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9月文楽公演・第一部 [舞台]

9月5日(月)

節電に協力と言うことで、今月の公演は開始が10時30分!まあ、普段会社に行くよりはゆっくりなんだけど、休日の観劇にしては朝早いので、何となく朝からばたばたしてしまった。

そんな早朝(?)の公演にしては、第一部の方に住大夫に源大夫、寛治、簑助、文雀と人間国宝が揃うせいか、早々にチケットは売り切れ。

昼チラシ.JPG

一・寿式三番叟
住・文字久・相子・芳補・靖・小住、錦糸・宗助・清志郞・寛太郎・清公・錦吾
勘十郎の千歳、簑助の翁、幸助と一輔の三番叟

角書きに「天下太平国土安泰」の文字が着く。大震災後の復旧を願い、「がんばろう日本」の祈りをこめての上演、という。同時に国立劇場開場45周年を祝う演目でもある。
よくかかる演目だが、そう思って観るせいかいつになく荘重な雰囲気。冒頭から住大夫の厳かな声が響き、勘十郎、簑助が滑るように登場、深々と一礼して舞い始めると、会場中の空気がピンと張り詰めるよう。緊張感漂う中にも次第に熱気を帯びてくる義太夫と、翁と千歳の静かな舞が不思議な高揚感を誘う。
そして二人が消えるように舞台を去った後、今度は三番叟の二人が打って変わって賑やかに舞い踊る。滑稽さもあるが激しい動きで、左と足も大変そう。幸助と一輔がしっかりと舞って見せた。

二・伽羅先代萩
  御殿の段
嶋・団七、津駒・寛治
紋壽の政岡、簑助の八汐、文雀の栄御前

いつもは、これは歌舞伎で観た方が面白いな、と思う。子役の奮闘が泣けるから。
でも今回の嶋大夫の飯炊きは傑作。政岡の苦悩や嘆きが十分なのはもちろんだが、千松と若君の台詞の健気さいじらしさの表現の巧さが尋常ではない。千松の歌う雀の歌の切々とした調子と来たら、もう滂沱の涙を誘うほど。
後半は津駒が切迫感ある場面をきっちり。寛治の三味線が華を添える。
紋壽の政岡に品と強さがあり、簑助の八汐が貫禄と憎々しさ十分。文雀が今月これだけなのは寂しいが、さすがに高位の女性らしい品格を見せて存在感たっぷり。

三・ 近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)  
   堀川猿廻しの段
千歳・富助・龍爾、源・藤蔵・清馗
勘十郎の与次郎、勘壽の母、簑二郎のおしゅん、文司の伝兵衛、玉誉のおつる

勘十郎がいつもながら達者な芸を見せて素晴らしい。朴訥として優しい人柄が動きに表れるよう。滑稽さも見せながら、猿回しの芸では笑いに涙をごまかす切なさもあってさすがに上手い。
勘壽の母もしんみりとした味わいがあり、おつるの玉誉ともども幕開きの三味線では本物の音にきっちり合わせるうまさ。

千歳と富助が前半ではきびきびとした語りで与次郎と母の心配を可笑しさもにじませながら語る。
後半では源大夫藤蔵がおしゅんの覚悟を知った皆の嘆きと別れの切なさをしみじみと。

でも源大夫さんお声が出てないな、と思っていたら、予定外に途中で交代。横で控えていた相子さんに支えられて源さんが下がった後は津駒さん。急なことだったようで、津駒さんは肩衣も着けず。それでも突然の出番でちゃんと語れる津駒さんと合わせる藤蔵さんにプロのすごさを見た思い。でもびっくりした。
源大夫さん、そのまま休演されるかと心配したが、翌日からはまた出ておられるそうで、まずは良かった。

劇場内、節電という割に客席は冷房しっかり効いていた。休憩時間ロビーの方が暑く感じたのはなぜ。。?

なお、今月のプログラムには「三番叟」の翁と千歳の写真の絵葉書が付いています。
タグ:文楽
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そらへい

観劇というと、夕方からが当たり前、
せいぜいマチネーですが
午前10時半からというのは節電の為とは言え凄いです。
勘狂いますね。
by そらへい (2011-09-09 22:17) 

mami

そらへいさん、
映画なら朝からやってることもありますが、芝居や文楽など生身の人が出るのでは珍しいですよね。出演者の方も大変だと思います。
by mami (2011-09-10 01:22) 

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