SSブログ

御園座顔見世興行・夜の部 [舞台]

10月24日(月)

日帰りなので、昼に続いて夜も観劇。

一、双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)
  角力場                 
放駒長吉  歌 昇改め又五郎                
山崎与五郎       染五郎               
平岡郷左衛門       由次郎               
三原有右衛門       桂 三                 
藤屋吾妻       芝 雀                
濡髪長五郎       吉右衛門

夜の又五郎襲名披露狂言。
長吉と与五郎を早替わりでやることもあるが、今回は又五郎は長吉のみ。
又五郎の長吉は、相撲取りとは言っても素人で、それが大関取の長五郎を負かしたとあって得意満面。登場したときから、その上気した有頂天な様子が初々しい。それが、長五郎によって実はわざと勝たせてもらったとわかった怒りや、誇りを傷つけられた悔しさなど、少年らしい真っ直ぐな一途さが素直に出た。

相手をする濡れ髪は吉右衛門がつきあう。小屋の戸口からぬっと現れたときの大きさ立派さにまず目を奪われる。もちろん、元々長身な人でお相撲さんらしく着込んでもいるのだろうが、そういう見た目だけでない、柄の大きさというか、存在感の重さというか、とにかく大きい。
そして与五郎相手にはあくまで若旦那として立てながらも、保護者のような包容力を見せ、一方長吉には言葉遣いは丁寧ながら気迫で圧倒するような、格の違いを見せつける。大人の男の余裕がたっぷりしていて、色気さえ感じさせて、ゾクゾクするような格好良さと素敵さ。
昼の大蔵卿の愛嬌もよかったけど、この濡髪も絶品だった。

でも物語としては、いつも長吉の言うことの方が理にかなっていて、可哀想だよ、と思うけどね。

与五郎は染五郎で、こういうつっころばしの若旦那が上手くはまるようになった。
吾妻は芝雀が付き合う。これも売れっ子の芸者らしいはんなりした味わいが上々。

二、棒しばり(ぼうしばり)                
次郎冠者       三津五郎                
曽根松兵衛       秀 調                 
太郎冠者       海老蔵

三津五郎がさすがに上手いところを見せる。可笑しさもあり、棒に縛られたまま酒を飲んだり、扇を左手から右手へ放って受け止めたり、と器用さを見せつつも行儀が悪くならないのがこの人の良いところ。家元の踊りを堪能するにはやや物足りない演目だが、楽しく見せてもらった。

踊り上手の三津五郎に海老蔵を組ませるなんて、なんか罰ゲームかと思ったが、思ったよりはそつなく海老蔵もやっていた。ただ台詞が聞き取れない。どうして普通にしゃべれないかなあ。

秀調が大名らしい品とおおらかさ可笑しさを見せた。

三、歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
花川戸助六       團十郎                
三浦屋揚巻       福 助             
くわんぺら門兵衛    三津五郎                
三浦屋白玉       芝 雀                 
朝顔仙平        錦之助                
福山かつぎ       海老蔵             
男伊達 山谷弥吉       松 江           
 同   竹門虎蔵       廣太郎             
 同   田甫富松       種之助             
 同  砂利場石造       吉之助               
傾城 八重衣       宗之助               
 同   浮橋       米 吉              
文使い番新白菊     歌 江  
奴奈良平       由次郎                
国侍利金太       市 蔵                
遣手 お辰       右之助                
三浦屋女房       家 橘                 
通人里暁       歌 六                 
曽我満江       東 蔵                 
髭の意休       左團次               
白酒売新兵衛       梅 玉                   
口上       海老蔵

「助六」と言えば、昨年4月の歌舞伎座最後の公演の豪華さがいまだに記憶から消えない。いやたぶん一生抜けないだろう。だがまあ、あれは特別。
今回も、團十郎はじめ、なかなかの顔ぶれが揃った大舞台ではあった。 

團十郎はやはり声が辛そうだったが、さすがに当たり役中の当たり役助六は少々のことではその魅力を損なうことはない立派さ。伊達男の代名詞とも言える助六、胸のすくような二枚目振りが嬉しい。

揚巻は福助。もう何度目かなので、落ち着きもあり、華やかさ艶やかさもあり、悪態の初音などもメリハリよく聞かせた。惜しむらくは、いつものことだが、笑い顔が変にゆがむ癖が抜けないところ。あれさえなければ、玉様にも引けをとらないんだが。

白酒売り、実は兄は梅玉でこちらも手に入った役。この人がやると、なよなよしていても実は武士、と言う筋が通っているように見えるところが好きだ。

左團次意休はさすがに本役。憎々しくも貫禄があって十分。
三津五郎のかんぺらが江戸前の軽さを見せた。
錦之助が仙平では男前台無しでもったいないが、そつなく。
芝雀の白玉も艶やかさを見せた。この人はいつか揚巻をやることはあるのだろうか。お父様は素晴らしかったけれど。芝雀さんはお綺麗なのにイマイチ大人しいというか地味というかで、ちょっと損してるかなあ、と思うことがある。どうしても揚巻より白玉、八ツ橋より九重、になっちゃうんだな。
歌六の通人はお世辞にもニンとは言えず気の毒だが、夜は口上のない又五郎歌昇襲名を台詞に織り込んだり、ドラゴンズ優勝も入れたりと、工夫は一生懸命。まあ、お疲れ様でした(苦笑)。

助六は、2時間くらいある長い芝居だが、見所が次々に出てくるので退屈しない。まさに江戸歌舞伎の華が詰まった演目。今回も楽しませてもらった。

終演が9時前。新幹線で帰ってぎりぎりその日のうちに帰宅できました。

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。