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12月文楽公演 [舞台]

12月14日

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みなさんが言っているけど、東京で文楽のチケットを取るのが本当に大変になっている。あぜくら会に入っていて、優先予約の朝から申し込んでももう平日でも後ろの方しかない。特に12月の公演は日数が少ないからだろうけど、もうちょっと何とかならないのかなあ。
そんなわけでこの日は二等席しか買えず、久しぶりにオペラグラスを持っていった。

一・近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)
   坂本城外の段 : 睦・相子・つばさ・芳穂・靖、龍爾
   和田兵衛上使の段 : 咲甫・燕三
   盛綱陣屋の段 : 千歳、清二郎 
               文字久、錦糸
勘十郎の盛綱、和生の微妙、玉女の和田兵衛、玉英の篝火、勘弥の早瀬、玉志の時政

歌舞伎では去年吉右衛門の盛綱で観たことがあるが、文楽では初めて。
盛綱、高綱兄弟のモデルは真田信之と幸村。近頃の武将ブームでも人気だが、江戸時代から人気があったのね。そして疑り深い時政のモデルは家康(笑)。
とは言え、この場では高綱は出てこない。 

勘十郎の盛綱は、智恵と情を兼ね備えた武将らしく、気品もあり懐の大きい様子がさすが。
和生の微妙が、大名の後室らしい品と、孫への愛情に苦悩する様子を見せてさすがに上手い。
玉女が和田兵衛を勇壮に大きく使ってニンにあって立派な出来。

咲甫と燕三が、盛綱と兵衛の対決を緊迫感を持って聴かせた。
千歳はやや声の調子が悪く、特に女子供の高い声が辛そうだったのが気になったが、甥の小四郎に切腹させるよう母に頼む盛綱の苦悩、武家の後室としてそれを引き受けざるをえないが、それでもやはり孫が可愛い微妙の葛藤をじっくりと語った。
後半は文字久と錦糸が、どんでん返しの中の人々の思いと悲しみを、情愛を感じさせる語りで聞かせて上々の出来。文字久さん、住大夫さんに叱られ続けた成果が出てきたなあ。

この小四郎にしろ「寺子屋」の小太郎にしろ、義太夫狂言に出てくる武士の子供は、親のために命を差し出して、その健気さに胸が詰まる。 

二・伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)
   八百屋内の段 : 呂勢、清介
   火の見櫓の段 : つばさ・呂茂・希・清希・清丈・錦吾
清十郎のお七、玉也の久兵衛、一輔のお杉、文司の吉三郎、清三郎の久兵衛女房

「火の見櫓の段」は単独で時々かかるし、歌舞伎でもやるが、「八百屋内の段」は珍しい。
この「八百屋内」で、お七の両親が可哀想だが家のために嫌いな武兵衛に嫁に行ってくれとお七を口説くのだが、とにかく一度祝言さえあげてくれれば後は嫌われるようにすればいいと、「湯水のように金を使え」だの「毎晩背中を向けて寝ろ」だのというのがすごくおかしくて、きっと大阪だったら爆笑の場面なのだが東京のお客さんはくすりともせずにまじめに聞いていらっしゃる。ここは笑う場面だろ~、と一人突っ込みたくなってしまった。

「火の見櫓の段」ではお七が櫓に登っていくところが見せ場。人形遣いが櫓の中に入って姿が見えないようにして、まるで人形が一人で登るようなのだが、裏から手のところを持って引っ張っているのはわかるのだが、どうやって首(かしら)を動かしているのか不思議。

お七は清十郎で、お嬢さんらしい楚々とした様子に、吉三郎を慕う一念から御法度も破る狂おしさも見せて上々。今月この一役だけで、出番少ないなあ、と思っていたが、ほとんど一人舞台みたいなこの場をもらって十分な活躍振り。

さて、お正月は久々に大阪で文楽が観られる。楽しみです。
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