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五嶋みどりヴァイオリン・リサイタル [音楽]

6月20日(月) サントリーホール
ヴァイオリン:五嶋みどり
ピアノ:オズガー・アイディン

リスト(オイストラフ編曲) : 『ウィーンの夜会』S427から「ヴァルス・カプリース第6番」(シューベルト原曲)
シェーンベルク  : ピアノ伴奏を伴ったヴァイオリンのための幻想曲 op. 47
ブラームス  : ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番 ト長調 op. 78 「雨の歌」
モーツァルト  : ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 変ロ長調 K454
シューベルト   : ピアノとヴァイオリンのための幻想曲 ハ長調 D934 op. posth. 159

アンコール
クライスラー   :愛の悲しみ 愛の喜び

今回のプログラムは、ウィーンつながりと言ったところだろうか。とは言っても、どの曲も表情が違う。
シェーンベルクの激情、ブラームス「雨の歌」の繊細な歌い回し。モーツァルトのギャラント、シューベルトの機知。と見事に弾き分けた。

美音とテクニックの完璧さは当然として、しなやかでかつ強靭な精神を感じさせ、なお甘さも優美さもあり。脱帽。

惜しむらくは伴奏。いつもの人なんだけど、剛腕で繊細さに欠ける。モーツァルトやシューベルトのメロディとかもうちょっと粒の綺麗さがほしかった。特にモーツァルトとブラームスは一昨年庄司紗矢香とプレスラーでも聴いた曲だけに、ついプレスラーと比較してしまった。

ともかく、常に王道を行くみどりちゃん。これからもついていきます!

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オーケストラ・アンサンブル金沢東京定期 [音楽]

3月22日(火) サントリーホール


曲目
武満徹 : ノスタルジア -アンドレイ・タルコフスキーの追憶に-(1987)
シューマン : チェロ協奏曲 イ短調 op.129
ベートーヴェン : 交響曲第3番 変ホ長調 op.55 「英雄」

指揮 井上道義
チェロ :マリオ・ブルネロ

アンサンブル金沢の演奏を聴くのは実は初めて。もちろん名前はよく知っていたけれど、機会がなかった。今回は、ブルネロがソロを勤めるというので、これは聴かなくちゃ、と言うことで足を運んだ。

武満の曲は、ヴァイオリンのソロ(コンマスのアビゲイル・ヤング)が透明感のある音で美しく、オケも小編成の良さが生きてアンサンブルの緻密さが光る。

注目のシューマンは、なんと言ってもブルネロのソロが素晴らしい。いつもながら豊潤で暖かい音色が美しく、内省的なシューマンの音楽でも重くなりすぎず、しかし心の深いところに染み入る。しみじみと良い音楽。ああ、やっぱりブルネロ好きだわ。OEKも室内楽的なところもあるこの曲をブルネロの歌うソロにあわせて好演。

アンコールを3曲も。
J.S.バッハ(シューマン編): 無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調 BWV1011から サラバンド
J.ウィア: Unlockedから 第1番
J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV1009から プレリュード

1曲目のは、バッハの無伴奏組曲にシューマンが伴奏をつけた珍しいもの。こんなのあったんだ。初めて聞いたわ。指揮なしで弦楽合奏だけ。不思議な感じだった。


「英雄」は、この規模のオケで聞くのは初めて。コントラバスが管楽器の後ろに配置される珍しい並び。やや早目のテンポで軽快で風通しの良い演奏。少人数オケゆえに各パートの音が粒立って聞こえる。なにしろ人数が少ないので、管楽器のセカンドまでちゃんと聞こえてきそうな、ある意味恐ろしい編成だが、団員のレベルは高くしっかりとした、そして溌剌としたベートーヴェン。もちろんそれをまとめた井上道義の指揮も明快で、聴いて良かった!

ミッチー、病後でちょっと心配したがお元気そうでなにより。でも痩せたな~。ひょろっとしてなんだか魔法使いみたいだった。
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ムーティ指揮 日伊国交樹立150周年記念オーケストラ [音楽]

3月17日(木) 東京芸術劇場

指揮:リッカルド・ムーティ
管弦楽:日伊国交樹立150周年記念オーケストラ
    ~東京春祭特別オーケストラ&ルイージ・ケルビーニ・ジョヴァニーレ管弦楽団
バス:イルダール・アブドラザコフ
合唱:東京オペラシンガーズ
児童合唱:東京少年少女合唱隊

