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特別展 東大寺 近現代の名品 [美術]

11月21日(日)
日本橋高島屋8階ホール

この日は国立劇場で歌舞伎を観てから、日本橋へこの展覧会を観に行った。
時系列的には歌舞伎の記事を先に書くべきだが、展覧会の会期末が近いのでこちらを先にご紹介。
何しろ、美術館の展覧会と違って、まともなHPもないので、この展覧会自体ご存じない方が多そう。
今上野の博物館でも東大寺展をやっているが、あちらがその草創期の宝物中心なのに対し、こちらは近世、特に昭和の工芸美術品の宝物を展示している。

平山東大寺.JPG平山郁夫「大仏開眼供養記図」

平山郁夫、須田剋太、東山魁夷、杉本建吉などが描いた東大寺や大仏の絵、江戸時代に描かれた東大寺再建の時の様子を伝える屏風絵、宮大工が使った道具、などさまざまなものが展示されていて面白い。
平山の緻密に描かれた絵の美しさ、「街道をいく」でおなじみの須田の力強い描線、ひょうひょうとしたおかしみのある杉本の絵など、どれも楽しい。
面白いものでは、元禄時代に東大寺再建に力を尽くした公慶上人が将軍綱吉に講義した時に、感動した綱吉が賜ったという書見台なんてものも。

中でも見物は、1980年の昭和の大修理の際に制作された華厳経。当時の画壇、書壇の総力を挙げて作られたと言っても過言ではない、そうそうたる顔ぶれが名を連ねている。申し訳ないが書家のお名前はほとんど知らないが、画家の方は今回展示されていただけでも上記の平山、東山の他にも奥村土牛、加山又造、秋野不矩、上村松篁といった作家が見返しの絵を描いている。色紙ほどの小さな絵ではあるが、それぞれの個性が観られて実に美しい。

写経の方も、多くの書家がリレー式にとでも言うか、少しずつ分担されて書いているのだが、書には無知な私でもこれがどれほど美しいかくらいはわかる。

この華厳経、今でももちろん価値はあるが、おそらくこれから何百年後には正倉院に納められて、正倉院展で「昭和の名品」なんて紹介されるんだろうなあ、なんて考えたら妙に感慨深くて涙が出そうになった。
東大寺創建から1200年、これからの1200年もまた東大寺が、日本が、世界が無事に続いていきますように、なんて思わず祈ってしまったのでした。

後半では東大寺に寄贈された美術工芸品や、年中行事、特に修二会の際に使用される道具や法衣なども展示。修二会を紹介するビデオも上映されていて、通常非公開の行事が垣間見られてとても珍しい。
ちょうど来月、歌舞伎でこの修二会に題材を取った「達陀(だったん)」という演目が観られるので、余計に興味深く思えた。

最後のところでは、東大寺と縁の深かった、先日亡くなった榊莫山さんの書も展示されていた。

あまり宣伝していないのか、日曜日なのにそれほど混んでいなかったが、近現代の日本美術好きなら見逃すのは惜しい展覧会。会期は23日(火)までしかないが、お時間のある方はぜひどうぞ。
タグ:東大寺
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