THIS IS JAPAN IN TOKYO [美術]
東京富士美術館
https://www.fujibi.or.jp/thisisjapan/
八王子の美術館、うちからは横浜に行くより遠くて、これまでなかなか出かける機会がなかった。
知らなかったけど、創価学会の施設なんですね。
この展覧会は所蔵品の中から日本美術を「キモカワ」「サムライ」「デザイン」「黄金」「四季」「富士山」などのテーマでわかりやすく陳列。
円山応挙「狗子之図」
これは「キモ」はなくただ「カワ」イイ、可愛い。応挙はよく似た仔犬図を何点も描いていて、よほど犬好きだったのかな。
キモカワでは他に若冲や国芳など。
サムライでは刀剣、甲冑などの他に合戦図なども。
個人的に楽しかったのは「デザイン」のコーナー。琳派の絵画を中心に、書跡など美しいものが並ぶ。
伝 俵屋宗達 松桜図屏風
鈴木其一 萩月図襖
「黄金」のコーナーは金箔をふんだんに使った狩野派の屏風、蒔絵の道具など。
桐鳳凰蒔絵硯箱
金梨子地(きんなしじ)に平蒔絵と高蒔絵が施された豪奢な硯箱。
四季のコーナーも日本画らしい美しい作品が並ぶ。琳派、狩野派などの屏風絵、明治以降の日本画も多い。
横山大観 「春秋」
「富士」ではもちろん北斎の富嶽三十六景や広重の東海道五十三次などの浮世絵が多いがこの吉田博の版画があったのが嬉しい。
吉田博 「鈴川」
どのコーナーも優品が多く見応え十分。遠くまで行った甲斐があった。
常設展示もあり、こちらは西洋絵画もたくさんあってこれも楽しめた。
https://www.fujibi.or.jp/thisisjapan/
八王子の美術館、うちからは横浜に行くより遠くて、これまでなかなか出かける機会がなかった。
知らなかったけど、創価学会の施設なんですね。
この展覧会は所蔵品の中から日本美術を「キモカワ」「サムライ」「デザイン」「黄金」「四季」「富士山」などのテーマでわかりやすく陳列。
円山応挙「狗子之図」
これは「キモ」はなくただ「カワ」イイ、可愛い。応挙はよく似た仔犬図を何点も描いていて、よほど犬好きだったのかな。
キモカワでは他に若冲や国芳など。
サムライでは刀剣、甲冑などの他に合戦図なども。
個人的に楽しかったのは「デザイン」のコーナー。琳派の絵画を中心に、書跡など美しいものが並ぶ。
伝 俵屋宗達 松桜図屏風
鈴木其一 萩月図襖
「黄金」のコーナーは金箔をふんだんに使った狩野派の屏風、蒔絵の道具など。
桐鳳凰蒔絵硯箱
金梨子地(きんなしじ)に平蒔絵と高蒔絵が施された豪奢な硯箱。
四季のコーナーも日本画らしい美しい作品が並ぶ。琳派、狩野派などの屏風絵、明治以降の日本画も多い。
横山大観 「春秋」
「富士」ではもちろん北斎の富嶽三十六景や広重の東海道五十三次などの浮世絵が多いがこの吉田博の版画があったのが嬉しい。
吉田博 「鈴川」
どのコーナーも優品が多く見応え十分。遠くまで行った甲斐があった。
常設展示もあり、こちらは西洋絵画もたくさんあってこれも楽しめた。
岡田美術館 [美術]
https://www.okada-museum.com/
箱根2日目は岡田美術館。こちらも初訪問。
実はあまりよく知らなくて、日本画がメインの美術館だと思っていたら、5階のうち1,2階は東洋陶磁器でその質量に圧倒された。特に中国、朝鮮のコレクションでは、大阪の東洋陶磁美術館と並ぶものではないだろうか。
青磁貼花牡丹唐草文瓢形瓶 元時代
青花紅彩龍濤文盤 清時代
青磁象嵌雲鶴菊文瓢形水注 高麗
これらほんの一部。もちろん青磁も青花も赤絵もずらり。部屋を移っても移っても終わらない(苦笑)。
もちろん日本のものも大量で、乾山、仁清はもちろん、柿右衛門や鍋島も良いコレクションがありどれを見てもため息。
