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三井家が伝えた名品・優品展 後期日本の古美術 [美術]

三井記念美術館

前期の東洋美術に続いて後期は日本美術。

第一室の茶器から圧倒される名品揃い。楽茶碗俊寬の渋さ、仁清の今見てもモダンな美しさ、志野の優美さ。

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黒楽茶碗(俊寛)長次郎作
どこがどう良いのか、正直よくわからない楽焼だが、それでもなんとなく見入ってしまう。

絵画は応挙がずらりで堪能。国宝雪松図を盛夏に見る贅沢に酔う。

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国宝『雪松図屏風』 円山応挙筆(左隻) 6曲1双江戸時代・18世紀
例年はお正月に展示される。夏に見るのは珍しい。

書跡、能の面等も。
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国 宝『熊野御幸記』 藤原定家筆 1巻 鎌倉時代・建仁元年(1201)

どれもこれも名品揃い。さすがは天下の三井のお宝と言うしかない。圧倒されました。
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The UKIYO-E 2020 ― 日本三大浮世絵コレクション [美術]

東京都美術館
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太田記念美術館(東京・原宿)、日本浮世絵博物館(長野・松本)、平木浮世絵財団の日本三大浮世絵コレクションから選りすぐりの作品を集めた大浮世絵展。

初期から江戸末期までほぼ年代順、作家毎にまとめて数枚ずつ。何しろ作家の数も多いので一人あたりは数点ずつになってしまい、お目当ての画家がいるとかえって物足りないかもしれないくらい。

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礒田湖龍斎 「雛形若菜の初模様 丁子屋内若鶴」 
色数に限りがあった初期から、錦絵が誕生した頃活躍した湖龍斎。吉原の風俗が人気。これも華やかな衣装が目を引く。

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歌川国政 「市川鰕蔵の暫」
役者絵は美人画と並ぶukiyoeの人気ジャンル。この構図は当時としても珍しかったのでは。

いちいちあげるのもきりがないほど、菱川師宣から、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳まで約60名の絵師の作品。どれも保存状態も良い絵ばかり。お腹いっぱい。これで前後期入れ替えだから恐れ入る。後期も行かなきゃ。
時間予約制なので比較的楽に見られるが、ガラガラというわけではもちろんない。
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ART in LIFE, LIFE and BEAUTY [美術]

サントリー美術館

改装のため休館していたサントリー美術館のリオープン第一弾の展覧会。本来5月からの予定だったのが、ご多分に漏れずコロナの影響で延期。やっと開催にこぎ着けた。
美術館の基本理念である「生活の中の美(Art in Life)」のもとに集められた所蔵品の中から、化粧道具や着物、酒器などの生活道具から、武士の装いである鎧兜など多岐にわたる品々が見られる。

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菊唐草蒔絵化粧具揃
大名のお姫様の道具だろうか。使うのがためらわれそうな豪華なもの。

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色絵葡萄鳥文瓢形酒注
有田らしい絵付けが美しい器。こんなので飲んだらお酒も一層美味しいだろう。

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縞螺鈿蒔絵茶箱
異国趣味の螺鈿を使った意匠が珍しい。

またこの展覧会では、古い作品だけでなく、野口哲哉や山口晃など現代美術家の作品も展示してあって、それも面白い。特に野口のミニチュアフィギュアとでも言うのか小さい武士の人形が屏風絵の前に置いてあったりするのが奇妙にマッチしていて楽しかった。


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きもの展 [美術]

東京国立博物館
https://kimonoten2020.exhibit.jp/index.html

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これも春から開催のはずが延期になっていて、中止にならずに良かった。

ここで言うきものとは、桃山時代以降、武家や庶民が着た小袖を中心としたもの。基本の形はほとんど変化がない中で、染織、刺繍と言った装飾手法の多様さ、描かれた柄の流行・変遷などをたどり、現在までの約500年の着物文化を見せる。

