四月花形歌舞伎 通し狂言 仮名手本忠臣蔵 昼の部 [舞台]
4月9日(月) 新橋演舞場
忠臣蔵の通しは何度か見ているが、花形世代の役者ばかりでの挑戦というのは初めてではないかしら。五・六段目だけとかならあるけど。どの役者もほとんどが初役というチャレンジングな上演。さてその成果は。
大 序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場
三段目 足利館門前進物の場
同 松の間刃傷の場
四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場
同 表門城明渡しの場
浄瑠璃 道行旅路の花聟
【大序・三段目】
高師直 松 緑
桃井若狭之助 獅 童
顔世御前 松 也
足利直義 亀 寿
塩冶判官 菊之助
【四段目】
塩冶判官 菊之助
石堂右馬之丞 亀三郎
薬師寺次郎左衛門 亀 鶴
顔世御前 松 也
大星力弥 右 近
原郷右衛門 薪 車
斧九太夫 錦 吾
大星由良之助 染五郎
【道行】
腰元おかる 福 助
鷺坂伴内 猿 弥
早野勘平 亀治郎
いちばんの難役はやはり師直だろう。老け役でありながら色好み、敵役だが品はなくてはいけない。一生懸命とか勢いで務まるモノじゃない。
挑戦したのは松緑だがさすがに無理。大序では顔世に迫るエロ爺ぶりを徹底、三段目では判官を虐める憎々しさを目一杯やっていたが、高家の気品までは手が回らなかった様子。かえって喜劇性が強くなってしまったようで残念。
とは言え、細部まで気を配った演技はしていて、例えば三段目で判官が刀に手を掛けたときに「殿中だぞ」と言うのが、ちょっとびくっとした様子で、実は小心者という雰囲気が上手く出ていた。そういう細かい芝居が実は上手い人なんだな、松緑って。今回は当たって砕けた感じだけど、この難役に果敢に挑んだ気持ちの強さを買う。きっと将来生きてくると思う。
菊之助の判官は、、品があっておっとりした雰囲気の大序から、三段目で耐えに耐える姿、四段目での覚悟を決めた静けさの中に無念さを秘めた様子、と少しずつきっちり表現を変えているのが良かった。桜丸とか、こういう悲運の貴公子、というのが本当にぴったり。この判官も、お父さん同様、いずれは本役になるだろう。
四段目の染五郎の由良之助は、一言で言えば気迫で押し切った。貫禄不足という声もあるが周囲も若いせいもあってそんなに感じなかった。判官の元に駆けつけて判官の遺志を酌み取るハラがよく気持ちが入って上々。また、普段評定の場を面白いと思ったことがなかったが、諸士と由良之助の談判が切迫していて緊張感が強くて面白かった。そして城外、一人判官の無念を思いやり涙する姿に感動。良い大石でした。(大きな声じゃ言えないが、お父さんより私は好きだな、うん)
道行は実は半分くらい寝落ちてしまったのであまりちゃんと見てないのだが。。。
この若手の中では兄貴分になる福助のお軽、さすがに手慣れた様子。いつものやり過ぎ感もなくまずまず。
亀治郎の勘平、色男らしい色気があり、踊りも上手い。
ただこの二人が似合いのカップルかというと、ちょっとどうだろう、と言う違和感はあった。
猿弥の判内も手堅い。
そのほかも皆好演。
松也の顔世が品がありたおやかで良かった。
獅童も久々にまともに歌舞伎やってた。短気な若殿の雰囲気が良く出ていた。
亀三郎の石堂に情があり、亀鶴の薬師寺はやや控えめ。
全般に若手の懸命さがとても伝わってきて、大歌舞伎とは違う面白さと楽しさ。良い忠臣蔵だと思う。20年くらいして各々が本役になった時思い出せると良いだろうな。夜の部も楽しみ。
忠臣蔵の通しは何度か見ているが、花形世代の役者ばかりでの挑戦というのは初めてではないかしら。五・六段目だけとかならあるけど。どの役者もほとんどが初役というチャレンジングな上演。さてその成果は。