ああ、もっと時間を取って見に行けば良かった。
本当の目的は、特別展示の若冲。
孔雀鳳凰図
月に叭々鳥図
おなじみ極彩色のものからどこかユーモラスな水墨画まで若冲の魅力を楽しめる。
また同時代の画家、応挙や蕪村らも並べて、この時代の京都画壇が俯瞰できる。
日本画ももちろんこの他にもたっくさんあって、障壁画も多く、まじで時間が足りなかった。
お庭に行く暇もなく残念。
今度行くときはもっとたっぷり時間を取って行きたい。
箱根2日目は岡田美術館。こちらも初訪問。
実はあまりよく知らなくて、日本画がメインの美術館だと思っていたら、5階のうち1,2階は東洋陶磁器でその質量に圧倒された。特に中国、朝鮮のコレクションでは、大阪の東洋陶磁美術館と並ぶものではないだろうか。
青磁貼花牡丹唐草文瓢形瓶 元時代
青花紅彩龍濤文盤 清時代
青磁象嵌雲鶴菊文瓢形水注 高麗
これらほんの一部。もちろん青磁も青花も赤絵もずらり。部屋を移っても移っても終わらない(苦笑)。
もちろん日本のものも大量で、乾山、仁清はもちろん、柿右衛門や鍋島も良いコレクションがありどれを見てもため息。
ああ、もっと時間を取って見に行けば良かった。
本当の目的は、特別展示の若冲。
孔雀鳳凰図
月に叭々鳥図
おなじみ極彩色のものからどこかユーモラスな水墨画まで若冲の魅力を楽しめる。
また同時代の画家、応挙や蕪村らも並べて、この時代の京都画壇が俯瞰できる。
日本画ももちろんこの他にもたっくさんあって、障壁画も多く、まじで時間が足りなかった。
お庭に行く暇もなく残念。
今度行くときはもっとたっぷり時間を取って行きたい。
モネとマティス もう一つの楽園 [美術]
ポーラ美術館
https://www.polamuseum.or.jp/sp/monet_matisse/
前々から一度行ってみたかった箱根のポーラ美術館。やっと思い立っていってきました。
今やっている展覧会はモネとマティス。どちらかというとマティスが目当て。
とは言ってもやっぱりモネも素敵。特に日差しの明るさが感じられるものが好き。
モネ《ジヴェルニーの積み藁》1884年
そしてモネといえば蓮。
これは左が1907年、右が1906年。比べると、蓮の葉や花の位置がほとんど同じ。モネの庭師は毎日同じ位置に蓮があるように整えていたという。
屋外を描くことがほとんどだったモネに対し、マティスは室内を好んだようだ。ニースにアトリエを構え、室内や窓辺に座るモデルを何枚も描いている。
マティス「鏡の前の青いドレス」1937年
マティス「リュート」1943年
昔はマティスの色使いについて行けなかった。なんでこんなごちゃごちゃなんだろうって。今もわかるわけではないが、この大胆さにむしろ惹かれる気がする。
この「リュート」は、その後タペストリーも制作されていてその実物も展示されていた。
またモネの睡蓮を原画とするタペストリーも。
モネは自ら造り出した庭に、マティスは自ら装飾を施した室内のアトリエに、それぞれ理想を求め、それを描き続けた。理想としたものは違ってもアーティストとして追い求めたものには共通点がある。それを再認識させてくれた展覧会。
https://www.polamuseum.or.jp/sp/monet_matisse/
前々から一度行ってみたかった箱根のポーラ美術館。やっと思い立っていってきました。
今やっている展覧会はモネとマティス。どちらかというとマティスが目当て。
とは言ってもやっぱりモネも素敵。特に日差しの明るさが感じられるものが好き。
モネ《ジヴェルニーの積み藁》1884年
そしてモネといえば蓮。
これは左が1907年、右が1906年。比べると、蓮の葉や花の位置がほとんど同じ。モネの庭師は毎日同じ位置に蓮があるように整えていたという。
