七月大歌舞伎・昼の部 [舞台]
7月16日(月)
スーパー歌舞伎
三代猿之助 四十八撰の内 ヤマトタケル
小碓命後にヤマトタケル/大碓命 亀治郎改め猿之助
帝 中 車
タケヒコ 右 近
ワカタケル 初舞台團 子
兄橘姫/みやず姫 笑 也
弟橘姫 春 猿
老大臣 寿 猿
ヘタルベ 弘太郎
帝の使者 月乃助
倭姫 笑三郎
熊襲弟タケル/ヤイラム 猿 弥
尾張の国造 竹三郎
皇后/姥神 門之助
熊襲兄タケル/山神 彌十郎
開演前に、猿之助と中車二人だけの口上付き。普通と違って次の出番の衣装を着けての口上。二人だけのせいか、夜の部のよりもくだけた感じなのが良い感じ。
新猿之助が襲名披露に選んだのはスーパー歌舞伎のヤマトタケル。無理、と言う声を押し切ったと言うだけあって力も入っているし、なにより本当にノっているのが観ていて良くわかる。そういえば、数年前どこかの座談会で新しい歌舞伎座で何がやりたいか、と聞かれて「ヤマトタケル」って即答していたもんな。ずっとやりたくてしようがなかったんだろう。
文字通り、ほぼ全編出ずっぱり。始めには大碓と小碓の早替わりを見せ、熊襲討伐では女に化けて踊ったあとで大立ち回り、という具合で体力的にもきつい演目を、2ヶ月続けてやっているのだからすごいもんだ。でもほんとに楽しそう。
先代猿之助のヤマトタケルは観ていないので比較できないが、なんだかまるで新猿之助のためにある演目のような気さえしてきた。それくらいぴったりはまっていて、身についている。猿之助のためにも、この演目のためにも、良かったと思う。
芝居の部分でも、父帝に受け入れられない寂しさと悲しさがひしひしと感じられ、その上愛する弟橘姫を失い、武功を上げても満たされないタケルの悲痛が、死の床での「大和に帰りたい」の絶唱となって胸を打った。思わずぼろぼろ泣いてしまった。
中車の帝は喉を痛めたか声が出しづらそうだったが、不自然さはなく、威厳と貫禄があった。初舞台同様、新歌舞伎、スーパー歌舞伎でなら十分通用しそう。
他の周りは再演に再演を重ねた人ばかりだから、安定感一杯で、二人を支えていた。
特に、右近のタケヒコは自身タケルもやった人だけに十分なサポート。新猿ちゃんはずいぶん助けられてるんじゃないかな。
女形陣も活躍。中でいちばん好きなのは笑三郎の倭姫。大人の女の余裕を持ちながら、情のある様子を暖かく演じて貫禄。
笑也の兄橘姫の美しさには脱帽。特に終幕、悲しみを抑えて息子のワカタケルを見守っていこうとする強さが気高い。
春猿の弟橘姫も、可愛さと一途さがある。ちょっとブリッ子っぽいけど。
彌十郎、猿弥も体をはっての力演。門之助も二役で存在感たっぷり。
弘太郎ってほんとは幾つなんだろう。いつまでも少年が似合う不思議な人だ。
團子ちゃんのワカタケルは可愛らしいが、テレビニュースで観た先月のに比べると、台詞の伸ばし方がちょっとしつこい感じがした。。。もうちょっと自然に、ね。
作品としては本当に良くできていて、衣装も豪華だし、熊襲討伐や、火のシーン、水のシーン、等々どの場面も見映えがして文句なしに楽しい。歌舞伎を観たことがない人にも無理なくお薦めできる演目。もっとも、普通の古典歌舞伎とはまったく異なるジャンルと思った方が良いけれど。むしろ宝塚みたいだなあ、なんて思いながら観ていた。
スーパー歌舞伎
三代猿之助 四十八撰の内 ヤマトタケル
小碓命後にヤマトタケル/大碓命 亀治郎改め猿之助
帝 中 車
タケヒコ 右 近
ワカタケル 初舞台團 子
兄橘姫/みやず姫 笑 也
弟橘姫 春 猿
老大臣 寿 猿
ヘタルベ 弘太郎
帝の使者 月乃助
倭姫 笑三郎
熊襲弟タケル/ヤイラム 猿 弥
尾張の国造 竹三郎
皇后/姥神 門之助
熊襲兄タケル/山神 彌十郎
開演前に、猿之助と中車二人だけの口上付き。普通と違って次の出番の衣装を着けての口上。二人だけのせいか、夜の部のよりもくだけた感じなのが良い感じ。
新猿之助が襲名披露に選んだのはスーパー歌舞伎のヤマトタケル。無理、と言う声を押し切ったと言うだけあって力も入っているし、なにより本当にノっているのが観ていて良くわかる。そういえば、数年前どこかの座談会で新しい歌舞伎座で何がやりたいか、と聞かれて「ヤマトタケル」って即答していたもんな。ずっとやりたくてしようがなかったんだろう。
