四月花形歌舞伎 通し狂言 仮名手本忠臣蔵 夜の部 [舞台]
4月16日(月)
先週に続いて夜の部。だけのはずだったが、昼の部が予想以上に面白かったので買い足して、この日は通しで観劇。
昼の部では松緑の師直がぐっと良くなっていて驚いた。若い人の1週間は大きいね。
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
同 二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
七段目 祇園一力茶屋の場
十一段目 高家表門討入りの場
同 奥庭泉水の場
同 炭部屋本懐の場
【五・六段目】
早野勘平 亀治郎
斧定九郎 獅 童
不破数右衛門 亀三郎
千崎弥五郎 亀 寿
百姓与市兵衛 寿 猿
判人源六 薪 車
一文字屋お才 亀 鶴
母おかや 竹三郎
女房おかる 福 助
【七段目】
大星由良之助 染五郎
寺岡平右衛門 松 緑
千崎弥五郎 亀 寿
竹森喜多八 萬太郎
矢間重太郎 巳之助
大星力弥 児太郎
仲居おつる 歌 江
鷺坂伴内 猿 弥
斧九太夫 錦 吾
遊女おかる 福 助
【十一段目】
大星由良之助 染五郎
大星力弥 児太郎
小汐田又之丞 廣太郎
木村岡右衛門 廣 松
大鷲文吾 宗之助
竹森喜多八 萬太郎
小林平八郎 亀 鶴
六段目の勘平は、亀治郎が藤十郎に習ったという上方式。なぜ共通点のない藤十郎のをやろうと思ったかは判らないが、五、六段目を通じて亀治郎は生真面目な色男の風情で好演。台詞回しが時折藤十郎そっくりでびっくり。さすが研究熱心な人らしい。でも亀ちゃんの上手さは私にはあざとさが鼻につくときがあって苦手。特に五段目の花道の入りとか。慌てて足を取られそうになる様子とか、上手いんだ。上手いんだけど、なんかわざとらしい気がするのよね。
それに、こういうフツーのそれも運の悪い男ってニンじゃないなあ。いかにも切れ者、もしくは超人的な力の持ち主って感じだもん。昼の道行幕切れなんか吉野山みたいに六方踏みそうな気がしてしょうがなかった。
おかやの竹三郎がさすがに絶品。上方式の方が江戸式よりおかやの存在感が強い気がするが、勘平が夫を殺したと思い込み責める様子、間違いだったと判って腹を切った勘平に泣きすがる様子、どちらにも心情がこもって泣かせる。
一文字やお才は笑三郎休演で亀鶴代演だが予想以上の好演。立ち役の方が多い人だが、京言葉も自然だし、花街の女将らしい色気と腹の据わった様子もあり上々。
不破と千崎の亀兄弟も実直な様子を見せた。
七段目の染五郎の由良之助は、四段目に比べると、ううん?、って感じ。特に酔態は、難しいんだねえ。四段目以上に包み込むような大きさが必要だし。でも本当によく勉強してるのは伝わってきて、気持ちは良かった。逃げずに真っ向勝負しているのも判るし、色気もあるし、今後に期待。
福助のおかるは、六段目では神妙。七段目も由良之助とのやりとりまでは良かったのだが、平右衛門とのやりとり、特に殺されそうになって花道に逃げて、枝折り戸外からの芝居がいつものブリブリずっこけになってしまって興醒め。あそこさえなければ可愛げがあってとても良かったのに。
平右衛門は松緑。さすがに昼の師直よりはやりやすかったろう。ただはじめの三人侍と一緒の場面では台詞が高止まりの一本調子で聞きづらい。もう少し力を抜いた方が良いのでは。おかるとのやりとりでは本来の力が出て、妹への情と、小身者の足軽が敵討ちに加わりたい必死さが一途に出て好演。
いやしかし、松緑ってほんとに奴とか足軽とか似合うなあ。(勝手に当代一の奴役者と呼んでます)
幕切れは十一段目。引き揚げはなく勝ち鬨で終わる形。
立ち回りの主役小林は亀鶴。ここではきびきびとした動きと敵役らしい陰のある様子を見せた。今月は昼の薬師寺と合わせて三役、どれもまったく違う趣の役を立派に務めて感心。花形だけじゃなく大歌舞伎でももっと活躍して欲しい人。
児太郎の力弥は、七段目はまあ何とか。でも立ち回りはなんだか刀が手についていない感じで危なっかしい。
とまあ、若手花形を中心とした忠臣蔵。昼の感想でも書いたが、とても気持ちよく観られて楽しかった。大げさに言えば、歌舞伎の未来は明るい!という気持ちになった。
先週に続いて夜の部。だけのはずだったが、昼の部が予想以上に面白かったので買い足して、この日は通しで観劇。
昼の部では松緑の師直がぐっと良くなっていて驚いた。若い人の1週間は大きいね。
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
同 二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
七段目 祇園一力茶屋の場