屋外を描くことがほとんどだったモネに対し、マティスは室内を好んだようだ。ニースにアトリエを構え、室内や窓辺に座るモデルを何枚も描いている。
マティス「鏡の前の青いドレス」1937年
マティス「リュート」1943年
昔はマティスの色使いについて行けなかった。なんでこんなごちゃごちゃなんだろうって。今もわかるわけではないが、この大胆さにむしろ惹かれる気がする。
この「リュート」は、その後タペストリーも制作されていてその実物も展示されていた。
またモネの睡蓮を原画とするタペストリーも。
モネは自ら造り出した庭に、マティスは自ら装飾を施した室内のアトリエに、それぞれ理想を求め、それを描き続けた。理想としたものは違ってもアーティストとして追い求めたものには共通点がある。それを再認識させてくれた展覧会。
竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス [美術]
山種美術館
https://www.yamatane-museum.jp/exh/2020/takeuchiseiho.html
栖鳳の人気作品「班猫」をはじめ、山種所蔵の動物を描いた作品を集めた展覧会。千葉市美の「どうぶつ大行進」と似たテーマ。ただこちらは近代日本画のみ。
竹内栖鳳「班猫」
どうぶつを描くのが好きだったらしい栖鳳の代表作でもある。江戸時代までの絵画とは違うリアルな毛並み、宝石のような瞳。背景には何も描かず、ただ猫がいるだけのシンプルな絵だが猫好きならずとも惹きつけられる。
竹内栖鳳《鴨雛》
同じく栖鳳。個人的にはこっちの方が好き。毛並みまで描き込んだ猫に比べ、ささっと粗いタッチの雛の羽毛がそれでもふわふわと柔らかそう。
奥村土牛《兎》
もふもふといえば負けていないのがこのうさぎ。いや、全然毛並みなんて描き込んでない省略も良いところの描き方なんだけど、まるっとしたうさぎの愛らしさよ。
山口華楊《生》
生まれたばかりの子牛。なんだかまだきょとんとした表情が愛らしい。
小林古径《猫》
一瞬、狐かと思った。。。けど猫なんですね。
この他、小さいものは御舟の昆虫から大きいものは西村五雲の白熊まで、大小様々な生き物が見られる。どれも画家の生き物へ注ぐ眼差しの優しさあるいは生への畏怖などが感じられて、楽しい展覧会。
https://www.yamatane-museum.jp/exh/2020/takeuchiseiho.html
栖鳳の人気作品「班猫」をはじめ、山種所蔵の動物を描いた作品を集めた展覧会。千葉市美の「どうぶつ大行進」と似たテーマ。ただこちらは近代日本画のみ。
竹内栖鳳「班猫」
どうぶつを描くのが好きだったらしい栖鳳の代表作でもある。江戸時代までの絵画とは違うリアルな毛並み、宝石のような瞳。背景には何も描かず、ただ猫がいるだけのシンプルな絵だが猫好きならずとも惹きつけられる。
竹内栖鳳《鴨雛》
同じく栖鳳。個人的にはこっちの方が好き。毛並みまで描き込んだ猫に比べ、ささっと粗いタッチの雛の羽毛がそれでもふわふわと柔らかそう。
奥村土牛《兎》
もふもふといえば負けていないのがこのうさぎ。いや、全然毛並みなんて描き込んでない省略も良いところの描き方なんだけど、まるっとしたうさぎの愛らしさよ。
山口華楊《生》
生まれたばかりの子牛。なんだかまだきょとんとした表情が愛らしい。
小林古径《猫》
一瞬、狐かと思った。。。けど猫なんですね。
この他、小さいものは御舟の昆虫から大きいものは西村五雲の白熊まで、大小様々な生き物が見られる。どれも画家の生き物へ注ぐ眼差しの優しさあるいは生への畏怖などが感じられて、楽しい展覧会。
美の競演 ー 静嘉堂の名宝展 [美術]
静嘉堂文庫美術館
五島美術館に行ったらせっかくなのでこちらへも。
