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極付印度伝   マハーバーラタ戦記(まはーばーらたせんき) [舞台]

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インド歌舞伎?マハーバーラタ?なんじゃそりゃあ。と聞いた時はぶったまげた。菊ちゃん、「十二夜」もやったし、意外と新作好き?正直恐る恐る見に行った。


極付印度伝
マハーバーラタ戦記(まはーばーらたせんき)
迦楼奈(かるな)・シヴァ神(しん) = 尾上菊之助(5代目)
汲手姫(くんてぃひめ) = 中村時蔵(5代目)
帝釈天(たいしゃくてん) = 中村鴈治郎(4代目)
鶴妖朶王女(づるようだおうじょ) = 中村七之助(2代目)
百合守良王子(ゆりしゅらおうじ)・多聞天(たもんてん) = 坂東彦三郎(9代目)
風韋摩王子(びーまおうじ) = 坂東亀蔵(3代目)
阿龍樹雷王子(あるじゅらおうじ)・梵天(ぼんてん) = 尾上松也(2代目)
汲手姫(くんてぃひめ)・森鬼飛(しきんび) = 中村梅枝(4代目)
納倉王子(なくらおうじ)・我斗風鬼写(がとうきちゃ) = 中村萬太郎(初代)
沙羽出葉王子(さはでばおうじ) = 中村種之助(初代)
弗機美姫(どるはたびひめ) = 中村児太郎(6代目)
森鬼獏(しきんば) = 尾上菊市郎(初代)
拉南(らーな) = 市村橘太郎
道不奢早無王子(どうふしゃさなおうじ) = 片岡亀蔵(4代目)
修験者破流可判(はるかばん) = 河原崎権十郎(4代目)
亜照楽多(あでぃらた) = 坂東秀調(5代目)
羅陀(らーだー) = 市村萬次郎(2代目)
弗機王(どるはたおう)・行者 = 市川團蔵(9代目)
大黒天(だいこくてん) = 坂東楽善(初代)
太陽神(たいようしん) = 市川左團次(4代目)
那羅延天(ならえんてん)・仙人久理修那(くりしゅな) = 尾上菊五郎(7代目)

幕開き、天上の神々が集う場面は忠臣蔵の大序の趣。だんだんと神々が目を覚ます。この神様の衣装がみんな金色の輝くようなもので度肝を抜かれた。しかも膨らんだスカートみたいなデザインだし。ええ~、全編こんな感じなのかな。と思ったら、次の場面から、地上の人間世界の人々は古典歌舞伎風の着物の衣装で区別をつける。

とにかくストーリーが全く知識がないため、1回目に見た時は筋に追われる部分も多々ありだったが、展開が面白く飽きさせない。また何度かある立ち回りも大がかりでスピーディ。特に終幕の馬車を使った菊之助と松也の対決は手に汗握る。
舞台装置そのものは意外にシンプルで、大きな屏風絵風の背景画が見事で簡潔ながら場面の雰囲気を出す。
さらに音楽が、純歌舞伎の黒御簾音楽や竹本に加えて、シロフォンや太鼓などの西洋楽器を使った音楽が使われて、それが不思議によくなじんで美しかった。

菊之助扮するカルナは悩める青年の趣。戦を止める使命を持って生まれたのに、いつの間にか一方の側に加担し、安易に誓った友情に縛られる。根が真っ直ぐで清潔そのもの故にジレンマに陥っていく貴公子がぴったり。力強い六法に立ち回りもあって、すっかり立役。女形の菊ちゃん好きな私はちょっと複雑(苦笑)。

対決するのは松也のアルジュラ王子。物語では「力で物事を解決しようとする」人物となっているけど、見ている限りもっと知性もあり、しっかりした人物に見えたけど。カルナと宿命のライバルで、でも実は異父兄弟で、と言う役回りで、菊ちゃんと対峙してしっかり引けを取らなかったのは立派。このところ外部出演も多かったけど、歌舞伎役者としても成長を感じられてうれしい。

七之助が松也ら五王子と対立するヅルヨウダ。従兄弟である五王子に憎しみを抱き、冷酷に卑劣な手段を使っても追い落とそうとする強い王女。七之助はこう言う強さを持った女がうまい。そしてその強さの一方で、決戦を前に本心を吐露する姿が孤独の影をまとい悲しい。キレッキレの立ち回りに壮絶な最期まで見せて場をさらう。

その他いちいち上げてたらきりがないが、他の人も適材適所でそれぞれ見せ場があり充実。
中でも坂東亀蔵は梅枝との所作事もあれば、七之助との立ち回りもあり大いに活躍。

中心は菊之助以下の若い役者だが、菊五郎他ベテランが要所要所を締めて存在感を見せる。この若手とベテランのバランスが良くて、新作にありがちな上滑り感が少なく、古典歌舞伎のような味わいもあり、新作苦手な私のような者も十分楽しめた。
是非再演してほしい。
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