十一段目 高家表門討入りの場
同 奥庭泉水の場
同 炭部屋本懐の場
【五・六段目】
早野勘平 亀治郎
斧定九郎 獅 童
不破数右衛門 亀三郎
千崎弥五郎 亀 寿
百姓与市兵衛 寿 猿
判人源六 薪 車
一文字屋お才 亀 鶴
母おかや 竹三郎
女房おかる 福 助
【七段目】
大星由良之助 染五郎
寺岡平右衛門 松 緑
千崎弥五郎 亀 寿
竹森喜多八 萬太郎
矢間重太郎 巳之助
大星力弥 児太郎
仲居おつる 歌 江
鷺坂伴内 猿 弥
斧九太夫 錦 吾
遊女おかる 福 助
【十一段目】
大星由良之助 染五郎
大星力弥 児太郎
小汐田又之丞 廣太郎
木村岡右衛門 廣 松
大鷲文吾 宗之助
竹森喜多八 萬太郎
小林平八郎 亀 鶴
六段目の勘平は、亀治郎が藤十郎に習ったという上方式。なぜ共通点のない藤十郎のをやろうと思ったかは判らないが、五、六段目を通じて亀治郎は生真面目な色男の風情で好演。台詞回しが時折藤十郎そっくりでびっくり。さすが研究熱心な人らしい。でも亀ちゃんの上手さは私にはあざとさが鼻につくときがあって苦手。特に五段目の花道の入りとか。慌てて足を取られそうになる様子とか、上手いんだ。上手いんだけど、なんかわざとらしい気がするのよね。
それに、こういうフツーのそれも運の悪い男ってニンじゃないなあ。いかにも切れ者、もしくは超人的な力の持ち主って感じだもん。昼の道行幕切れなんか吉野山みたいに六方踏みそうな気がしてしょうがなかった。
おかやの竹三郎がさすがに絶品。上方式の方が江戸式よりおかやの存在感が強い気がするが、勘平が夫を殺したと思い込み責める様子、間違いだったと判って腹を切った勘平に泣きすがる様子、どちらにも心情がこもって泣かせる。
一文字やお才は笑三郎休演で亀鶴代演だが予想以上の好演。立ち役の方が多い人だが、京言葉も自然だし、花街の女将らしい色気と腹の据わった様子もあり上々。
不破と千崎の亀兄弟も実直な様子を見せた。
七段目の染五郎の由良之助は、四段目に比べると、ううん?、って感じ。特に酔態は、難しいんだねえ。四段目以上に包み込むような大きさが必要だし。でも本当によく勉強してるのは伝わってきて、気持ちは良かった。逃げずに真っ向勝負しているのも判るし、色気もあるし、今後に期待。
福助のおかるは、六段目では神妙。七段目も由良之助とのやりとりまでは良かったのだが、平右衛門とのやりとり、特に殺されそうになって花道に逃げて、枝折り戸外からの芝居がいつものブリブリずっこけになってしまって興醒め。あそこさえなければ可愛げがあってとても良かったのに。
平右衛門は松緑。さすがに昼の師直よりはやりやすかったろう。ただはじめの三人侍と一緒の場面では台詞が高止まりの一本調子で聞きづらい。もう少し力を抜いた方が良いのでは。おかるとのやりとりでは本来の力が出て、妹への情と、小身者の足軽が敵討ちに加わりたい必死さが一途に出て好演。
いやしかし、松緑ってほんとに奴とか足軽とか似合うなあ。(勝手に当代一の奴役者と呼んでます)
幕切れは十一段目。引き揚げはなく勝ち鬨で終わる形。
立ち回りの主役小林は亀鶴。ここではきびきびとした動きと敵役らしい陰のある様子を見せた。今月は昼の薬師寺と合わせて三役、どれもまったく違う趣の役を立派に務めて感心。花形だけじゃなく大歌舞伎でももっと活躍して欲しい人。
児太郎の力弥は、七段目はまあ何とか。でも立ち回りはなんだか刀が手についていない感じで危なっかしい。
とまあ、若手花形を中心とした忠臣蔵。昼の感想でも書いたが、とても気持ちよく観られて楽しかった。大げさに言えば、歌舞伎の未来は明るい!という気持ちになった。
mamiさま、
ワタシも15日に昼夜通しで観劇しました。
通しは5年ぶり位?でしたので、集中力とか足のむくみとか(笑)心配だったのですが、若手の熱演に惹き込まれましたね。歌舞伎の未来は明るい!
亀ちゃんのあざとさ、福助さんのブリブリ芝居、亀鶴さんの安定感、松緑さんののびやかさ…。激しく、激しく同意です。自分のレポで書こうかなって思っていたことをmamiさまがさくっと書いてくださったので、ついついこちらで満足して、自分の記事は「mamiさまの記事をリンクさせてもらえば良いや~」って、ものすごく手抜きな事を考えちゃいました(苦笑)。
by ★とろりん★ (2012-04-18 11:45)
とろりんさん、こんばんは。
あら、一日違いでしたか。私も通しはしんどいかな、と思ったのですが、思いの外楽しくて苦になりませんでした。
いや~、あざといなんて亀贔屓の方のひんしゅくを買いそうで申し訳ありません。でもご同意いただけてホッとしました。
手抜きせずにとろりんさんのレポも楽しみにしていますからね!
by mami (2012-04-18 23:44)