ヴェルディ:
 歌劇 《ナブッコ》 序曲
 歌劇 《ナブッコ》 第1幕 より 「祭りの晴着がもみくちゃに」
 歌劇 《アッティラ》 第1幕 より アッティラのアリアとカバレッタ
  「ローマの前で私の魂が...あの境界の向こうで」
 歌劇 《マクベス》 第3幕 より 舞曲
 歌劇 《運命の力》 序曲
 歌劇 《第1回十字軍のロンバルディア人》 第3幕 より
  「エルサレムへ、エルサレムへ」

ボイト:歌劇 《メフィストフェレ》 プロローグ

ムーティは何度かこの東京春祭に登場しているが、これまでは日本人の春祭オケを指揮していた。今回は、手兵のルイージ・ケルビーニ・ジョヴァニーレ管弦楽団と春祭オケの合同演奏。どちらも若手の特別編成。

前半はムーティ十八番のヴェルディ。情熱的で時にデモーニッシュ。「運命の力」序曲以外はあまりよく知らない曲だったが、緩急を自在に操り、旋律は歌わせる。さすがオペラ指揮者と唸らされる演奏。ヴェルディの激しく、熱く、時に血の臭いがするような情念が渦巻く舞台が目に浮かぶよう。まさにムーティ節といった演奏。

でも、ヴェルディより印象に残ったのは、初めて聞いたボイト。児童合唱も加わっての、いわば演奏会形式の序幕上演。バスの歌うメフィストフェレと合唱の掛け合いが面白く、児童合唱団の天使の声がまさに天使で清らかで美しい。へえ、こんな良い曲、知らなかったなあ。めっけもん!な気分。合唱団の後ろには金管のバンダが並んで壮観。(でも合唱団の人は耳が痛くないのかしら?)

特筆すべきは、東京オペラシンガーズと東京少年少女合唱隊の素晴らしさ。オペラシンガーズは東京春祭ではたびたび聴いていて、そのたびに感心しているが、今回もヴェルディ、ボイト共に緻密な合唱。そして少年少女合唱団と来たらもう、当たり前だが原語での歌唱、いや、すごいすごい。上手いなあ。すっごく練習したんだろうなあ、とおばちゃんうるうるしてしまった。

オケの方は若手と言うことで、やや粗さもあったが、その分熱気があり、ムーティについていこうとするガッツが感じられて良い演奏。コンマスや管楽器のトップは途中で日本人とあちらの人が交替で勤めていた。

今年は1月に続いてムーティ様を二度も聞けてほんとに幸せ。この日のような演奏を聴くと、やっぱりムーティのオペラを聴きたいな~、と思ってしまうが、財政的に無理なのが残念。。。。

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バレンボイム&シュターツ・カペレ・ベルリン [音楽]

2月20日(土) サントリーホール

バレンボイムとSKBが、日本でブルックナー・チクルスを敢行した。
ベートーヴェンやブラームス・チクルスはよくあるが、ブルックナーとは。え、ブルックナーって日本でそんなに人気あるんですか。
正直言うと、私はブルックナーは苦手で、この演奏会も最初は食指が動かなかったが、バレンボイムの弾き振りもあるのでやっぱり行くか~、と言う感じで足を運んだ。

この日はチクルス最終日。

プログラム
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番
ブルックナー:交響曲第9番

まずはバレンボイムのピアノでモーツァルト。オケはガンガン鳴らすし、バレンボイムはちょっとお疲れな感じもし、特に第2楽章などねちっこく聞こえて、個人的にはあまり好みのモーツァルトではなかった。もうちょっと、軽やかで爽やかなのが好みなの。やっぱりバレンボイムはベートーヴェンやブラームスみたいな方が向いてるのかな。。。?
でもバレンボイムは機嫌よかったらしく、アンコール2曲も弾いてくれた。
モーツァルトのピアノソナタ第10番から第2楽章アンダンテ・カンタービレ、第3楽章アレグレット。
ちょっと得した気分。だって他の日はアンコールなかったようなので。コンチェルトよりソナタの方がすっきりしていて良かったなあ。

後半はメインのブルックナー。先述の通り、普段あまりブルックナーを聴かないので、他の演奏との比較はできない。
オケは、モーツァルトより人数を加え、厚みがさらに増した。特に弦パートの圧力がグイグイ押してくる感じ。金管もパワフル。そこへ木管が天上から差し込む光のように透明感のある美しい響きを乗せる。ああ、ドイツのオケだな~、と聞き惚れる。

