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モノクロームの冒険 [美術]

根津美術館
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/past2020_n06.html
既に終了。

水墨と白描の展覧会。
墨だけで色を使わず描く世界は、西洋画では版画でもなければ見られないと思う。墨の黒と言っても濃淡の幅の広さ、筆の細さ太さ、など単に白黒というどっちかではなくある意味実にカラフルとも言える。

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赤壁図屏風(部分) 長沢芦雪筆
水面、岸壁、樹木、それぞれを墨の濃淡で描き分けた蘆雪の傑作。

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梟鶏図 狩野山雪筆
この作品、山雪の絵の中でもとびきり好きで今回出品されていて嬉しかった。朝を告げる鶏と夜に生きる梟、どちらも表情がなんとも言えずユーモラス。ほんの少しの彩色が効いている。

一方、線で描くのを主としたのが白描。
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伝 住吉具慶筆 源氏物語画帖「花宴」
墨だけでなくこの作品のように部分的に彩色を施すものも。あまり濃淡や筆の肥痩はつけず線描の美しさで見せる。

水墨画も白描も余白が重要で、西洋画のように隅々まで塗り尽くすことがない。それによって風通しが良く、伸びやかで、見ていて心が広々としてくる気がするので好きだ。

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日本美術の裏の裏 [美術]

サントリー美術館
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2020_2/index.html
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リニューアル記念展覧会の第2弾。
今回もコレクションを工夫した展示で見せてくれる。「生活の中の美の“愉しみ方”に焦点をあて」た内容。

例えば第1章空間を作る では屏風絵に描かれた四季や風景で飾られた部屋に景色が見える。

第2章 小をめでる はミニチュアの道具類。本物そっくりに作られた精緻な道具や器は職人が本気で作った逸品。昔から日本人はミニチュア好きなんだな。
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雛道具 七澤屋 一式

第3章 心でえがく はいわゆる下手でゆるい絵巻類。「かるかや」物語など、絵と内容のギャップがなんとも言えない。

第4章 景色を探す は器。偶然にできる焼きむらや釉薬の流れなど、どの角度から見るかで景色の変わる器をめでる。

第5章 和歌でわかる 有名な和歌で描かれた世界を器焼き物の柄に工夫して表す。見る人もそれと理解できる。昔の人は和歌をよく知っていたんだなあ。

第6章 風景に入る 池大雅の風景画に小さく描かれた人物になりきってみる。広重の東海道五十三次の旅人に見える景色は。など絵の中に自分が入ったつもりで描かれた景色を見ると違う風景が見えてくるかも。
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青緑山水画帖 池大雅

美術品をただ並べてみせるのではなく、どう見たら楽しいか、を提案してくれる。勉強という堅苦しさではなく楽しみ方を指南してくれる展覧会。


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