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三井家が伝えた名品・優品展 前期東洋の古美術 [美術]

三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

開館15周年記念だそう。館蔵品の中から選りすぐりの名品が並ぶ。初見のものはほとんどないがどれも素晴らしくて充実している。

始めに茶道具。高麗もの、南蛮ものの大名物、重要文化財が続々。

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玳玻天目・鸞天目(南宋時代/1101-1300)
小ぶりな茶碗だが見込みに描かれた尾長鳥とも呼ばれる鸞がくっきりとして美しい。

絵画では牧谿や沈 南蘋など。特に沈 南蘋の花鳥動物図は所蔵全11点を展示。

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沈 南蘋の絵は写実と華麗さの結合が見事。ただ、花の美しさに比べると、動物はよく見ると体のバランスがおかしかったり(虎の足が長すぎるとか、猫の顔が変とか)ちょっと突っ込みたくなるのもご愛嬌か。

次には拓本がずらり。現存しない王羲之などの碑の貴重なものもある。
珍しいのは切手。本来今年がオリンピックイヤーのためだろう、オリンピックの記念切手が並んでいた。

最後の部屋は工芸。ここでも三島茶碗など茶道具や、呉須の皿、 交趾の香合、堆漆など。この部屋が見るにはいちばん楽しかったかも。画像がないけど 祥瑞茄子香合などとても愛らしい。手にのるサイズの香合はどれもデザインが素敵で見飽きない。

後期は日本美術。これも楽しみ。

予約制ではないのにとても空いていた。もったいない。今が狙い目かも。
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古典×現代2020―時空を超える日本のアート [美術]

国立新美術館
https://kotengendai.exhibit.jp/index.html

外出自粛は解除になったけど、6月に体調を崩し、なかなか仕事以外の外出をする気力もなかった。
ここへ来てどうにか展覧会を見るくらいは大丈夫かな、と思って足を運んだ。
今はどこの美術館も時間予約制になっていて、混まずに見られるのはとりあえずありがたい。

この展覧会は、古典の作家と現代の作家を一人(一テーマ)ずつ組み合わせて、一部屋毎に区切って展示することで、古典に触発されたモダンアート、あるいは古いものと新しいものが響き合う、といった面白みを狙ったものだと思う。

私のような現代アートに疎いものには、申し訳ないがほとんどの現代作家は名前も知らない人でもちろん作品も初めて見る人の方が多い。
従って、この組み合わせが上手くいっているのかいないのかよくわからないものもあったし、正直つまらないものもあったのは事実。

素直に楽しめたのは、乾山×皆川明。乾山の色も形もデザイン性高い器とミナ ペルホネンブランドのポップなテキスタイルが調和してとても素敵だった。

わかりやすいのは北斎×しりあがり寿。北斎の富嶽三十六景を下敷きにした現代漫画風の絵がフフフと笑える楽しさ。絵だけでなく、アニメーションもあって、北斎(らしき人)が描きまくってるうちに自分の絵にのみ込まれていくような感じが面白かった。

建築家の田根剛が二つの仏像に照明を変化させてみせるインスタレーションも美しかった。明かりの当たり方で刻々と表情を変えるように見える仏像の厳かさ。

一方で、古典の作家の中には自然に沸き上がるものを絵なり形なりにしているように見える人がいるが、現代作家は先にこういうものを作ろうと決めてから作ってるように見えるものもあり、たぶん並んでいなければそういうことは思わなかっただろうな、とちょっと面白かった。
円空とか仙涯とかいわゆる作為を全く感じない。おそらく自分がアートを作ってる自覚すらなかっただろう。

とはいえ、展覧会の趣旨を理解できなくても、それぞれの作品だけを見ても十分楽しめる。少なくとも私は最後の蕭白の数点だけでも行った甲斐があった。


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奇才―江戸絵画の冒険者たち― [美術]

