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寛治を聴く会 [音楽]

3月18日(日) 奈良県新公会堂 能楽堂

文楽三味線の人間国宝、寛治さんが会を開かれた。滅多にない機会なので、ちょうど秀山祭と合わせて聴きに行ってきた。

場所は奈良公演の端っこ。ロビーから見えるお庭もとても素敵。でも能楽堂って行きつけないから、どこに座ったらいいか戸惑ってしまった(自由席だったので)

始めに司会の人と寛治さんのレクチャーで、彦六の型の説明が。寛治さんが他の文楽三味線だとこう、彦六系はこう、と実演してくださり興味深かった。はんなりして案外華やかな手らしい。寛治さんはしっとり地味な印象だったけど違ったのね。

ただの伴奏ではなく義太夫の言葉にない部分を音で表すのが彦六系だと。例として野崎村のお光がお染を閉め出すとこで戸をぴっしゃりの手をつける、幕切れで駕籠かきの足取りだけでなく舟の水音も挟むなど。
さらに、同じ遊女でも阿古屋とお俊では格が違うから手も違う。お俊の方がいやらしい感じ(笑)とか。
はああ、奥が深い。私のような素人には、そこまで聞き分けるのはまだまだ無理だわ。

「先代(当代のお父さん)は死ぬまで毎日忠臣蔵九段目の、冒頭の雪の表現を稽古して「あかん、あかん、まだまだや」と言うてた。自分も稽古してるけどまだ本公演で弾いたことないのでいつかやってみたい。」とのこと。聞きたい!

休憩を挟んではじめに咲甫大夫と寛太郎で「国性爺合戦」の楼門の段。出だし二人ともやや固く、また登場人物も多い場面なので人形がいないと今誰がしゃべっているのか瞬時にわかりづらい。まだ本公演でこういう段をやる人たちではないだろうが、今後に期待。

寛太郎君が演奏終わって立ち上がろうとして、足が痺れて歩けないみたいだったのがおかしかった。普段は盆が回るから立つとこ見えないもんね。でも寛太郎君みたいに小さい時からお稽古して正座慣れてそうな人でもやっぱり痺れるのね~。

後半はお待ちかね、津駒大夫と寛治で絵本太功記「尼崎閑居の場」(太十)。
さすがに前半の若い二人とは格の違いを見せつけた。津駒さんも骨太で柄の大きな語りで立派だったけど、今日ばかりは寛治さんの三味線の方に重点を置いて聴く。
もちろん、先程解説してもらったような他の系列との違いなんてわからないが、寛治さんの決して出しゃばらないのに弾き所を抑えたというか、ここぞというところでじんじん心に響くような演奏が本当にお見事。オーソドックスというか、王道を行くというか、これ見よがしなところが全くない、それでいて本当に上手いと感じる。そんな演奏。
ああ、私はやっぱり文楽の三味線では寛治さんがいちばん好きだ~!と改めて思った。ほんまにええもん聴かせてもろうて、と思えた演奏会。また来年もおやりになるかな。機会があればぜひもっとたくさんの人に聞いてほしい。(ちょっと客席が寂しかったので)

今は彦六系の三味線を受け継いでいるのは寛治さんだけという。寛太郎君にはぜひとも継承してほしいと思う。

お土産いただきました。「身代わり猿」を型どったお菓子だそうです。美味しかった。でもお店の名前がわかんない(^_^;)(多分奈良のお店だと思います)
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コメント 2

★とろりん★

mamiさま、

能楽堂で三味線と語りを聴くなんて、素敵な催しですね。
普通のホールとは違った不思議な響きがするので、能楽堂は私にとってはとても心地よい空間です。

文楽は行きたい行きたいと思いつつも、なかなか足を運べなくて・・・(汗)。いつもmamiさまのレポばかりを頼りにしてしまいます。
by ★とろりん★ (2012-03-26 16:27) 

mami

とろりんさん、こんばんは。
この能楽堂まだ新しいのかとても綺麗なところでした。能楽堂って普通のホールとは違う厳かな雰囲気がしますね。

文楽も面白いですよ。機会があればぜひどうぞ。
とはいえ、私も能・狂言になかなか手が届きません。時間もお金も限りがありますしねえ。。。
by mami (2012-03-26 22:57) 

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