大審問官」のところなど、前に読んだときは解りにくくて読んでは前に戻りしつつ読んだ記憶があるが、それがないために読み飛ばしてしまう危険があるかも。確か前は何ヶ所かで感動して泣いたけど、今回は泣かなかった。単に歳のせいだろうか。
亀山氏は今度は「罪と罰」を翻訳中とか。これも楽しみ。


赤と黒 (上) (光文社古典新訳文庫 Aス 1-1)

赤と黒 (上) (光文社古典新訳文庫 Aス 1-1)

  • 作者: スタンダール
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/09/06
  • メディア: 文庫


これこそ、主人公の名前以外何も覚えていなかった。ほんとに読んだことあったのか?
初めは主人公のジュリアンが鼻持ちならない気がしたのに、だんだんそうでなくなって、最後に牢獄に入ったあたりでは気高くて愛おしく感じられた。スタンダールってすごい。
先月だったか、亀山氏と野崎氏のトークセッションがあって、新聞紙上に内容が載っていたが、ドストエフスキーはおそらく「赤と黒」を読んでいただろうと。言われてみればクライマックスの裁判のシーンなど、影響も感じられて面白い。


犯人に告ぐ

犯人に告ぐ

  • 作者: 雫井 脩介
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2004/07
  • メディア: 単行本

映画化もされたベスト・セラー。確かに面白かったが、主人公を含め登場人物が類型的。肝心の犯人探しも偶然任せっぽくてイマイチ。

続巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

続巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2003/08/26
  • メディア: 新書

正編と同じく奇想天外な仕掛けで悪と対決する一味の活躍を描くが、この続編では登場人物の来歴が色濃く影を落とす、ある意味スピンオフとも言える内容なので、正編ほど手放しで面白く読めない嫌いがある。終わりも暗くて、救われない感じなので、読後感としてはあまりよくない。

いのちのパレード

いのちのパレード

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2007/12/14
  • メディア: 単行本

レイ・ブラッドベリを思わせる、日常に潜む異世界、と言う感じ。ちょっと怖いもの、ユーモラスなものなどいろいろ。


バン・マリーへの手紙

バン・マリーへの手紙

  • 作者: 堀江 敏幸
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 単行本

エッセイのような小説のような、不思議な味わいなのは、いつもの堀江ワールド。何かを声高に言うわけでもないのに、じんわり心に染みてくる堀江さんの文章が好き。

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最近読んだ本から [読書]

歓喜する円空

歓喜する円空

  • 作者: 梅原 猛
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/10/28
  • メディア: 単行本


昨年「仏像展」で円空の仏像をまとめて観て以来、ちょっと気になっていた円空の生涯をたどった本。でも梅原さんの本らしく、ただの伝記ではなくて、仏教の知識があまりない私にはいささか難しかった。円空入門編とは言えない。とは言え、作品の写真も多く、円空への理解が多少は深まったか。

円朝芝居噺 夫婦幽霊

円朝芝居噺 夫婦幽霊

  • 作者: 辻原 登, 菊地 信義
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/03/21
  • メディア: 単行本


円朝の落語といえば、「文七元結」などで歌舞伎ファンにもおなじみ。その円朝の未発表作が発見された!? 虚実ないまぜの、でも円朝なら書きそうな、と思ったり。

きみのためのバラ

きみのためのバラ

  • 作者: 池澤 夏樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/04
  • メディア: 単行本


池澤さんの文章には、適度な緊張感があって好き。短編では特に。

巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2002/02
  • メディア: 新書


京極さんのスト-リーテラーとしての才能はすごい。これも、昔から伝わる怪談を「仕掛け人」みたいな仕事に結びつけていく腕前に脱帽。

ロング・グッドバイ

ロング・グッドバイ

  • 作者: レイモンド・チャンドラー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/03/08
  • メディア: 単行本


村上春樹の小説、特に長編は、プロットに付いていけなくて好きになれない。「海辺のカフカ」なんて、どこが面白いんだろう、と思ってしまった。だけど、彼の文体は好きなんだな~。というわけで、彼の小説より翻訳の仕事の方が気に入っている。

芝居譚

芝居譚

  • 作者: 片岡 仁左衛門
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1992/10
  • メディア: -


当代のお父さん、十三代目の芸談。生の舞台は数回しか観られなかったけれど、ほんとに立派な役者さんだった。壮年の頃の舞台を拝見したかった、と思わせる芸談。

風の墓碑銘

風の墓碑銘

  • 作者: 乃南 アサ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/08/30
  • メディア: 単行本


久々にコンビ復活の主人公の女刑事音道貴子と中年刑事滝沢保の、相変わらずぎくしゃくした、しかし昔よりお互いを認めあってもいるような微妙な関係が可笑しい。


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最近読んだ本 [読書]

天切り松 闇がたり〈第3巻〉初湯千両

天切り松 闇がたり〈第3巻〉初湯千両

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/02
  • メディア: 単行本


何年か前、勘九郎主演でやっていたテレビドラマの原作シリーズ。とっても粋で、ほろりとさせるツボが上手く押さえられてる。一気に全作読んでしまうのがもったいなくて、ちびちび読んでます。

街道をゆく〈29〉秋田・飛騨紀行

街道をゆく〈29〉秋田・飛騨紀行

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 1987/09
  • メディア: 単行本


時々、無性に司馬さんの文章が読みたくなる。でも小説は長いし、時事批評的なエッセイはちょっとしんどい、という時に最適なのがこのシリーズ。これもいつかは全巻制覇を目指しているけど、まだまだ先は長い。「秋田」を選んだのは近々ちょっと行く予定があるので。