こちらも所蔵品の中から名品を、色々なテーマやジャンルの共通点のあるものを並べて「競演」させて楽しむ趣向。
例えば、茶道具の天目茶碗を並べたり、中国と朝鮮の山水画、刀剣に、工芸品などなど、単品でももちろん見応えがあるが、組み合わせの妙も楽しい。
重要文化財 春日本迹曼荼羅(かすがほんじゃくまんだら)鎌倉時代
春日鹿曼荼羅 室町時代
春日信仰図にはなぜか美しいものが多いけど、この二つもそう。
修復された春日本迹曼荼羅は、上部に山々、下部に鳥居を配し、春日十神を並べる。背景の紺色に映える。
鹿曼荼羅はその名のとおりご神体の鹿が高貴で鹿の鞍から伸びる榊の中の鏡には十一面観音。上部には春日の山々。
どちらもうっとりするほど美しい。
屏風絵では探幽と抱一の波濤図を並べる。
重要美術品 狩野探幽 波濤水禽図屏風(左隻) 江戸時代(17世紀)
酒井抱一 波図屏風 江戸時代 (1815年頃)
いちばん好きだったのはこの二つの並び。どちらも波を描いているだけだが実に雄大。特に抱一のこういう絵は珍しいのでは。前に座ってずっと眺めていたい。
抱一はこの他絵手鑑集もあり、これは色紙大の紙に花鳥をはじめ様々な物を描いた見本帳でどれも楽しい。
工芸では柴田是真の重箱が圧倒的な技法で素晴らしかった。
他にも浮世絵もあり、幅広いジャンルの作品が雑多な印象でなく並ぶのも興味深かった。
五島美術館に行ったらせっかくなのでこちらへも。
こちらも所蔵品の中から名品を、色々なテーマやジャンルの共通点のあるものを並べて「競演」させて楽しむ趣向。
例えば、茶道具の天目茶碗を並べたり、中国と朝鮮の山水画、刀剣に、工芸品などなど、単品でももちろん見応えがあるが、組み合わせの妙も楽しい。
重要文化財 春日本迹曼荼羅(かすがほんじゃくまんだら)鎌倉時代
春日鹿曼荼羅 室町時代
春日信仰図にはなぜか美しいものが多いけど、この二つもそう。
修復された春日本迹曼荼羅は、上部に山々、下部に鳥居を配し、春日十神を並べる。背景の紺色に映える。
鹿曼荼羅はその名のとおりご神体の鹿が高貴で鹿の鞍から伸びる榊の中の鏡には十一面観音。上部には春日の山々。
どちらもうっとりするほど美しい。
屏風絵では探幽と抱一の波濤図を並べる。
重要美術品 狩野探幽 波濤水禽図屏風(左隻) 江戸時代(17世紀)
酒井抱一 波図屏風 江戸時代 (1815年頃)
いちばん好きだったのはこの二つの並び。どちらも波を描いているだけだが実に雄大。特に抱一のこういう絵は珍しいのでは。前に座ってずっと眺めていたい。
抱一はこの他絵手鑑集もあり、これは色紙大の紙に花鳥をはじめ様々な物を描いた見本帳でどれも楽しい。
工芸では柴田是真の重箱が圧倒的な技法で素晴らしかった。
他にも浮世絵もあり、幅広いジャンルの作品が雑多な印象でなく並ぶのも興味深かった。
至高の陶芸展 [美術]
五島美術館
すごく久しぶりに来たこちらの美術館、いつの間にか改装したらしく綺麗になってた。
今回の展覧会は、日本、中国、朝鮮の焼き物。館所蔵の優品が並ぶ。
まず日本は桃山時代から江戸時代のものが中心。織部から瀬戸、楽、乾山などがずらり。
重要文化財 鼠志野茶碗 銘 峯紅葉
白い亀甲紋が美しく浮かび上がり、赤みがかった釉薬と鼠色の釉薬の塩梅が絶妙な志野焼の逸品。
長次郎赤楽茶碗 銘 夕暮
楽家初代長次郎の作。すっきりとした形と色のグラデーションが美しい。
中国はもちろん青磁をはじめ三彩、景徳鎮や交趾など。
白磁蓮弁文水注 北宋時代・11世紀
純白の素地に透明釉が清楚。浮き彫りの連弁が華やかさを添える。
交趾柘榴香合 明時代・17世紀
現在のベトナム北部を指す交趾で焼かれた香合。交趾の香合は江戸時代人気があったらしく、藤田美術館の亀の形のものも有名。これも形が愛らしい。
朝鮮ももちろん青磁や辰砂など優品ばかり。個人的には中国より朝鮮の焼き物の方が好き。
