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八月納涼歌舞伎第二部 [舞台]

歌舞伎座

一、修禅寺物語(しゅぜんじものがたり)
夜叉王   彌十郎
姉娘桂   猿之助
源頼家   勘九郎
春彦    巳之助
妹娘楓   新悟
下田五郎   萬太郎
金窪兵衛   片岡亀蔵
修禅寺の僧   秀調

彌十郎の父と兄の追善狂言。
苦手な新歌舞伎の中でも特に嫌いな作品。誰がやっても面白いと思えないんだよな。
彌十郎の夜叉王は仕事に誠実な人と言う様子で、もっと気難しさや芸一筋の一徹さが見えると良いなあ、と思う。
猿之助の姉娘、気位が高く上昇志向の可愛げのなさがぴったり。
勘九郎の頼家に孤独な将軍の哀愁と気品がある。「頼朝の死」の頼家をやったらどうだろう、とふと思った。

新悟の妹娘が気立ての良い、姉と対照的な優しげな様子。
巳之助の春彦も真面目で実直な青年。似合いの夫婦。
萬太郎の五郎が武士らしい颯爽とした様子。

しかしこの演目、ずっと舞台が暗いし話も重いしで、睡魔と激闘。


東海道中膝栗毛
二、歌舞伎座捕物帖(こびきちょうなぞときばなし)
弥次郎兵衛 宙乗り相勤め申し候
喜 多 八   

弥次郎兵衛   染五郎
大道具伊兵衛   勘九郎
女医羽笠     七之助
座元釜桐座衛門    中車
天照大神又は町娘お笑   笑也
瀬之川伊之助   巳之助
中山新五郎    新悟
玩具の左七   廣太郎
芳沢綾人   隼人
女房お蝶   児太郎
舞台番虎吉   虎之介
伊之助妹お園   千之助
伊月梵太郎    金太郎
五代政之助    團子
瀬之川亀松    鶴松
芳沢小歌     弘太郎
瀬之川如燕    寿猿
芳沢菖之助     宗之助
芳沢琴五衛門    錦吾
若竹緑左衛門      笑三郎
同心古原仁三郎    猿弥
同心戸板雅楽之助   片岡亀蔵
鷲鼻少掾     門之助
関為三郎   竹三郎
喜多八   猿之助 

去年に続いての染猿の弥次喜多もの。でも今回は舞台は歌舞伎座。大道具として働く二人が歌舞伎座で起きた殺人事件の謎解きに一役買う、いわばバックステージもの。
と言うわけで去年のように旅もしないし、ましてやラスベガスの外人も出てこないので、破壊力は去年ほどではない。言い換えれば、歌舞伎味は濃かった。
幕開きに、去年の舞台をダイジェスト映像で見せるので、去年見ていない人にも入りやすい。と言っても、見てなくてもどうってことないけど。
ストーリーを言っても仕方ないので省くが、劇中劇で四の切が上演される。そこで忠信を演じるのが巳之助。これがキビキビしてなかなか良かった。近いうちに本公演でも、と期待。

びっくりが静を竹三郎が。劇中でも50年ぶりとかいじられていたが、なんのなんのお綺麗なこと。いや、驚いた。
寿猿との長老コンビが笑わせる達者ぶり。

金太郎と團子が今年も大人びた子供のコンビで場をさらう。
門之助と笑三郎が竹本のコンビに扮し、口パクかと思ったらちゃんと演奏していたのでこれもびっくり。役者って偉い。
猿弥の”古原仁三郎”がいかにもパロディで笑わせる。
中車の座元もキンキラの衣装で、今やすっかり有名になった昆虫博士の面を披露する場も。ここでは顔芸もたっぷり。
出色が児太郎のお蝶。わがまま女房の身勝手さ可笑しさをオーバー気味に。わ~お父さんの血だわ~!

他もいちいち上げてたらきりがない。多くの役者にそれぞれ役と台詞を割り振った作者の努力には頭が下がるが言い換えればそれで終わってるという気もする。

劇中、四の切の仕掛けを解剖して見せる下りがあって、へええ、こんな風になってるのかあ、と感心しきり。いや、でもこんなのお客に見せて良いの、と思っちゃったけど。

結末部分が二通りあり、お客の拍手でどちらか選ぶという趣向。私が見た日はAだった。両方覚える役者は大変。

染五郎と猿之助は狂言回し的な役回りでちょっと損してたような。でも幕開きと幕切れ二回の宙乗りの大サービス。ご苦労様。


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