松緑芸話

松緑芸話

  • 作者: 尾上 松緑
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1989/05
  • メディア: -


いまさら、という気もしないではない(笑)。そう言えばまだ読んでなかったわ、と。
芸談はもちろんだが、お兄さんたち(十一代目團十郎と白鸚)や師匠の六代目菊五郎の思い出話が興味深かった。

風の影〈上〉

風の影〈上〉

  • 作者: カルロス・ルイス サフォン
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 文庫


風の影〈下〉

風の影〈下〉

  • 作者: カルロス・ルイス サフォン
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 文庫


ベスト・セラーになっているだけあって、面白かった!ミステリ-だが、主人公の少年の成長の物語でもある。登場人物が皆個性的で、一気に読める。ただ、最後の真相の解明が、故人の手記によるというのは、ミステリーとしてはいささか安易。

虹の脇役

虹の脇役

  • 作者: 関 容子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/11
  • メディア: 単行本


前作「花の脇役」はだいぶ前に読んでいたが、続編があったのを知らなかった。こう言うのを読むと、ちゃんと筋書きも買って(普段は買わない)、脇役さんにも注意を払えるようにならないと、と思う。でも実際は、芯の役者さんを追うのが精一杯。ごめんなさい、という気分。


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最近読んだ本 [読書]

他諺の空似   ことわざ人類学

他諺の空似 ことわざ人類学

  • 作者: 米原 万里
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/08/24
  • メディア: 単行本


昨年亡くなった米原さんの遺作となった本。世界各地にあることわざ・格言の共通性を探りながら、時事批評へつなげていくのだが、そのつなぎかたがいささか強引な気もし、また小咄の類がシモネタばかりというのも、月刊誌の連載で一つずつ読むには良いかもしれないが、こうしてまとめられたものを読むと多少辟易するのも事実。これが遺作となったのは本人も不本意だったのではないかと思う。

ある家族の会話

ある家族の会話

  • 作者: ナタリア ギンズブルグ
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1997/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ギンズブルグの本が読みたくて、じゃなくて訳者の須賀敦子さんの文章が読みたくて読んだ本。須賀さんのエッセーの類はほとんど読んじゃったので。
作者のギンズブルグの幼少時代からの、ユダヤ系イタリア人一家の歴史をつづったもので、第二次世界大戦前からのユダヤ人の困難は想像に難くないが、そういったことは彼女の夫の死も含めて意外なほど淡々とした表現に抑えられ、読後印象に残るのは、時に反発しあいながらも深い絆で結ばれた家族の愛情である。
須賀さんの訳もやはり名文で、ユーモアとアイロニーとの混ざった会話がお見事。

フレッド・アステア自伝 Steps in Time

フレッド・アステア自伝 Steps in Time

  • 作者: フレッド アステア
  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 単行本


自伝とは言っても、80代まで生きたアステアが50代半ばで書いたものなので、いわば半生記。子供時代から姉と組んでボードヴィルに出ていた頃から、ブロードウェイでの成功を経て、ハリウッドに進出して大スターとなったところまで。人柄なのだろう、苦労話も成功話もさらりとしていて、ゴシップも人の悪口も出てこない。映画のアステアを思い起こさせる優雅で清潔な自伝。さりげなく挿入されたエピソードも楽しく、「トップ・ハット」の撮影中に起こったジンジャー・ロジャースのドレスを巡る事件など笑えるものも。これを読んでいたら、猛烈にアステアの映画が見たくなってしまった。それにしてもなぜ書かれて50年以上たった今頃訳書が出たんだろう?

ローマ人の物語〈11〉―終わりの始まり

ローマ人の物語〈11〉―終わりの始まり

  • 作者: 塩野 七生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/12/11
  • メディア: 単行本


第1巻からずっと読んでいたこのシリーズ、なぜか数年前から滞っていたら去年出た最新刊で集結とか。早く読まなきゃ。
いわゆる「五賢帝」最後のマルクス・アウレリウス時代からを「終わりの始まり」とする。正直言ってこのあたりからはよっぽどローマ史に詳しい人以外はよく知らない話だと思う。なので繰り広げられる「塩野史観」が通説とどう違うのかはわからないが、勢いある文章でぐんぐん読ませてくれる。ローマ史を通じて危機管理とは何かを考えさせる、このシリーズに一貫した態度はここでも顕著だ。それにしても塩野さんって、ほんとにユリウス・カエサルが好きなんだなあ、と改めて思う。何かというと、「カエサルは」、「カエサルの時は」、と比較しているもの。

旅の時間

旅の時間

  • 作者: 吉田 健一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/12/09
  • メディア: 文庫


題名から何となくエッセーかと思ったら連作短編集だった(笑)。
吉田健一の文章は、近頃のすらすら読める作家のに慣れた軟弱な頭には、かなり読みづらい。なにしろ句点がほとんどなく、とても息の長い文が続くので、咀嚼が大変。でもそこが面白くもあるのだけれど。たまには頭の体操しなきゃね~、と思い知らされる。
この本は、京都、大阪、神戸、パリ、ニューヨークなどを舞台に、旅人のちょっと不思議な体験を描いた短編集で、旅人と言っても駆け足の観光客ではなく、吉田を思い起こさせる、その地に造詣の深い人物のその土地への印象も話の中で大きな割合を占め、幻想的ながらもあってもおかしくないと思わせる話が綴られている。作家としてだけでなく、一級の文化人として知られた吉田らしい作品。


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