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歌舞伎座 壽 初春大歌舞伎 夜の部 [舞台]

一、鶴亀(つるかめ)
女帝 福助
亀 松緑
従者 左近
従者 染五郎
鶴 幸四郎

これもお正月らしいおめでたい踊り。
体が不自由な福助は座ったままだが、華やかな笑顔を振りまき、動く左手で扇を使い、それを観ているだけでありがたくおめでた気分がいやまさる。ありがたさプライスレス。
松緑親子、幸四郎親子の共演というのも珍しく、4人とも神妙。左近の清潔さが目を引く。染五郎と左近、共演は初めてかも。年も近いし、親同士同様これからも共演があると良いな。

二、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
工藤左衛門祐経 梅玉 
曽我十郎祐成 扇雀
曽我五郎時致 芝翫
化粧坂少将 高麗蔵
近江小藤太 松江
八幡三郎 虎之介
梶原平三景時 錦吾
梶原平次景高 桂三
小林朝比奈 彌十郎
鬼王新左衛門 東蔵
大磯の虎 魁春

この頃すっかり工藤役者になった梅玉。本来十郎の人だが、年を経て座頭格の役が回ってきているということだろうが、やっぱりまだまだ十郎をやってほしいとも思う。

扇雀の十郎、芝翫の五郎はニンだが、この二人に限らずこの座組、平均年齢が高めなせいかいささかテンション低いというか、落ち着きすぎ。特に五郎にはもっとやんちゃさがあってほしい。

まわりでは魁春の虎が年輪の花を咲かせる。
東蔵の新左衛門も元気で、股立ちを取って足を見せていたのはびっくり。今月で86歳ですと。

三、息子(むすこ)
火の番の老爺 白鸚
捕吏 染五郎
金次郎 幸四郎
高麗屋三代の共演。
白鸚の老爺が絶品。かたくなで生真面目な老人の、長年会っていない息子を案じ、でもきっと真面目に立派になっていると信じる愛情の深さが言葉ににじむ。
息子は幸四郎。上方から舞い戻ってきたが身を持ち崩し、捕り方に追われる身の上。老爺と話すうちに父親と気がついても名乗ることもできない。老爺の言葉に反応して変わる表情に切なさ恋しさ後悔…と思いがくるくると現れては消える。それと悟っても親子と名乗りあえない二人の別れが切なく幕切れの「ちゃん…!」のひと言に万感がこもる。
染五郎の捕吏もきっちりとした芝居。
舞台装置は、貧しげな番小屋だけ。時折雪が舞う寒い晩という暗い舞台だが人の心の悲しさとぬくもりが感じられてほんのりと暖かい。


2401歌舞伎座c.jpg
四、京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
月の前半は壱太郎、後半は右近が花子を務める。
壱太郎の花子はとにかく可憐。踊りはもちろん丁寧で清潔感のあるほんのりとした色気。その分、鐘への執着は弱めな感じ。

一方の右近、とにかく体が良く動く。切れが良くかつしなやか。そして色気たっぷりの艶やかさと華があるのがこの人の強み。時折鐘を見込む表情に凄味さえ。常に男の影を背負っている。
ただ個人的にはちょっと動きすぎの気もした。好みの問題かもしれないが。

壱太郎が同じ桜でも染井吉野のほんのりとした美しさなら、右近の方はぼってりとした紅枝垂れ。

いずれも何よりこの舞台で踊れる喜びが体中からあふれるよう。
その緊張感も高揚感も初役の今回しか観られないものだったかもしれない。これから一生かけて自分の花子を作っていく、そのスタートを見られたことを観客の一人として喜びたい。
勝四郎・巳太郎・傳左衛門ら演奏も強力バックアップ。眼福・耳福。


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