お久しぶりでございます。
ただでさえ更新が滞っていたところへご存じの通りの状況で、記事にするような観劇も展覧会も全てなくなって3ヶ月ばかり。。。
ここへ来てやっとちらほら再開され始めた美術館が、、、!
ということで、また閉まってしまってはいけないと、早速一つ行ってきました。

奇才―江戸絵画の冒険者たち―展
江戸東京博物館
https://kisai2020.jp/index.html

本来4月から始まる予定だったのが、延びに延びて6月2日からやっと開始。本当は前後期で展示替えもあったのが後期のみとなってしまいましたがそれでも開催されただけましかも。
入口で検温、アルコールで手を消毒してから入場。再開初日、平日とあって空いていた。他の人との距離をそんなに気にせず観られて良かった。

さて、江戸絵画の奇才、というフレーズは何年も前からブームのように使われてやや食傷気味。
今回取り上げられた絵師も、おなじみの若冲や蕭白、蘆雪などが名を連ね、正直新鮮味はないのも事実(なんて贅沢な)。
ただこの展覧会ではそういうビッグ・ネームだけではなく、比較的マイナーな、江戸や京以外で活躍した絵師もあったのは嬉しい。2年前に千葉美であった「江戸諸国絵師めぐり」で始めて知った絵師も多く出品。

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狩野山雪「寒山拾得図」
大御所は食傷気味、とは言え、やはりこの強烈さは奇才。

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長澤蘆雪「寒山拾得図」
同じ寒山拾得だが蘆雪の方が脱力したユーモラスさを感じてしまう。

脱力系なら中村芳中や耳鳥斉も楽しい。

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中村芳中「人物花鳥図鑑」より
単純化された鹿がほんわか。琳派風の樹木の美しさとのアンバランスというか絶妙のバランスというべきか。

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髙井鴻山 「妖怪図」
鴻山は小布施の人で北斎と親交があった。妖怪図を多く描いているが鴻山のオリジナルでどこから発想を得たのか、摩訶不思議。

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片山楊谷「竹虎図屛風」
寅の絵は数々あれど、こういう毛並みの描き方は他で見たことがない。なんだかハリネズミみたい。毛がツンツン立ってて触ると痛そう。

その他総勢30人以上の絵師。あまり知られていない絵師もいるがどれも面白い。
「奇才」とは、とちょっと考えてしまう面もあるが、素人は深く考えずに素直に楽しんだ。
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美濃の茶陶展 [美術]

サントリー美術館
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2019_4/index.html
黄瀬戸、瀬戸黒、志野、織部という美濃の焼き物の展覧会。
驚きなのは、これらが美濃(岐阜)で焼かれていたのがわかったのは昭和になってからで、それまでは瀬戸地方(愛知)だと考えられていたという。何も弥生時代の話ではない、桃山時代のことなのになぜそんなことになったんだろう。いくらでも資料が残っていそうなのに。不思議だ。

まあそういう学術的なことはさておき、展覧会としてはそれぞれの特徴を示しながら名品を並べていて、わかりやすく楽しめる。
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志野茶碗 銘 橋姫

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織部州浜形手鉢
どちらもそれぞれの特徴がよく表れている。

黄瀬戸は文字通り黄色い地、この展覧会で取り上げられている中ではいちばんシンプル。
一方瀬戸黒は、黒楽と通じるような豪胆な様子。

古陶だけでなく、昭和に入って美濃の研究に打ち込んだ荒川豊蔵と加藤唐九郎の作品もあり、新しい美濃の姿を見せてくれる。
また、有名コレクターの収集品もあって、数寄者の目にかなった品々を見るのは楽しかった。

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高麗茶碗展 [美術]

三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

16世紀から17世紀にかけて高麗(朝鮮)で焼かれた茶碗。室町時代日本で佗茶の興隆に伴ってそれまでの唐物に変わって茶の湯の茶碗の主流となった。
三島、粉引、井戸といった分類も細かく分かれていて素人にはやや難しいところもある。
また、色絵や染付と違って柄が面白いというのとも違う。
だが、形と釉薬の融合によって作り出された同じものが一つとしてない茶碗は、派手さはないが滋味溢れる美しさがあって、見飽きない。