粉青白地掻落牡丹文扁壺 朝鮮(李朝)時代・15世紀後半
ぼってりした形、おおらかな文様が掻き出しで描かれた素朴な味わいのツボ。日本では彫三島と呼ばれる。
どの国のものも広汎な種類を少しずつだが優品を揃えてあり見応え十分。展示総数はそれほど多くないのに、お腹いっぱいになれる。
もう一つの展示室では「更紗の魅力」と題して小裂の特集。こちらもインドを中心に西欧のものなど美しい貴重なものが並び、普段は先ほど見た茶碗の箱を包むのに使ってあるもの、などと書かれてあると「ふむふむ」となる。
展示を見た後は広いお庭も散策。花のない時季だったが緑が綺麗だった。
近代日本画の華展 [美術]
大倉集古館
昭和5年にローマで開催された「日本美術展覧会」の出品作を中心に、同時代の日本画家の作品を展示。
このローマ展は、横山大観、菱田春草ら日本美術院の画家だけでなく川合玉堂、竹内栖鳳ら官展系の画家たちも含む総勢80名が参加した、当時の日本画壇における一大プロジェクト。この展覧会を経済面で支援したのが大倉喜七郎。と言うわけでこの美術館とも関わりが深いのだ。と言うか、出品作のかなりはここの館蔵品になっている模様。
大観が描いたローマ展のポスター
菱田春草「かけす」
春草のこういう木や葉を描いた絵が好き。色数を抑えた表現が品が良くて。
橋本関雪「暖日」
猫!ふわふわ。
小林古径「木菟図」
ちょっとマンガみたいな木菟。
大観はおなじみの富士の画などが。大作「夜桜」は展示替えで拝見できず。
代わりに見られたのはこれ。
鏑木清方「七夕」
これは左隻。苧環や琴など七夕の設えが見える。
中にはローマ展に参加した人々の写真などもあり。大倉が誂えた関係者の揃の法被もあった。
見たことがある絵が多いのは、毎年夏にホテルオークラでやっていた美術展に出品されていたものがあるから。「七夕」もそうだし。そうか大倉集古館の所蔵品だったんだな。
ちなみにこのローマ展のために大倉喜七郎は「現在のお金で50億から100億は使ったのではないでしょうか」だそうである。この時代の財閥の財力は桁違い。
出品数はそんなに多くないけど、タイトル通り近代日本画の中枢だった画家の作品が並んで見応えあった。
昭和5年にローマで開催された「日本美術展覧会」の出品作を中心に、同時代の日本画家の作品を展示。
このローマ展は、横山大観、菱田春草ら日本美術院の画家だけでなく川合玉堂、竹内栖鳳ら官展系の画家たちも含む総勢80名が参加した、当時の日本画壇における一大プロジェクト。この展覧会を経済面で支援したのが大倉喜七郎。と言うわけでこの美術館とも関わりが深いのだ。と言うか、出品作のかなりはここの館蔵品になっている模様。
大観が描いたローマ展のポスター
菱田春草「かけす」
春草のこういう木や葉を描いた絵が好き。色数を抑えた表現が品が良くて。
橋本関雪「暖日」
猫!ふわふわ。
小林古径「木菟図」
ちょっとマンガみたいな木菟。
大観はおなじみの富士の画などが。大作「夜桜」は展示替えで拝見できず。
代わりに見られたのはこれ。
鏑木清方「七夕」
これは左隻。苧環や琴など七夕の設えが見える。
中にはローマ展に参加した人々の写真などもあり。大倉が誂えた関係者の揃の法被もあった。
見たことがある絵が多いのは、毎年夏にホテルオークラでやっていた美術展に出品されていたものがあるから。「七夕」もそうだし。そうか大倉集古館の所蔵品だったんだな。
ちなみにこのローマ展のために大倉喜七郎は「現在のお金で50億から100億は使ったのではないでしょうか」だそうである。この時代の財閥の財力は桁違い。
出品数はそんなに多くないけど、タイトル通り近代日本画の中枢だった画家の作品が並んで見応えあった。
おいしい浮世絵展 [美術]