大 序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場
三段目 足利館門前進物の場
同 松の間刃傷の場
四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場
同 表門城明渡しの場
浄瑠璃 道行旅路の花聟
【大序・三段目】
高師直 松 緑
桃井若狭之助 獅 童
顔世御前 松 也
足利直義 亀 寿
塩冶判官 菊之助
【四段目】
塩冶判官 菊之助
石堂右馬之丞 亀三郎
薬師寺次郎左衛門 亀 鶴
顔世御前 松 也
大星力弥 右 近
原郷右衛門 薪 車
斧九太夫 錦 吾
大星由良之助 染五郎
【道行】
腰元おかる 福 助
鷺坂伴内 猿 弥
早野勘平 亀治郎
いちばんの難役はやはり師直だろう。老け役でありながら色好み、敵役だが品はなくてはいけない。一生懸命とか勢いで務まるモノじゃない。
挑戦したのは松緑だがさすがに無理。大序では顔世に迫るエロ爺ぶりを徹底、三段目では判官を虐める憎々しさを目一杯やっていたが、高家の気品までは手が回らなかった様子。かえって喜劇性が強くなってしまったようで残念。
とは言え、細部まで気を配った演技はしていて、例えば三段目で判官が刀に手を掛けたときに「殿中だぞ」と言うのが、ちょっとびくっとした様子で、実は小心者という雰囲気が上手く出ていた。そういう細かい芝居が実は上手い人なんだな、松緑って。今回は当たって砕けた感じだけど、この難役に果敢に挑んだ気持ちの強さを買う。きっと将来生きてくると思う。
菊之助の判官は、、品があっておっとりした雰囲気の大序から、三段目で耐えに耐える姿、四段目での覚悟を決めた静けさの中に無念さを秘めた様子、と少しずつきっちり表現を変えているのが良かった。桜丸とか、こういう悲運の貴公子、というのが本当にぴったり。この判官も、お父さん同様、いずれは本役になるだろう。
四段目の染五郎の由良之助は、一言で言えば気迫で押し切った。貫禄不足という声もあるが周囲も若いせいもあってそんなに感じなかった。判官の元に駆けつけて判官の遺志を酌み取るハラがよく気持ちが入って上々。また、普段評定の場を面白いと思ったことがなかったが、諸士と由良之助の談判が切迫していて緊張感が強くて面白かった。そして城外、一人判官の無念を思いやり涙する姿に感動。良い大石でした。(大きな声じゃ言えないが、お父さんより私は好きだな、うん)
道行は実は半分くらい寝落ちてしまったのであまりちゃんと見てないのだが。。。
この若手の中では兄貴分になる福助のお軽、さすがに手慣れた様子。いつものやり過ぎ感もなくまずまず。
亀治郎の勘平、色男らしい色気があり、踊りも上手い。
ただこの二人が似合いのカップルかというと、ちょっとどうだろう、と言う違和感はあった。
猿弥の判内も手堅い。
そのほかも皆好演。
松也の顔世が品がありたおやかで良かった。
獅童も久々にまともに歌舞伎やってた。短気な若殿の雰囲気が良く出ていた。
亀三郎の石堂に情があり、亀鶴の薬師寺はやや控えめ。
全般に若手の懸命さがとても伝わってきて、大歌舞伎とは違う面白さと楽しさ。良い忠臣蔵だと思う。20年くらいして各々が本役になった時思い出せると良いだろうな。夜の部も楽しみ。
花形役者の忠臣蔵の通し狂言には、私も驚きましたが、見てみたいような、見るのが恐いような感じです。東京には6月には行けると思うのですが。歌舞伎座が再建中で、花形役者の活躍が目立つように思いますが、妙な現象ですね。おかげで、関西では幹部俳優の舞台が見られてうれしいのですが。20年後の舞台を見るまで長生きしないといけません。
by nori (2012-04-14 21:37)
noriさん、
今月の忠臣蔵は新鮮で良いですよ。
でも確かに花形歌舞伎が多すぎますね。たまになら良いんですが。。。
by mami (2012-04-15 00:53)