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六月博多座大歌舞伎・昼の部 [舞台]

6月21日

hakataza201006m.jpg

5月も6月も吉右衛門さんはお休みなのね、と思っていたら博多座に行っておられるとは。
そうと知ったのはGWも開けてから。チケットはとっくに発売になってるし、自分の予定も6月はちょこちょこ入っていて、2日続けて空いてる週末がもうないじゃないの。
ということで、一度はあきらめかけた博多遠征。
でもでも。やっぱり。
そんなときに胃カメラ飲んで、胃ガンかも、なんて落ち込んで。
で、決めたんです。検査の結果何ともなかったら博多に行こう。だって、元気でお金も何とかなるときに好きなことをしておかなきゃ、人生いつ何が起こるかわからないんだから。

というわけで、めでたく(?)無事で、日帰り強行の博多遠征です。8時5分の飛行機で福岡へ。福岡空港はとても交通の便がよく、博多座も地下鉄で10分足らず。おかげでなんとか日帰りが出来ました。
博多はずっと前に一度行ったことがあるけど、博多座は初めて。
まだ新しいのでとても綺麗で見やすい劇場でした。トイレも綺麗だった(女性にはポイント高し)。

一、小野道風青柳硯(おののとうふうあおやぎすずり)
  柳ケ池蛙飛の場
小野道風  梅 玉            
独鈷の駄六  翫 雀

以前三津五郎の駄六で上演されたのを観たことがある。なぜか道風が相撲の名手という荒唐無稽な設定が面白いが、芝居としてはそれほど、という感じ。
でも梅玉の道風がおっとりとした公家の雰囲気の中に鋭さがあり、翫雀も暴れん坊の様子をおおらかに見せた。
そう言えば、以前展覧会で道風の手跡を見たが、意外におおらかで奔放さもある手だったのが思い出された。

二、新歌舞伎十八番の内 紅葉狩(もみじがり)
更科姫実は戸隠山の鬼女  福 助           
余吾将軍維茂  染五郎            
従者右源太  亀 寿            
従者左源太  種太郎             
腰元野菊  芝のぶ             
腰元岩橋  吉之助               
山神  松 緑              
局田毎  東 蔵

福助は更科姫としては美しくたおやかな様子だが、本性の鬼女との差を付けようとし過ぎて妙にかまととぶって(死語?)いるようなのがいささか目障り。普通に綺麗にしてるってのがどうしてもできない人なんだなあ。
染五郎が維茂が初役というのは意外。前に姫の方をやってたっけ。凛々しい若武者ぶりがよく似合って、後半の立ち回りもなかなか。
松緑の山神も切れのよい踊りを見せた。
亀寿と種太郎の従者が若々しくきびきび。
吉之助の腰元なんて初めて観たが、おたふくメークがよく似合ってなんだかとっても可愛かった(笑)。

三、増補双級巴(ぞうほふたつどもえ)
  石川五右衛門
  中村吉右衛門宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候
石川五右衛門  吉右衛門             
三好長慶  歌 六              
左忠太  松 江              
右平次  亀 鶴            
呉羽中納言  桂 三             
次左衛門  由次郎             
三好国長  歌 昇           
此下藤吉久吉  梅 玉

3月に歌舞伎座で「南禅寺山門の段」だけ上演されたが、今度は他の場面も含めての通し。同じ3月に国立で橋之助がやったのとはまた違う。五右衛門ものってたくさんあるのね。

吉右衛門は何度もやっているので手に入っていて、五右衛門の豪快さ、不敵さなどと共に、愛嬌も見せて余裕ある様子が大きい。初めに藤吉と出会う場面、花道で振り返ってニヤリと笑って、また澄まし顔に戻るところなどおかしみも。宙乗りでは悠々とした姿を見せたが、席が1階後ろだったので途中までしか見えず悔しい。山門の場はさすがに大きく堂々とした悪人の様子が立派。

梅玉が久吉(藤吉)をやるのは、他の演目を含めて初めて観たが、颯爽として智恵のある捌き役の風情がぴったり。五右衛門と二人で寝ころんで話す場面は和気藹々と言った様子で、吉右衛門とも息があって楽しい。

他も歌六・歌昇を始め皆手堅い出来。桂三の中納言がおかしく、由次郎の老父に滋味がある。
「山門」の大薩摩は里長と栄津三郎。栄津三郎さんの三味線がなぜか好きなので聴けてうれしい。

四、汐汲(しおくみ)
蜑女苅藻  藤十郎              
此兵衛  翫 雀
「松風物」の一つ。普通松風は腰簑をつけて踊るがそれはなく、初めの衣装も青に貝や珊瑚の海を連想させる着物が美しい。そう言えば、歌舞伎舞踊で青い衣装って珍しい。それを途中で引き抜いて赤の着物になる変化が目に鮮やか。
藤十郎はいつもながら全く歳を感じさせない若々しさと色気があって本当に綺麗。もちろん踊りも溌剌とした様子で、此兵衛をあしらうところはきびきびとした可愛さも。
翫雀の此兵衛は先程の駄六と印象がかぶる面もあってちょっと気の毒だが、三枚目敵の雰囲気でいかつい中にも剽軽さがある。
此兵衛が出て絡むことで、従来の「汐汲」より変化がついて面白い舞台になった。

お昼は博多座ロビーで買った「日本料理 海木のだしいなり」。お揚げがふっくらジューシーでとても美味しかったです。
海北のだし稲荷.jpg

博多座はロビーの売店も多くて賑やか。歌舞伎座でおなじみだったお店もいくつか出ていて、あらこんなところで、と嬉し懐かし気分だった。
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★とろりん★

mamiさま、

落ち込まれた時期がおありだったとのこと。
身体に異変があると、やはり気持ちも落ち込みますよね。
でも何事もなかったようで、安堵いたしました。
こんな時こそ、カンゲキがパワーをくれるのですよね!!

博多座は地下鉄駅と直結していますし、
その地下鉄も空港に直結しているので、本当に便利ですよね。
交通の便の良さでは日本でNo.1かも、ですね。
(って、まだ入ったことないのですが。いつも前を素通りです>涙)

実は、mamiさまのレポを拝見するまで、
博多座での興行を知りませんでした…。
うおお!!知ってたら先週の熊本出張の帰りに寄ったのに(涙)。
吉梅の競演、観たかった~!!
東西のベテランと花形が、バランス良くそろっていますよね。
mamiさまのレポでしっかり観た気分にさせていただきました♪
ありがとうございます!
by ★とろりん★ (2010-06-23 18:04) 

mami

とろりんさん、nice!とコメントありがとうございます。
ご心配おかけしてすみません。でも全然何ともなかったんですよ~。気をもんで損しちゃった気分です(笑)。

博多座での興行、ちょっと宣伝が足りませんでしたよね。
私が観た日も平日でしたので満員とはいかず、せっかく吉梅に藤十郎、と大顔合わせなのにもったいないと思いました。

by mami (2010-06-23 23:07) 

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