バレンボイムは、どっちかというと無骨にも見える指揮ぶりでムーティみたいな華麗な棒さばきではない。でも素晴らしい求心力があって、オケを引っ張っていく。
時に怒濤のように響く音がホールを満たし、時にひそやかな木管のソロが耳をくすぐる。その大波小波に飲み込まれて、気がつくとぽかんと口を開けて聴いていた。

いや、上手く言えないけど、これは凄いものを聴いているに違いない。それだけはわかる。今この時、サントリーホールに何かが舞い降りてきている、そういう感覚。

ブルックナー、面白いじゃないの。
うん十年クラシック聴いてきて初めてそう思ったくらいだった。これからもうちょっとちゃんと聞こうかな。

それにしても、チクルス全部通ったお客さんもいるんだろうな。強者。経済的にも、だけど。
チクルスの最終日と言うこともあったのかも知れない。何かしら、尋常ではない「気」が満ちているような演奏だった。


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ムーティ&シカゴ交響楽団 [音楽]

1月19日(火) 東京文化会館
チラシ.JPG

待ちに待ったムーティとシカゴのコンビによる来日。いつになったら来てくれるんだろうと首を長くして待っていた。

プロコフィエフ:交響曲 第1番 ニ長調op.25「古典交響曲」
ヒンデミット:弦楽と金管のための協奏音楽 op.50

チャイコフスキー:交響曲 第4番 ヘ短調 op36

コンビ初来日は期待を裏切らない素晴らしい演奏。シカゴはショルティと聞いて以来だから四半世紀ぶりだが相変わらずの輝かしいサウンドで圧倒する。音の密度が高く塊となって客席に迫る。その一方でppの音色は美しくメロディは思いっきり歌う。そのコントラストの強さに酔う心地。

それもムーティの卓越した統率力あってこそ。手綱を引き締めたり緩めたり、まさに自在な棒さばきでオケを制御する。煽り、歌わせ、揺さぶる。ちょっとでも気を緩めたら暴れ出す馬を乗りこなすかのよう。ムーティ・マジック健在。

1曲目はプロコの「古典」、ロッシーニ風の明るく軽快なメロディにプロコ流の鋭敏な表情が混じる、その入れ替わりが鮮やか。木管陣が流麗な音を聞かせて絶品。

2曲目は珍しいヒンデミットの金管と弦楽の協奏曲。木管を入れず、シカゴの金管セクションが文字通り超弩級の迫力。弦も負けじと力強く。でもちゃんと制御された輝かしさがヒンデミットらしいほの暗さと相俟って不思議な魅力を出した。

メインはチャイ4。躁鬱的に派手派手しいほどのうるささと、対称的にメランコリックで美しいメロディが交差する。緩徐楽章ではこんなきれいな曲だったっけ、と思うことしばしば。ムーティのオケを歌わせる力が見事に発揮され、ダイナミクスの豊かさが彩りを鮮明にして激しく心を揺さぶる名演。

アンコールはなかったが、それでも十分するくらい、がっつり聴いた!と言う満足感でいっぱい。
相変わらず背中からフェロモンでまくりのムーティ様健在で、感激。ムーティは死ぬまで枯れるなんてことないんだろうな、きっと。
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メネセス&ピリス デュオ・コンサート [音楽]

11月7日(土) すみだトリフォニー・ホール

マリア・ジョアン・ピリス[ピアノ]
アントニオ・メネセス[チェロ]

曲目
ベートーヴェン:ピアノとチェロのためのソナタ 第2番 ト短調 op.5-2
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 op.111

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV.1008
ベートーヴェン:ピアノとチェロのためのソナタ 第3番 イ長調 op.69*

アンコール:ショパン:チェロソナタ より第3楽章

ピリスは前にコンチェルトで聴いたことがあるが、メネセスは初めて。どちらかというと、メネセス目当てで行ったのだが、ピリスがそれはそれは素晴らしかった。

2曲目のソロ、ベートーヴェン最後のソナタ、第1楽章のの情念渦巻く力強さから一転、第2楽章は密やかな甘さを含んだ悲しみと優しさに満ちて、天国への扉をそっと開けるかのよう。諦観なのか、祈りなのか。晩年のベートーヴェンが闘いの多かった人生の終わりに到達した心境は。。。泣けた。

一方、巨漢のメネセス(小柄なピリスが肩までしかないw)は、もっとゴリゴリ弾くのかと思いきや、繊細で緻密な音楽。バッハの無伴奏は知的で淡い影をまといながらも澄んだ表情を聞かせる。雄渾とは違う、意外に繊細さを感じさせ、でも小さくまとまらずひろやか。