展示されているのはどれも身分の高い人や金持ちが着たであろう豪華なものばかり。こんなの本当に着てたのか、と感心するような。

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縫箔 白練緯地四季草花四替模様
安土桃山時代・16世紀
四替わりという大胆なデザイン。梅、藤、紅葉、雪持ち笹という四季を表すデザインそれぞれが見事。

中には秀吉の北の方寧々や、幕末の和宮や天璋院など有名人のものもあって、大河ドラマを思い浮かべながらあんなもんじゃなかったんだな、と思ったりして。

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小袖 黒綸子地波鴛鴦模様
江戸時代・17世紀
装飾手法の素晴らしさもさることながらこの大胆なデザイン。一体どんな女性がこれを着こなしたのか。

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振袖 紅紋縮緬地束熨斗模様
江戸時代・18世紀
これもまた大胆豪華。熨斗に見立てた一本一本が友禅染。ため息が出る。

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小袖 白綾地秋草模様
尾形光琳筆 江戸時代・18世紀
繊細で美しい光琳の直筆の絵。これなら今でも着られるかも。光琳が世話になった人の奥方のために描いたとか。豪華な刺繍よりも贅沢な品。

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陣羽織 黒鳥毛揚羽蝶模様
織田信長所用 安土桃山時代・16世紀
女物だけでなく男物も。信長着用というこれはさすがにユニークなデザイン。上の黒っぽい部分は鳥の羽を縫い付けてある。南蛮風の衣装も着たという信長だもの、これくらいはね。

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火消半纏 紺木綿地人物模様
江戸時代・19世紀
刺し子で描かれた勇壮な絵は浮世絵から採ったものか。江戸の火消しが粋を競ったであろう、男伊達を飾るきものは文句なしに格好いい。
なおこの半纏のコーナーには国芳の浮世絵も並べて展示してあったのは良かった。

着物そのものだけでなく、流行りの風俗を描いた屏風や浮世絵、美人画などの他、櫛笄などの髪飾り、印籠や根付、帯留めと言った周辺の品々も展示。

明治以降の銘仙などのモダンな着物、さらには戦後から現代の作家の作品まで盛りだくさん。
西洋の豪華なドレスに負けないどころか、凌駕するような絢爛豪華な日本の衣装の文化を堪能できる。
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「中世からルネサンスの写本 祈りと絵」展 [美術]

国立西洋美術館 [新館 版画素描展示室]
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2020manuscript2.html

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ロンドン・ナショナル・ギャラリー展を見た後、せっかくだから常設展示を、と寄ったところでとんでもない特集展示に遭遇した。
15~6世紀にヨーロッパで作られた写本リーフのコレクション。主に時祷書(一般の信者が日々の定められた時間に朗読する、聖書の抜粋や祈祷文などを収めた書物)で、全て肉筆の絵はもちろん文字にも装飾が施された、それはそれは美しい写本。
まだ印刷技術のなかった時代、こんなものを手にすることができたのは王侯貴族やよほど裕福な市民に限られただろう。

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そして驚きなのは、これが日本人の個人コレクションの寄贈だと言うこと。日本人でこのジャンルに興味を持ってコレクションする人がいたんだなあ。しかもそれを売却せず国立西洋美術館に寄託されたという奇特な方。本職は医師である内藤裕史氏のコレクションの成り立ちを記したリーフレットも興味深い。

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展示内容そのものと言い、圧倒されたというか、呆気にとられたと言うべきか。なんだかナショナル・ギャラリー展よりもある意味強い印象を受けた展示だった。企画展に行ったら、ぜひ寄って見て下さい。ほんとに素晴らしいから。
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ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 [美術]

国立西洋美術館
https://artexhibition.jp/london2020/

本当は春から開催の予定だったが、コロナの影響で延期になっていた。中止にならずに開催されて本当に良かった。ボストン美術館展は中止になってしまったもんね。

展示はイタリア・ルネッサンス絵画に始まり、オランダ絵画、イギリスの肖像画、などから最後はフランスの印象派まで、西洋絵画の主な歴史をたどるような構成。全作品日本初公開だそうだが、画家はほとんどが有名作家で名品がずらり。