森アーツセンターギャラリー
https://oishii-ukiyoe.jp/
浮世絵展は数々あれど、特定の絵師の特集とか、どこかの美術館のコレクション展とかがほとんどで、この展覧会のような描かれたものに注目したというのは珍しい。それも役者とか花魁とかの人物でなく、食べ物だ。
江戸時代というのは、それ以前に比べて食文化が格段に発達した時代で、今私たちが考える「和食」の基本ができあがったのがこの時代と考えていい。すなわち、そば、天ぷら、寿司、鰻、、、。こういった食べ物が上つ方のものでなく、庶民が口にできるものだったから、浮世絵にも描かれた。
「春の虹蜺」歌川国芳 天保7年(1836)
鰻を食べようとする女。
「縞揃女弁慶 松の鮨」歌川国芳
こちらは寿司。こどももほしいとねだるほど。
「風俗三十二相 むまそう」月岡芳年
天ぷら。
他にも団子などのお菓子や、スイカなど果物も、現在と変わらない。
また、江戸時代は参勤交代や伊勢参りなど旅をする人が増え、各地の名物料理が知られるようになった。
「東海道五十三次 鞠子 名物茶屋」歌川広重
ここの名物はとろろ汁。
そしてこういう浮世絵だけでなく、絵の中に出てくる食べ物を再現した写真やその作り方のパネルも展示してあって、どれを見ても食べたくなってしまう。
江戸時代が身近に感じられて楽しい展覧会だった。
https://oishii-ukiyoe.jp/
浮世絵展は数々あれど、特定の絵師の特集とか、どこかの美術館のコレクション展とかがほとんどで、この展覧会のような描かれたものに注目したというのは珍しい。それも役者とか花魁とかの人物でなく、食べ物だ。
江戸時代というのは、それ以前に比べて食文化が格段に発達した時代で、今私たちが考える「和食」の基本ができあがったのがこの時代と考えていい。すなわち、そば、天ぷら、寿司、鰻、、、。こういった食べ物が上つ方のものでなく、庶民が口にできるものだったから、浮世絵にも描かれた。
「春の虹蜺」歌川国芳 天保7年(1836)
鰻を食べようとする女。
「縞揃女弁慶 松の鮨」歌川国芳
こちらは寿司。こどももほしいとねだるほど。
「風俗三十二相 むまそう」月岡芳年
天ぷら。
他にも団子などのお菓子や、スイカなど果物も、現在と変わらない。
また、江戸時代は参勤交代や伊勢参りなど旅をする人が増え、各地の名物料理が知られるようになった。
「東海道五十三次 鞠子 名物茶屋」歌川広重
ここの名物はとろろ汁。
そしてこういう浮世絵だけでなく、絵の中に出てくる食べ物を再現した写真やその作り方のパネルも展示してあって、どれを見ても食べたくなってしまう。
江戸時代が身近に感じられて楽しい展覧会だった。
帰ってきた!どうぶつ大行進 展 [美術]
千葉市美術館
改装していた千葉市美術館のリニューアル第一弾の展覧会。千葉市中央区役所の上階にあったが区役所が移転、建物全体が美術館になった。企画展示室は従来通り7,8階。常設展示室が5階になり、その他のフロアもワークショップ夜図書室など充実した施設になったよう。
今回の展覧会は8年前に同館で開催された「どうぶつ大行進」展をさらにパワーアップした内容。日本美術で描かれた、ありとあらゆる生き物が登場する。
森一鳳 《象図屏風》 江戸時代末期
いちばん大きいのはやはり象。
曽我蕭白《獅子虎図屏風》宝暦(1751〜64)期頃
日本画の虎の絵って、どれを見てもユーモラス。
小原 古邨 《木蓮に九官鳥》明治(1867-1912)末期
小さいものは子犬や猫、鳥、さらには虫まで。
とにかく質量ともに凄くて、どれも楽しい。館所蔵のものが多いので見たことがある絵がかなりあるが、何度見ても良い絵は素晴らしい。幅も広くて室町時代の水墨画から現代に近いものまで動物と名がつくものは虫から象までノンジャンル。日本画の世界ってほんとに生き物好きなんだな。西洋画でこれだけ集められないんでは。
