三月大歌舞伎・昼の部 [舞台]
3月25日(日) 新橋演舞場
江戸絵両国八景
一、荒川の佐吉(あらかわのさきち)
序 幕 江戸両国橋付近出茶屋岡もとの前の場より
大 詰 長命寺前の堤の場まで
荒川の佐吉 染五郎
丸総女房お新 福 助
隅田の清五郎 高麗蔵
大工辰五郎 亀 鶴
極楽徳兵衛 宗之助
お八重 梅 枝
鍾馗の仁兵衛 錦 吾
成川郷右衛門 梅 玉
相模屋政五郎 幸四郎
仁左衛門の当たり役に染五郎が挑戦。
爽やかで真っ直ぐで心優しい佐吉を気持ちよく演じている。ほんとに佐吉って良いやつだよね~、と無理なく思わせてくれる。仁左様の佐吉だと、こんなちゃんとした人がなんでヤクザに憧れるんだろう、とふと思ったりしてしまうが、若い染五郎だとその辺もあまり無理を感じない。終盤はしっかり泣かせてもらった。今後持ち役になりそう。
亀鶴の辰五郎も人の好い弟分を誠実に演じて好感。染五郎と息もよく合って良いコンビ。亀鶴は正月の浅草も好演だったし、もっと活躍してほしい一人。
梅玉の成川は、悪役ながらただの無頼ではない、理屈っぽいインテリ風な味がありなかなか。
幸四郎の相政は貫禄。
梅枝のお八重が気の強いお嬢さんをしっかり演じた。
福助のお新は相変わらず泣きすぎだが、まあまあ、立つ瀬のない様子を見せた。
二、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
九段目 山科閑居
戸無瀬 藤十郎
大星由良之助 菊五郎
小浪 福 助
大星力弥 染五郎
お石 時 蔵
加古川本蔵 幸四郎
藤十郎の戸無瀬がさすがに圧倒的。なさぬ仲の娘への愛情と義理、武士の妻としての気概をこっくりとした濃厚な味わいで見せ、まさしくこれぞ義太夫狂言、という大きさ。小浪を討とうとして迷い、お石の「ご無用」の声にすがるように手を止める、その切なさに落涙。
対するお石は時蔵初役。藤十郎とはある意味対照的なすっきり系の作りだが、本心を隠して戸無瀬小浪に冷たくする苦しさをみせ、本蔵相手にはこちらもまた武家の妻の意地を見せた。
本蔵は幸四郎で、娘のためにわざと討たれる父の愛情と、あの騒動以来の忸怩たる思いにさいなまれてきた苦しさを見せ、気骨ある武士の悲しさがあった。
由良之助の菊五郎は、悪くないが、なんというか、やっぱり御家老より殿様の方が似合う人なんだなあ。ハラにためた芝居という柄ではないのだろうな。
顔ぶれが揃わないとなかなか上演されない九段目、今回はやはり藤十郎が突出した形になったのは否めないか。ぼってりこっくりの山城屋に、我が道を行く高麗屋、あっさり系の萬屋音羽屋、とこう来ては密度の高いアンサンブルとは言い難い。それでも何とか見せちゃうのが歌舞伎だけど。
江戸絵両国八景
一、荒川の佐吉(あらかわのさきち)
序 幕 江戸両国橋付近出茶屋岡もとの前の場より
大 詰 長命寺前の堤の場まで
荒川の佐吉 染五郎
丸総女房お新 福 助
隅田の清五郎 高麗蔵
大工辰五郎 亀 鶴
極楽徳兵衛 宗之助
お八重 梅 枝
鍾馗の仁兵衛 錦 吾
成川郷右衛門 梅 玉
相模屋政五郎 幸四郎
仁左衛門の当たり役に染五郎が挑戦。
爽やかで真っ直ぐで心優しい佐吉を気持ちよく演じている。ほんとに佐吉って良いやつだよね~、と無理なく思わせてくれる。仁左様の佐吉だと、こんなちゃんとした人がなんでヤクザに憧れるんだろう、とふと思ったりしてしまうが、若い染五郎だとその辺もあまり無理を感じない。終盤はしっかり泣かせてもらった。今後持ち役になりそう。
亀鶴の辰五郎も人の好い弟分を誠実に演じて好感。染五郎と息もよく合って良いコンビ。亀鶴は正月の浅草も好演だったし、もっと活躍してほしい一人。
梅玉の成川は、悪役ながらただの無頼ではない、理屈っぽいインテリ風な味がありなかなか。
幸四郎の相政は貫禄。
梅枝のお八重が気の強いお嬢さんをしっかり演じた。
福助のお新は相変わらず泣きすぎだが、まあまあ、立つ瀬のない様子を見せた。
二、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
九段目 山科閑居
戸無瀬 藤十郎
大星由良之助 菊五郎
小浪 福 助
大星力弥 染五郎
お石 時 蔵
加古川本蔵 幸四郎
藤十郎の戸無瀬がさすがに圧倒的。なさぬ仲の娘への愛情と義理、武士の妻としての気概をこっくりとした濃厚な味わいで見せ、まさしくこれぞ義太夫狂言、という大きさ。小浪を討とうとして迷い、お石の「ご無用」の声にすがるように手を止める、その切なさに落涙。
対するお石は時蔵初役。藤十郎とはある意味対照的なすっきり系の作りだが、本心を隠して戸無瀬小浪に冷たくする苦しさをみせ、本蔵相手にはこちらもまた武家の妻の意地を見せた。
本蔵は幸四郎で、娘のためにわざと討たれる父の愛情と、あの騒動以来の忸怩たる思いにさいなまれてきた苦しさを見せ、気骨ある武士の悲しさがあった。
由良之助の菊五郎は、悪くないが、なんというか、やっぱり御家老より殿様の方が似合う人なんだなあ。ハラにためた芝居という柄ではないのだろうな。
顔ぶれが揃わないとなかなか上演されない九段目、今回はやはり藤十郎が突出した形になったのは否めないか。ぼってりこっくりの山城屋に、我が道を行く高麗屋、あっさり系の萬屋音羽屋、とこう来ては密度の高いアンサンブルとは言い難い。それでも何とか見せちゃうのが歌舞伎だけど。
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