イタリア・ルネッサンス絵画では、ボッティチェリ、テツィアーノ、ティントレットなど。

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ギルランダイオ「聖母子」1480-90年頃
色が本当に美しい。マリア様の衣装の金糸の縁取りのなんと繊細なこと。そして聖母子なのにやけに普通の母子っぽい親しみやすさ。ギルランダイオはミケランジェロの師匠でいわばルネッサンス絵画の草分け。その後のボッティチェリやラファエロに繋がる聖母子像の基本と言えるのだろう。

オランダ絵画ではフェルメールやハルスの人物画や静物画が並ぶがなんと言ってもレンブラント。

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レンブラント「34歳の自画像」1640年
34歳当時のレンブラントはいわば人生の絶頂期。自信にあふれた顔、高価そうな服(実は当時より100年ほど前の衣装。偉大な先達に自らをなぞらえていた?)。まあとにかく惹きつけられる。

イギリスの肖像画コーナーはヴァン・ダイクの影響を受けたレノルズ、ゲインズバラなど。

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ゲインズバラ「シドンズ夫人」1785年
モデルは当時美貌で人気だった女優だそう。確かに絶世の美女。あえて宝石などで飾り立てず華美すぎない服がかえって美貌をひきたてる。クールな表情さえも魅力的。ゲインズバラは風景画家でもあるが、人物画も素晴らしい。いやむしろ人物画の方が好き。

次の章はグランド・ツアーと題して、イギリスの良家の子息がイタリアにいわば物見遊山に出かけた折に求めた現地の風景画。カナレットのヴェネツィア風景など。

次はスペイン絵画で、ムリリョ、スルバラン、エル・グレコ、ベラスケス、ゴヤと大家が並ぶ。充実度ではこの章がいちばんだったかも。

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ゴヤ「ウェリントン公爵」1812-14年
モデルはスペイン独立戦争で活躍したイギリス軍人。フランスを打ち負かしてマドリードに入城した際に描かれた絵。なので勲章をいっぱいつけて威厳を示しているものの、表情はどこかぼんやり。ここがゴヤらしいところと言えるか。どんな偉い人でも内面を映し出してしまうゴヤの腕。解説ではゴヤが公爵がどれだけの苦労を経てその栄光に至ったか、を描くという近代性の持ち主だったと指摘。ちなみに公爵はこの絵が気に入らなかったようでイギリスに帰国後すぐに人にあげてしまったとか。さらにこの絵は1961年にナショナル・ギャラリーで展示中に盗難に遭い、4年後に戻されるという数奇な運命に見舞われている。

次の章は風景画とピクチャレスク。18世紀からイギリスで受容が高まった風景画。ロラン、コンスタブル、ターナーなど。

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ターナー「ポリュフェモスを嘲る(あざける)オデュッセウス」1829年
印象派の先駆者とも言われるターナー。空と海が溶け合った中に神話世界の物語を描いている。とは言っても解説を読まないと、正直どこに何が描かれているのかよくわからないくらい曖昧模糊としていて、でもそのなんだか不思議な空気と光の混ざり具合が後の印象派に繋がっているんだなと思う。

そして最終章はフランス印象派。ここはモネ、ルノワール、ドガなど大御所がずらり。この部屋だけでも印象派好きなら興奮しそう。

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ゴッホ「ひまわり」1888年
ゴーガンとのアルルでの共同生活のために描いたひまわり。ゴッホは全部で7枚のひまわりを描いたがその4枚目で最高作と言われる。ゴッホの高揚した心が圧倒的な黄色の洪水に反映されているのだろう。ある意味、ゴッホがいちばん幸せだった時の絵。