もちろん、デュオも良かった。
繊細なタッチで清潔な美音のピリスと、温かく穏やかな中にときおり厳しさも見せるメネセスが上手くブレンドされて、極上のベートーヴェン。
特に第3番の第3楽章、二人が対話するような掛け合いが親密さがあり愉悦に浸る。

アンコールのショパンはやさしく天上の響き。音楽の素晴らしさに酔った。極上のひとときだった。
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NHK音楽祭 ヤルヴィ&NHK交響楽団 [音楽]

10月8日(木) NHKホール

曲目
ドビュッシー : 牧神の午後への前奏曲
ラヴェル : ピアノ協奏曲
ベルリオーズ : 幻想交響曲

今期からN響の首席指揮者に就任したばかりのパーヴォ・ヤルヴィとN響の演奏会を早速聴いた。
プログラムはフランスものばかり。パリ管を振っていたヤルヴィだからお得意?

ラヴェルのソロは、ジャン・イヴ・ティボーデ。久しぶりに聴いた。若い頃はイケメンで貴公子だったけど、今はそれなりにお歳を召して、ダンディなおじさんになっていた。でも音楽は洗練された繊細な表現とスタイリッシュな感覚がこの曲にぴったり。華があって素敵。
(しかし、この曲の第3楽章のメロディがゴジラのテーマに聞こえるようになってしまって困っている。)

ベルリオーズの幻想はヤルヴィの統率力が遺憾なく発揮され、オケもよく応えてぐんぐんと推進力のある演奏。叙情的な部分と、力強い部分ときっちり変化がついて、メリハリがあり、だが大仰でもなく美しい。
N響、良い指揮者を迎えたな。良いコンビになりそう。新時代の幕開けを感じた。

とは言え、良いホールが増えた現在、NHKホールでクラシックを聞くのはいささか辛い。この日も、ほんとうはもっといい音なんだろうなあ、と頭の中で3割増しに変換しながら聴いていたが。
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ハイティンク指揮 ロンドン交響楽団 [音楽]

9月28日(月) サントリーホール

モーツァルト : ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K491
マーラー : 交響曲第4番 ト長調

指揮 ベルナルト・ハイティンク
ピアノ:マレイ・ペライア
ソプラノ: アンナ・ルチア・リヒター
ロンドン交響楽団

御年86才の巨匠、ハイティンクが3年ぶりに来日した。前回と同じLSOを率いて。前回、もう最後かもしれない、と思ったので、また聴けると言うだけで嬉しかったが、演奏は前を上回る素晴らしさだった。

まずはペライアをソリストにモーツァルト。ペライアはまさに天上の音楽と言った響き。美しく優しく儚く心に染みる。控えめで透明なハーモニーのLSO管セクションが好サポート。端正なハイティンクの指揮もモーツァルトにふさわしく、清潔な美しさ。

休憩を挟んで後半はマーラー。私はあんまりマーラーは好きじゃないし、詳しくもない。でも、聴いていて涙が出そうになった。
ハイティンクは曲の諧謔性は抑えつつも 枯淡とも違う、ふくよかで端正で清潔な表情を作り出した。応えるオケも管の美音、弦の晴れやかさでとにかく美しい音楽。ソプラノのリヒターも清らかな美声で華を添える。
こんなに美しいマーラー聴いたことない。心が洗われるよう。ただただ聴き入った。まさに魂が震えるような名演。音楽に酔いしれるとはこのことか。幸福な時間に感謝あるのみ。

アンコールはなかったが、団員が引っ込んだ後も立ち去りがたく、多くの人が拍手を送ったらハイティンクさんはもう一度出てきてくれた。ただただ、ありがとうございましたという気持ちでいっぱいだった。
また来日して下さってありがとう。どうぞお元気で、また来て下さい。
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マレイ・ペライア&アカデミー室内管弦楽団 [音楽]

11月13日(木) サントリーホール

指揮&ピアノ:マレイ・ペライア
アカデミー室内管弦楽団

プログラム
メンデルスゾーン: 弦楽のための交響曲第7番 ニ短調
モーツァルト: ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K467
J.S.バッハ: ピアノ協奏曲第7番 ト短調 BWV1058
ハイドン: 交響曲第94番 ト長調 Hob.I-94 「驚愕」

同じ組み合わせで確か10数年前に聞いているはず。プログラムをはっきり覚えていないんだけど。
今回も目当てはペライア。どうも私は、豪腕系より、ダン・タイソンとかこの人のような、美音で聞かせるピアノが好きみたい。

