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歌舞伎座 壽 初春大歌舞伎 昼の部 [舞台]

一、當辰歳歌舞伎賑(あたるたつどしかぶきのにぎわい)
〈五人三番叟〉
三番叟 中村福之助 鷹之資 歌之助 玉太郎 虎之介
若手五人の賑やかな踊り。元気いっぱいで活きが良くて楽しい。正月最初に見るにはぴったり。
ただ、ずっと5人一緒にバタバタと同じような踊りが続くので、短い割には見飽きる。途中でソロとか二人ずつとか変化をつけた方が良かったのでは、と思った。
中ではやはり鷹之資の踊りが頭一つ抜けている。

〈英獅子〉
芸者 雀右衛門
鳶頭 鴈治郎
鳶頭 又五郎
打って変わって、粋な鳶頭と艶やかな芸者の踊り。絡みもついて華やか。こちらはさすが大人の芸。
しかし今月この三人がこの一幕だけとはもったいない。

2401歌舞伎座a.jpg
二、荒川十太夫(あらかわじゅうだゆう)
荒川十太夫 松緑
松平隠岐守定直 坂東亀蔵
大石主税 左近
杉田五左衛門  吉之丞
泉岳寺和尚長恩 猿弥
堀部安兵衛 中車

一昨年講談を原作として作られた新作歌舞伎が好評で早くも再演。赤穂義士外伝の一つで、堀部安兵衛の切腹の介錯をした十太夫の嘘から始まった苦悩を描いて、武士として人としての義とは真心とは、を訴えかけて感動を呼んだ。

主役でこの作品の発案者の松緑が、下級武士故の悲哀と安兵衛に義を尽くすために偽りを続ける苦悩を見せた。殿様の言葉通り、良い嘘もある、と納得させる熱い芝居。普段立ち回りや荒事の方で目を引いてきた人が、そういった派手さを封印して、台詞劇で感動させたことに瞠目した。また、平伏してる姿が美しい。背中で演技してるのが見えて良かった。

殿様の亀蔵が、弁舌爽やかで理をわきまえた名君ぶり。萎縮する十太夫を時に叱咤し、時に諭すようにして言葉を引き出していく、台詞術が見事。この人もこういう役が似合うと改めて知った。青果などの書き物をもっと見たい。綱豊卿など似合うと思う。

吉之丞の目付が、厳しい中にも懐の深い様子。時に師の吉右衛門を彷彿とさせるところもあった。

台詞のない左近が凜々しい主税。
安兵衛は初演では猿之助だったが今回は中車。勇猛で知られた安兵衛の豪胆かつ温かい人柄がにじむ。
和尚の猿弥がほのぼのとして最後をほっこりと締める。

2401歌舞伎座b.jpg
三、狐狸狐狸ばなし(こりこりばなし)
手拭い屋伊之助 幸四郎
女房おきわ  尾上右近
雇人又市  染五郎
博奕打ち福造 廣太郎
おそめ 青虎
寺男甚平 亀鶴
法印重善 錦之助

勘三郎のイメージが強い演目。北條秀司の作だと言うが、へえ北條がこんな喜劇を、と思うようなドタバタ。欺し騙されの男女の愛憎劇だが、あまり後味が良いとは言えない。なんで正月にやるかな。
幸四郎は元上方の役者で女房にぞっこんで、なよなよしてるようで執着心が強くて、、、と言う一筋縄ではいかない役。上方言葉もこなし、まあコメディもやれる人なので面白く見せた。

右近のおきわは亭主より間男の法印にベタ惚れの女で亭主を殺すのもいとわない。と言うとすごい悪女になるが、芝居では滑稽味の方を強く見せたいところが、さすがにまだ手に負えなくて、抜けた感じが乏しいのでまじに悪女になってるのが辛い。

錦之助の法印は女にだらしない破戒坊主、普段の二枚目が生きて、こんなのもできるんだな。
びっくりは染五郎。これまで美少年で売ってきたのをかなぐり捨てて、ドタバタコメディを実に楽しそうにやっていた。今まで隠してたのか!?という感じで驚いた~。これからこういうのももっとやってほしい。
あと、青虎のおそめ。滅多に女方しない人だけど、言っちゃなんだがブサカワなんだがめっちゃ可愛かったです。

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