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ゴーガン《花瓶の花》 1896年
ゴッホを出したらゴーガンも出さないとね。展覧会はチラシを始めゴッホのひまわり推しだが私はゴーガンの方が好き。綺麗だけれどそれだけじゃなくてどこか引っかかる。物憂げでけだるい甘い匂いがする気がするのはタヒチの絵を連想するからだろうか。

とまあ、ここに出したのはほんの一部。全61作品日本初公開という大盤振る舞い。普通だったら行列ができるところを、幸か不幸か時間予約制でゆっくり見られるありがたさ。この機会を逃す手はない。


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三井家が伝えた名品・優品展 前期東洋の古美術 [美術]

三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

開館15周年記念だそう。館蔵品の中から選りすぐりの名品が並ぶ。初見のものはほとんどないがどれも素晴らしくて充実している。

始めに茶道具。高麗もの、南蛮ものの大名物、重要文化財が続々。

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玳玻天目・鸞天目(南宋時代/1101-1300)
小ぶりな茶碗だが見込みに描かれた尾長鳥とも呼ばれる鸞がくっきりとして美しい。

絵画では牧谿や沈 南蘋など。特に沈 南蘋の花鳥動物図は所蔵全11点を展示。

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沈 南蘋の絵は写実と華麗さの結合が見事。ただ、花の美しさに比べると、動物はよく見ると体のバランスがおかしかったり(虎の足が長すぎるとか、猫の顔が変とか)ちょっと突っ込みたくなるのもご愛嬌か。

次には拓本がずらり。現存しない王羲之などの碑の貴重なものもある。
珍しいのは切手。本来今年がオリンピックイヤーのためだろう、オリンピックの記念切手が並んでいた。

最後の部屋は工芸。ここでも三島茶碗など茶道具や、呉須の皿、 交趾の香合、堆漆など。この部屋が見るにはいちばん楽しかったかも。画像がないけど 祥瑞茄子香合などとても愛らしい。手にのるサイズの香合はどれもデザインが素敵で見飽きない。

後期は日本美術。これも楽しみ。

予約制ではないのにとても空いていた。もったいない。今が狙い目かも。
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古典×現代2020―時空を超える日本のアート [美術]

国立新美術館
https://kotengendai.exhibit.jp/index.html

外出自粛は解除になったけど、6月に体調を崩し、なかなか仕事以外の外出をする気力もなかった。
ここへ来てどうにか展覧会を見るくらいは大丈夫かな、と思って足を運んだ。
今はどこの美術館も時間予約制になっていて、混まずに見られるのはとりあえずありがたい。

この展覧会は、古典の作家と現代の作家を一人(一テーマ)ずつ組み合わせて、一部屋毎に区切って展示することで、古典に触発されたモダンアート、あるいは古いものと新しいものが響き合う、といった面白みを狙ったものだと思う。

私のような現代アートに疎いものには、申し訳ないがほとんどの現代作家は名前も知らない人でもちろん作品も初めて見る人の方が多い。
従って、この組み合わせが上手くいっているのかいないのかよくわからないものもあったし、正直つまらないものもあったのは事実。

素直に楽しめたのは、乾山×皆川明。乾山の色も形もデザイン性高い器とミナ ペルホネンブランドのポップなテキスタイルが調和してとても素敵だった。

わかりやすいのは北斎×しりあがり寿。北斎の富嶽三十六景を下敷きにした現代漫画風の絵がフフフと笑える楽しさ。絵だけでなく、アニメーションもあって、北斎(らしき人)が描きまくってるうちに自分の絵にのみ込まれていくような感じが面白かった。

建築家の田根剛が二つの仏像に照明を変化させてみせるインスタレーションも美しかった。明かりの当たり方で刻々と表情を変えるように見える仏像の厳かさ。

一方で、古典の作家の中には自然に沸き上がるものを絵なり形なりにしているように見える人がいるが、現代作家は先にこういうものを作ろうと決めてから作ってるように見えるものもあり、たぶん並んでいなければそういうことは思わなかっただろうな、とちょっと面白かった。
円空とか仙涯とかいわゆる作為を全く感じない。おそらく自分がアートを作ってる自覚すらなかっただろう。