1曲目は指揮者なしのアンサンブルで。こぢんまりとした編成。指揮なしでも息の合ったところを聞かせる。

白眉は二曲目のモーツァルト。ペライアのピアノはオーソドックスで奇をてらわず。端正で瑞々しい。第2楽章のあの有名なメロディも甘過ぎず品よくさらりと、しかしとても美しく聞かせた。ああ、やっぱり良いわ、ペライア。決して押しつけがましくないのに、勘所をきちっと押さえて聞かせてくれる。決して「どうだ」というような演奏ではないのに、ひたひたと胸に響くものがある。

バッハは個人的にはやはりチェンバロで聞きたいのでまぁまぁといったところだが、ペライアの美点はここでも十分に発揮された。

最後のハイドンは、もうおまけみたいな気分だったのだが、これが意外にと言っては失礼だがとても良かった。オケだけを取ってみれば、これがいちばんだったかもしれない。さすが手練れの集団、しっかりしたアンサンブルで引き締まった演奏。大編成のフルオーケストラとはひと味違う、室内オケの良さを堪能した。

弾き振りでペライアも疲れたのか、アンコールはなし。派手さはなかったが、とてもすっきりとして後味の良い演奏会だった。
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ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団 [音楽]

11月7日(金) サントリーホール

ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団
指揮: アントニオ・パッパーノ
チェロ: マリオ・ブルネロ

プログラム
ヴェルディ: オペラ「ルイザ・ミラー」序曲
ドヴォルザーク: チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
アンコール
  ビナレック: アルメニア民謡
  J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲第6番 ニ長調 BWV1012から ガヴォット

 ブラームス: 交響曲第2番 ニ長調 op.73
アンコール
 ヴェルディ: オペラ「運命の力」序曲
 ポンキエッリ: 「ラ・ジョコンダ」から 時の踊り

オケも指揮者も、初めて聞く。もちろん名前は知ってたけど。イタリアのオケはスカラ座のオケしか聞いたことなかった。このコンサートもブルネロ目当てで行ったので、実はそんなに期待していなかったのだが、いやあ、びっくり。素晴らしい演奏会だった。

《ルイザ・ミラー》から既にエンジンのかかった輝かしい音色。ほほう。

ドヴォルザークのコンチェルトは明朗で粒の立った音色のオケとブルネロの豊潤でよく歌うソロがよく合って、なんとも気持ちの良い演奏。スケールの大きな、名演と言うより快演と言った方が似合うような、本当に気持ちのよい演奏。オケのクラリネットとフルートのソロは特筆。

アンコールでは、珍しいビナレックの アルメニア民謡と言う曲。これは、チェロのソロに、オケのチェロパートが伴奏で附くというチェロだけのアンサンブルというちょっと面白い曲だった。

ブラームスも良かった。
パッパーノは音楽のボジティヴな面を全面的に引き出す上手さがある。聴いてて物凄い快感!オケも応えて管のまろやかで豊かな音、弦の爽快な響きと聞き所満載。こんなに快活で清明なブラームスがイタリアのオケで聴けるなんて!
ほんとに素晴らしかった。パッパーノ、次世代をリードする指揮者かも。

でもこの日のハイライトはアンコールの「運命の力」だったかも。まさに水を得た魚のよう。ノリノリ、豪勢で血のたぎるヴェルディ!うん、ムーティとスカラを思い出す。ムーティのオケをコントロールする緻密さにはまだ及ばないけどとにかくエネルギッシュ!生で聴く醍醐味に酔う。

とにかく、オケがのびのび、生き生きと良く歌う。ドイツの名門オケのような分厚さはなく、お国柄か、カラッと爽快な音色と演奏。こんなに聞いていてワクワクと心躍るような演奏は滅多にない。なんだか凄く得した気分。ああ、楽しかった!って思える演奏会ってそうはない。今度来たら、また絶対聴きに行こう、と思う演奏だった。


ドヴォルザーク:交響曲第9番&チェロ協奏曲

ドヴォルザーク:交響曲第9番&チェロ協奏曲

  • アーティスト: ドヴォルザーク,パッパーノ(アントニオ),ローマ・サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団,ブルネロ(マリオ)
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2014/08/27
  • メディア: CD



ロッシーニ:序曲集

ロッシーニ:序曲集

  • アーティスト: パッパーノ(アントニオ),ロッシーニ,サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2014/10/22
  • メディア: CD



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