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「本阿弥光悦の大宇宙」展 [美術]

「本阿弥光悦の大宇宙」展 東京国立博物館平成館

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室町時代末期に生まれ江戸時代初めまで活躍した光悦は、家業の刀剣鑑定家としてだけでなく、漆芸、書、陶芸などジャンルを超えた芸術活動をし、しかもどの分野でも一級の仕事を残した。日本では珍しいマルチな天才と言って良いだろう。
この時代を取り上げたどんな展覧会にも、必ずと言って良いほど光悦の作品が何かある。
だが光悦その人に注目した展覧会は意外と少なかったのではないか。

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会場に入るといきなりチラシのメインヴィジュアルにもなっている舟橋蒔絵硯箱がお出迎え。
形といい、文字を散らしたデザインといい、奇抜といっても良いくらい。

第一章では縁の刀剣や、法華宗に深く帰依していた光悦にまつわる経典など。
第二章では能の謡本や蒔絵。謡本の表紙に雲母を使った瀟洒な品の良い絵が美しい。

圧巻は第三章の書。肥痩を自由に操った文字と、宗達の下絵のコラボレーション。後にも先にもこんな見事な美の交歓があるだろうか。
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鶴下絵三十六歌仙和歌巻

さらに第四章の陶芸。楽家と繋がりがあって、基本は楽焼なのだろうが、そのしばりから離れた自由な作陶。

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黒楽茶碗 銘 時雨

こうして様々なジャンルの作品を見て思うのは、「家の芸」に縛られない自由さ、伸びやかさ。
江戸時代になると日本の多くの芸術芸能は家だの派だのというものに縛られて、他のジャンルに手を出すこともままならなくなっていったのでは。そんなこともふと考えさせられた展覧会。
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