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4月歌舞伎公演「通し狂言 絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)」 [舞台]

4月8日(日) 国立劇場

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去年3月の公演が、震災の影響で中止されて観ることができず残念に思っていたが、一年を経ての再演。配役もほとんど同じ。
国立劇場45周年記念公演の最後を飾ることになった。
演目は大南北の「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ」。
仁左衛門が二役、それも両方とも大悪人を演じるのが話題。

まあ、とにかく二役とも人を殺して殺して殺しまくる、と言う感じでまさに血も涙もない、とはこのこと。正直言って、ストーリーを追っていると嫌になってしまう位なのだが、それで魅せるのが歌舞伎、と言うか役者の力なんだろうな。
仁左衛門は大学では冷酷ながら身分の高さを見せ、太平次は同じく残虐ながら卑しさを感じさせる演じ分けも見所。両者それぞれ殺しの場の見得の決まりも美しく、つくづく姿の良い人だなあと改めて感心する。
そして、特に大学の方では極悪人だがゾクッとするような色気もある。また、一方の太平次ではちょっとした愛嬌も感じさせる。
どっちも本当にひどいやつで、「悪い奴だけど憎めない」なんて言うのじゃなくて、ほんとに救いがたい悪人だが、そういうのをあの二枚目の仁左様がクールに演じているところがまあ歌舞伎の醍醐味か。口をへの字にして見得を切った姿なんて錦絵そのもの。はあ、ほんとに凄い人だ。だいたい、「殺しの美学」なんて外国の芝居などにあるんだろうか?

周りも良く揃った。
愛之助が儚げな二枚目ぶりで魅せた。この人は、二枚目でも強い役より、こういう「踏んだり蹴ったり」な目に遭う役が妙にはまる。忠臣蔵の勘平とか見たいな。
孝太郎も可愛げあり健気な様子。殺されてから幽霊となって出るところが儚げで良かった。

時蔵は対照的な二役。太平次と組むお松ではあだっぽい悪婆だが、ここはほんとはもっとこってりした悪女ぶりがほしいところか。一方の皐月は本役で、武家の妻女らしい品と凛とした様子がさすが。
秀太郎が太平次女房役。夫と違って善人らしい優しげな様子がぴったり。
左團次二役はどちらも善人側で、懐深いところを見せた。

梅枝も楚々とした若妻。高麗蔵が律義な様子。男女蔵は三枚目敵っぽいがやややり過ぎ。

まあ、南北らしいと言えば南北らしい、話としてはげんなりするくらい悪にどっぷり浸る芝居。もう一回見たいとは思わないかな。。。

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劇場の前庭は花盛り。桜はもちろん、ユキヤナギなども綺麗に咲いていた。
タグ:仁左衛門
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