くたくたになってたどり着いた最後の部屋に若冲や芳中らの名品がとどめを刺すように並んで圧巻。
図録ほしかったのになぜか制作なし。残念だ。
さらに常設展示もなかなか良かった。千葉市美、おすすめです。
改装していた千葉市美術館のリニューアル第一弾の展覧会。千葉市中央区役所の上階にあったが区役所が移転、建物全体が美術館になった。企画展示室は従来通り7,8階。常設展示室が5階になり、その他のフロアもワークショップ夜図書室など充実した施設になったよう。
今回の展覧会は8年前に同館で開催された「どうぶつ大行進」展をさらにパワーアップした内容。日本美術で描かれた、ありとあらゆる生き物が登場する。
森一鳳 《象図屏風》 江戸時代末期
いちばん大きいのはやはり象。
曽我蕭白《獅子虎図屏風》宝暦(1751〜64)期頃
日本画の虎の絵って、どれを見てもユーモラス。
小原 古邨 《木蓮に九官鳥》明治(1867-1912)末期
小さいものは子犬や猫、鳥、さらには虫まで。
とにかく質量ともに凄くて、どれも楽しい。館所蔵のものが多いので見たことがある絵がかなりあるが、何度見ても良い絵は素晴らしい。幅も広くて室町時代の水墨画から現代に近いものまで動物と名がつくものは虫から象までノンジャンル。日本画の世界ってほんとに生き物好きなんだな。西洋画でこれだけ集められないんでは。
くたくたになってたどり着いた最後の部屋に若冲や芳中らの名品がとどめを刺すように並んで圧巻。
図録ほしかったのになぜか制作なし。残念だ。
さらに常設展示もなかなか良かった。千葉市美、おすすめです。
月岡芳年 血と妖艶 [美術]
太田記念美術館
芳年は国芳の弟子で、幕末から明治にかけて活躍した。美人画などの繊細な絵も美しいが、「血みどろ絵」と呼ばれる凄惨な殺しの場面を描いた絵も人気を博した。今回の展覧会は、前後期に分けて、芳年の画業を「血」「妖艶」「闇」という3つのキーワードで探る。
「東錦浮世稿談 向疵与三」
これは芝居の一場面だが、それまでの役者絵でここまで血を描いたものはなかっただろう。
これ以外の血みどろ絵もかなり残虐なシーンを描いている。現代の目から見ると、写真に比べればリアルさでは劣るのだが、かえって想像力をかき立てられる気もして怖い。
「風俗三十二相 いたさう」
一方こちらは美人画の類いで、師の国芳にも似たようなシリーズがあるが、芳年の繊細な線描の美しさや着物の描き方に腕の確かさが感じられる。
国芳が例えば妖怪や幽霊画で怖がらせるとすれば、芳年は本物の人間の業を描いてゾクッとさせる。中には目を背けたくなるものさえあるが、やっぱり面白い。
前後期入れ替え。後期も見たい。
芳年は国芳の弟子で、幕末から明治にかけて活躍した。美人画などの繊細な絵も美しいが、「血みどろ絵」と呼ばれる凄惨な殺しの場面を描いた絵も人気を博した。今回の展覧会は、前後期に分けて、芳年の画業を「血」「妖艶」「闇」という3つのキーワードで探る。
「東錦浮世稿談 向疵与三」
これは芝居の一場面だが、それまでの役者絵でここまで血を描いたものはなかっただろう。
これ以外の血みどろ絵もかなり残虐なシーンを描いている。現代の目から見ると、写真に比べればリアルさでは劣るのだが、かえって想像力をかき立てられる気もして怖い。
「風俗三十二相 いたさう」
一方こちらは美人画の類いで、師の国芳にも似たようなシリーズがあるが、芳年の繊細な線描の美しさや着物の描き方に腕の確かさが感じられる。
国芳が例えば妖怪や幽霊画で怖がらせるとすれば、芳年は本物の人間の業を描いてゾクッとさせる。中には目を背けたくなるものさえあるが、やっぱり面白い。
前後期入れ替え。後期も見たい。