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国立劇場文楽公演 [舞台]

12月6日(月)

bunraku1012.JPG

鑑賞教室に続いて観たのだが、前記事アップの後風邪を引いてしまい、遅くなりました。記憶もちょっと薄れてるかも。

安寿 つし王  由良湊千軒長者(ゆらのみなとせんげんちょうじゃ)
  山の段 睦・靖、清馗
勘彌の安寿姫、一輔のつし王

「山椒大夫」で有名な伝説の一場面。だがこの場面だけだと、話としては何の進展もないので、観ていて正直言って面白くなくて、申し訳ないがかなり寝てしまった。なのでほとんど感想らしきものがありません。ごめんなさいっ。

本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
     桔梗原の段 相子・龍爾、三輪・清友
     景勝下駄の段 呂勢・燕三
     勘助住家の段 津駒・富助、文字久・錦糸
勘十郎の慈悲蔵、玉女の横蔵、清十郎のお種、和生の母

「十種香の段」はよく上演されるが、今回のは通し以外では珍しい上演。以前に歌舞伎、文楽共に観たことがあるが、筋が入れ込みすぎていて非常に解りづらい。何しろほとんどの登場人物が「実は…」となるので、誰と誰が敵味方なのか、ごちゃごちゃになってくるのだ。特にこの前半の山場とも言える、「勘助住家の段」は今まで観てもさっぱり理解できなかったので、観る前は正直気が乗らなかった。でも今回は見終わって、「あ、そういうことだったのね~」とかなり話が飲み込めた(笑)。何度目の正直やら。やれやれ。

勘十郎は鑑賞教室ではお柳をしっとりと遣い、こちらでは立ち役の慈悲蔵をすっきりと遣う。役の幅の広さと安定感では今随一では。慈悲蔵は前半はひたすら辛抱役。老母と兄に無理無体を言われてもじっと耐える姿に苦悩がにじみ、また兄と争うところでは大きさが、最後に直江山城之助と改めたところでは知恵者らしい颯爽とした姿、と場面場面で様子を変えてきっちり見せてさすがに上手い。

対する玉女の横蔵も乱暴者で我が儘な兄、といった風情をいかつい様子で出し、最後に真実を明かしてからは腹の据わった、堂々たる大きさと深謀遠慮を持った複雑な人物らしさも見せて迫力があり、こちらも立派。

お種の清十郎が、孝行と子への愛の板挟みになって苦しむ母親の情を狂おしく見せ、哀れさ切なさがあり上々。
和生の老母も毅然たる後室の姿を気品と手強さも見せてさすがに上等。

と、主要の四者四様に十分な出来でとても見応えのある舞台となった。
もうこのあたりの人たちは、とても「中堅」とは言えないわけで、本公演と比べても遜色ない充実振り。

義太夫の方もなかなかのハイレベルで、若手若手と思っていた相子大夫の進境も著しく嬉しい限り。三輪、津駒は安定、呂勢も燕三の力もあってしっかりした語り、最後は文字久が緊迫した謎解きの場面をしっかり聴かせてなかなか。

しかし、やっと筋は何とか理解できたけど、何も子供を殺さなくても、とか、母親ももうちょっとやりようがあるでしょう、とか、極めつけは山本勘助と直江兼続が兄弟って、そんな無茶無茶な話があって良いのか、とか、作者の近松半二は何考えてんだ~!?という感じ。

また、毎年この12月の公演は中堅若手の公演と言うことになっているが、おそらくもう10年以上今の顔ぶれでやっていて、上記の人形の勘十郎、玉女、和生などは本公演でももう中心的役割をしているのだから、そろそろ世代交代しても良いような気もする。何しろ勘十郎さんや玉女さんが忙しすぎるのがちょっと心配だし、それに次の世代が今一頭角を現していない気がするのも気がかり。まあ、いきなりみんないなくなるとチケット売れなくなるかもしれないから、勘十郎さん達は脇へ回るとか。そういうのもありかな、なんて素人的には考えたりする。
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やっくん

明日観に行きます。
今回は床本を買いに行く時間がなかったので、ネットであらすじをいろいろ探していました。
私は文楽の自由な発想での筋立ては好きですね。あふぉらしい点も有るにはあるが、、、、それと、そろそろ世代交代云々以下はまったく同感です。
ではまた
by やっくん (2010-12-13 23:16) 

mami

やっくんさん、はじめまして。
本朝廿四孝の筋はほんとに複雑で、一回くらい観てもさっぱり解りませんでした(苦笑)。プログラム買って、粗筋読んでもよく解らないんだから、相当ですよね。
もちろん、破天荒な筋は歌舞伎でも文楽でも面白くて、基本的には私も好きです~。
明日、楽しんできて下さいね。
by mami (2010-12-13 23:42) 

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