とはいえ、展覧会の趣旨を理解できなくても、それぞれの作品だけを見ても十分楽しめる。少なくとも私は最後の蕭白の数点だけでも行った甲斐があった。


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奇才―江戸絵画の冒険者たち― [美術]

お久しぶりでございます。
ただでさえ更新が滞っていたところへご存じの通りの状況で、記事にするような観劇も展覧会も全てなくなって3ヶ月ばかり。。。
ここへ来てやっとちらほら再開され始めた美術館が、、、!
ということで、また閉まってしまってはいけないと、早速一つ行ってきました。

奇才―江戸絵画の冒険者たち―展
江戸東京博物館
https://kisai2020.jp/index.html

本来4月から始まる予定だったのが、延びに延びて6月2日からやっと開始。本当は前後期で展示替えもあったのが後期のみとなってしまいましたがそれでも開催されただけましかも。
入口で検温、アルコールで手を消毒してから入場。再開初日、平日とあって空いていた。他の人との距離をそんなに気にせず観られて良かった。

さて、江戸絵画の奇才、というフレーズは何年も前からブームのように使われてやや食傷気味。
今回取り上げられた絵師も、おなじみの若冲や蕭白、蘆雪などが名を連ね、正直新鮮味はないのも事実(なんて贅沢な)。
ただこの展覧会ではそういうビッグ・ネームだけではなく、比較的マイナーな、江戸や京以外で活躍した絵師もあったのは嬉しい。2年前に千葉美であった「江戸諸国絵師めぐり」で始めて知った絵師も多く出品。

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狩野山雪「寒山拾得図」
大御所は食傷気味、とは言え、やはりこの強烈さは奇才。

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長澤蘆雪「寒山拾得図」
同じ寒山拾得だが蘆雪の方が脱力したユーモラスさを感じてしまう。

脱力系なら中村芳中や耳鳥斉も楽しい。

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中村芳中「人物花鳥図鑑」より
単純化された鹿がほんわか。琳派風の樹木の美しさとのアンバランスというか絶妙のバランスというべきか。

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髙井鴻山 「妖怪図」
鴻山は小布施の人で北斎と親交があった。妖怪図を多く描いているが鴻山のオリジナルでどこから発想を得たのか、摩訶不思議。

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片山楊谷「竹虎図屛風」
寅の絵は数々あれど、こういう毛並みの描き方は他で見たことがない。なんだかハリネズミみたい。毛がツンツン立ってて触ると痛そう。

その他総勢30人以上の絵師。あまり知られていない絵師もいるがどれも面白い。
「奇才」とは、とちょっと考えてしまう面もあるが、素人は深く考えずに素直に楽しんだ。
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美濃の茶陶展 [美術]

サントリー美術館
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2019_4/index.html
黄瀬戸、瀬戸黒、志野、織部という美濃の焼き物の展覧会。
驚きなのは、これらが美濃(岐阜)で焼かれていたのがわかったのは昭和になってからで、それまでは瀬戸地方(愛知)だと考えられていたという。何も弥生時代の話ではない、桃山時代のことなのになぜそんなことになったんだろう。いくらでも資料が残っていそうなのに。不思議だ。

まあそういう学術的なことはさておき、展覧会としてはそれぞれの特徴を示しながら名品を並べていて、わかりやすく楽しめる。
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志野茶碗 銘 橋姫

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織部州浜形手鉢
どちらもそれぞれの特徴がよく表れている。

黄瀬戸は文字通り黄色い地、この展覧会で取り上げられている中ではいちばんシンプル。
一方瀬戸黒は、黒楽と通じるような豪胆な様子。

古陶だけでなく、昭和に入って美濃の研究に打ち込んだ荒川豊蔵と加藤唐九郎の作品もあり、新しい美濃の姿を見せてくれる。
また、有名コレクターの収集品もあって、数寄者の目にかなった品々を見るのは楽しかった。

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