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大井戸茶碗 武野井戸 銘蓬莱
日本の黄瀬戸に近い感じ。影響を与えたのかも。

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粉引き茶碗 三好粉引
これらは朝鮮で日常的な器として焼かれ、日本で茶の湯の茶碗として用いられたもの。

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御所丸茶碗
こちらは日本向けに焼かれた器。日本の需要(?)を意識してか、装飾的になってきている。

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御本立鶴茶碗
御本茶碗というのは、対馬藩が釜山の倭館で日本の大名などから注文を受けて作らせていたもの。従来の高麗茶碗とは趣が変わってきている。
ちなみにこの茶碗の鶴の絵は徳川家光の下絵を用いたとされているが、家光の絵と言えばあのへったくそなゆるキャラのような絵を思い出してしまい、ちょっと笑いそうだった。

一言で高麗茶碗と言ってもいろんな種類があり、それが日本に渡って、和陶の発展に影響があったのがよくわかって面白かった。
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美ら島からの染と織 [美術]

松濤美術館
https://shoto-museum.jp/exhibitions/184okinawa/

琉球王国時代から沖縄に伝わる染織を紹介する展覧会。琉球の芸術の展覧会は以前にもあったが、染織に特化したものは珍しいのではないだろうか。

まず原材料が本土ではほとんど使われない芭蕉や苧麻(ちょま・別名カラムシ)と言った植物繊維。暑い風土に似合ったとても涼しげな布。
有名な紅型だけでなく、絣などの織り、刺繍など手の込んだ高度な技法を駆使した着物はどれもため息が出るほど美しい。

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《黄色地鳳凰蝙蝠宝尽青海立波文様紅型綾袷衣裳》(国宝) 18‒19 世紀
黄色地に中国由来の鳳凰文様の組み合せは、王族のみが使用できたそう。華麗で高貴な衣装。

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《苧麻浅地雲取に枝垂桜燕文様紅型衣裳》 19世紀 
苧麻の軽やかな生地に紅型の模様がとても美しい。

着物だけでなく、風呂敷のような布もあってそういうのもデザインが面白い。
また古いものばかりでなく、現代作家のものもあって困難ながら伝統が守られている。

苧麻も芭蕉もとても涼しげで、昨今の暑さなら本土でも着られそう、と思うが、生産方法の写真パネルを見るととても大変そうで、今も芸術品としては制作する人がいるようだがとても採算レベルにはないのだろう。もったいないけど、なんとか存続していきますように、と祈る気持ちになった。
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山口蓬春展 [美術]

日本橋高島屋

(既に終了)
蓬春の絵は、もちろんいろんな展覧会で見ることはあったが、まとめて観たのは初めて。そして経歴(画歴?)も良く知らなかったが、最初は油絵からスタートして日本画に転向したというのに驚いた。

蓬春というと、私はモダンな洋画風な絵を思い浮かべるけど、若い頃は純日本画風(と言うのも変だが)の大和絵を描いており、まずはこの分野で第一人者となった。
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「緑庭」(1927)
古典的な大和絵様式の絵に学んだ作品。へえ、こういうのも描いてたのか。知らなかった。

そこからやがて洋画風モダニズムを研究し、簡略化された線と美しい色使いで「新日本画」と言われる作風を確立していく。
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「泰山木」(1939)
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「望郷」(1953)
この作品は本作だけでなく、下絵2種類も展示。創作過程がうかがえる。そして、そのうち1枚はくま好きだった六代目歌右衛門に贈られたというのも微笑ましい。
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「夏の印象」(1950)
私なんかが蓬春というとイメージするのはこういう洋風の絵。初めて見た時は、これが日本画?ととても新鮮だった。