文字通り、ほぼ全編出ずっぱり。始めには大碓と小碓の早替わりを見せ、熊襲討伐では女に化けて踊ったあとで大立ち回り、という具合で体力的にもきつい演目を、2ヶ月続けてやっているのだからすごいもんだ。でもほんとに楽しそう。
先代猿之助のヤマトタケルは観ていないので比較できないが、なんだかまるで新猿之助のためにある演目のような気さえしてきた。それくらいぴったりはまっていて、身についている。猿之助のためにも、この演目のためにも、良かったと思う。
芝居の部分でも、父帝に受け入れられない寂しさと悲しさがひしひしと感じられ、その上愛する弟橘姫を失い、武功を上げても満たされないタケルの悲痛が、死の床での「大和に帰りたい」の絶唱となって胸を打った。思わずぼろぼろ泣いてしまった。
中車の帝は喉を痛めたか声が出しづらそうだったが、不自然さはなく、威厳と貫禄があった。初舞台同様、新歌舞伎、スーパー歌舞伎でなら十分通用しそう。
他の周りは再演に再演を重ねた人ばかりだから、安定感一杯で、二人を支えていた。
特に、右近のタケヒコは自身タケルもやった人だけに十分なサポート。新猿ちゃんはずいぶん助けられてるんじゃないかな。
女形陣も活躍。中でいちばん好きなのは笑三郎の倭姫。大人の女の余裕を持ちながら、情のある様子を暖かく演じて貫禄。
笑也の兄橘姫の美しさには脱帽。特に終幕、悲しみを抑えて息子のワカタケルを見守っていこうとする強さが気高い。
春猿の弟橘姫も、可愛さと一途さがある。ちょっとブリッ子っぽいけど。
彌十郎、猿弥も体をはっての力演。門之助も二役で存在感たっぷり。
弘太郎ってほんとは幾つなんだろう。いつまでも少年が似合う不思議な人だ。
團子ちゃんのワカタケルは可愛らしいが、テレビニュースで観た先月のに比べると、台詞の伸ばし方がちょっとしつこい感じがした。。。もうちょっと自然に、ね。
作品としては本当に良くできていて、衣装も豪華だし、熊襲討伐や、火のシーン、水のシーン、等々どの場面も見映えがして文句なしに楽しい。歌舞伎を観たことがない人にも無理なくお薦めできる演目。もっとも、普通の古典歌舞伎とはまったく異なるジャンルと思った方が良いけれど。むしろ宝塚みたいだなあ、なんて思いながら観ていた。
mamiさま、こんにちは。
ぼろ泣きでしたよね!
新・猿之助のヤマトタケル、胸を揺さぶる舞台でしたよね!(食い気味)
今でもヤマトタケルの悲痛と新猿ちゃんのオトコマエっぷりを思い出すと、
涙と鼻血が同時に出そうになります…。
それにしても…
mamiさまの簡潔かつ的確な文章の記事を読ませていただいた後に
興奮しっぱなしの自分の暴走&迷走記事を読み直すと…
同じ舞台のレポのはずなのにこうも違うのか、と愕然とさせられます(笑)。
by ★とろりん★ (2012-07-20 08:48)
とろりんさん、
私、亀ちゃんの舞台見て泣いたことなかったんですよ。感心するけどなんか遠い感じだった。それが今回のタケルはほんとにストレートに訴えかける熱さを感じて涙が止まりませんでした。
私も吉右衛門さんの記事では暴走しますから。とろりんさんのあっつい記事楽しませていただいてますよ~!
by mami (2012-07-21 00:15)
先代猿之助の「ヤマトタケル」を2度、見たので、昔の記憶をたどって、
比較しながら、記事を読みました。15年以上前のことだけど、笑也の
美しさが群を抜いていました。今でも美しいと、mamiさんが書いて
くださってるのを読んで、そんな長い間、美しさを保ってるとはすごい、
と感心しました。團子ちゃんがセリフをのばすの、わかります。夜の部
の口上でも、伸ばして、うけてましたから。
by TaekoLovesParis (2012-07-24 23:38)
TaekoLovesParisさん、
先代さんのを見てらっしゃるンですね。うらやましいです。
笑也さんはほんとにまったく歳を感じさせない綺麗さで、うっとりするくらいでした!秘訣を教えていただきたいです(笑)。
團子ちゃん、変に癖をつけず、真っ直ぐ育ってほしいですね。将来に大いに期待しています。
by mami (2012-07-25 22:40)