晩年はリアリズムを追求したり、純日本画風の花鳥画を描いたり(皇居の装飾を手がけたり)、留まることなく変遷を続けた。
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「新冬」(1962)

若い頃の作品はほとんど知らなかったので、とても新鮮に感じ、また一度ある画風で名声を得てもそこに安住せず新しい絵を描き続けた姿に頭が下がる。モダンな日本画の道を切り開いた人だったんだな。見に行って良かった。

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原三渓の美術展 [美術]

横浜美術館
https://harasankei2019.exhn.jp/

横浜の三渓園にも行ったことがなく、原三渓という人のことも全く知らなかった。
原三渓(1868ー1939)は明治から昭和にかけて生きた実業家で、日本美術の大収集家となり、また収集だけでなく若い画家を経済的に支援もし、さらに茶人として、自身も絵を描いた文化人。

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国宝《孔雀明王像》
明治の元勲井上馨から当時破格の1万円で購入し、コレクター三渓の名を世に知らしめた作品。

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伝毛益(でんもうえき)《蜀葵遊猫図(しょっきゆうびょうず)》
犬の絵とセットで購入。

収集したのは日本美術と中国美術に茶道具類。仏画、大和絵、琳派など様々だが目利きの確かさに驚かされる。

後援した画家には大観、観山、靫彦らそうそうとした名前が並ぶ。

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安田靫彦(ゆきひこ)《夢殿》

自作の蓮の絵なども展示され、その清潔感漂う絵に人柄も偲ばれる。

現在国立西洋美術館で開催中の松方コレクション展と併せて見ると、明治から昭和にかけてもコレクターの偉大さを感じられる。
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円山応挙から近代京都画壇へ [美術]

東京藝術大学美術館
https://okyokindai2019.exhibit.jp/

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江戸時代、それまでの狩野派や土佐派などとは別に新たに起こった円山派・四条派の流れを見る展覧会。
応挙からと言うので期待した割には応挙の作品が多くなかったのはちょっと残念。
ただ応挙一門が描いた大乗寺の襖絵が一挙に展示されているのが見どころの一つ。これの応挙の孔雀図は豪華な金箔に墨で松と孔雀が描かれて、色はないのに孔雀の羽の艶やかさが目に見えるよう。

応挙では他に「写生図鑑」も素晴らしい。写生の応挙と言う名にふさわしい、まさに生き写しの、しかしそれだけではない美しく愛らしい動物や植物。上手いなあ、応挙。

応挙の弟子たちも負けていない。奇才の画家に数えられる芦雪が数点あるのが嬉しい。コロコロ仔犬の愛らしいこと。
虎の画家岸駒の虎図のどこかとぼけた味わいも魅力的。時代が下って明治の岸竹堂の虎図になると、実物を見て描いたリアルさがある一方で、写実によって失われたものもあるように感じた。

美人画の松園も円山派の系譜に入るとは知らなかったが、応挙の美人画と比べると確かに雰囲気が似ていて驚いた。

江戸時代から昭和のはじめ、栖鳳あたりまでの京都画壇の流れが見られる貴重な展覧会。
前後期で展示替えあり。

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伊庭靖子展 [美術]

東京都美術館
https://www.tobikan.jp/yasukoiba/

伊庭靖子展.jpg

「まなざしのあわい」とタイトルのついた展覧会。伊庭靖子(1967~)の名前も知らなかったが、ポスターを見て、写真?と思ったが油彩だという。とても写実的で、ファブリックなどは手触りまで感じられるほど。
窓辺に置かれた瓶類などは、光や空気まで切り取ってキャンバスに写されているよう。まさしくあわい。静謐という言葉がよく似合う。

またシルクスクリーンによる風景は、特別な景色でもなさそうに見えるが、細密で、草木の一本一本まで描かれて、そよぐ風まで感じられる。

一見、奇抜さはない。でも新しい。
見ていて心に染みてくるものがある、不思議な展覧会だった。

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