アルカント・カルテット演奏会 [音楽]
9月25日・28日 王子ホール
プログラム
<第1夜 9/25 ~夜はかくの如し~>
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10
デュティユー:弦楽四重奏曲 「夜はかくの如し」
********* 休憩 **********
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第6番 ヘ短調 Op.80
アンコール
ブラームス:弦楽四重奏曲 第1番 ハ短調 Op.51-1 より 第3楽章
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調 より 第2楽章
<第2夜 9/28 ~エナジー~>
バルトーク:弦楽四重奏曲 第5番 Sz.102
ハイドン:弦楽四重奏曲 第64番 ロ短調 Op.64-2, Hob.Ⅲ-68
********** 休憩 **********
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 Op.59-1
「ラズモフスキー第1番」
アンコール
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調 より 第3楽章
アルカント・カルテット
アンティエ・ヴァイトハース(ヴァイオリン)
ダニエル・セペック(ヴァイオリン)
タベア・ツィンマーマン(ヴィオラ)
ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
二夜にわたって行われたアルカント・カルテットの3年ぶりの演奏会に行った。
前回の初来日では、一人一人は最高級にうまいんだけど、カルテットとしてはまだまだ、と言う印象だったので、今回もそれほど大きな期待はしていなかった。でもケラスのファンなので、やっぱり聴いておかなくちゃ、と言うところで。
まず一日目。
ソロの時のケラスの感じからして、今回のプログラムの中ではいちばん向いているのでは、と思っていたドビュッシーから始まったが、意外にフツーの出来。もちろん下手じゃないけど、それほど良くもない。う~ん、やっぱりカルテットとしてはまだ未熟かなという出だし。
2曲目のデュティユーは、なにしろバリバリの現代曲でこっちも聞き慣れていないから、なんか凄い曲をやってるなあ、と率直に感心するのみ。他の3人についてはよく知らないが、ケラスは現代曲は得意だからねえ。巧いのよ、こういうの。
と、ここまではほぼ予想通りの出来映え。ま、こんなもんかな~。それが、おおっ、となったのが後半のメンデルスゾーン。
正直言うと、メンデルスゾーンの弦カルなんてあんまり聴いたことなかったし、この曲もたぶん初めて。解説によれば、姉のファニーを亡くして失意のメンデルスゾーンが作った曲で、彼には珍しいほど全編悲壮感が溢れるような、それでいて激しさをともなった曲。
この日の前半の2曲に比べると、ずっと音も厚いし、演奏も熱い。畳みかけるような気迫が感じられる。それまで割とシレッと弾いていた(ように見えた)4人が、正統派ドイツ音楽に真っ向勝負、と言う趣。これが良かった。ほんとに巧かった。目先の技巧の上手さだけじゃなくて、アンサンブルの面白さでぐいぐい聴かせてくれる演奏になっていた。もちろん、一人一人の上手さも際立って、なお4人になって相乗効果を生むカルテットの醍醐味が味わえた。いや~、3年で偉く成長したね~。
さらに良かったのが2日目。
バルトークは彼らのデビューCDにも納められているので得意の曲なんだろう。機知に富んだ起伏の多い難曲を軽々とやってのけたのは彼ららしい。
続くハイドンはうって変わって、晴朗な明るさが印象的。ハイドンらしい暖かみと軽やかさの感じられる演奏。
そして2日間を締めくくるベートーヴェンは、大曲の「ラズモフスキー第1番」。決して奇を衒わない、正面からベートーヴェンに向かいあった演奏でありながら、どこか清新な風が吹くような颯爽とした気持ちの良い出来。それぞれが主旋律を担うところでは皆惚れ惚れするような美音を聴かせてくれて、またアンサンブルではぴったり息のあったところを見せてくれた。
アンコールのラヴェルは、いわばフルコースのあとのデザートに出る、すっきり味のシャーベットのような清涼感。外の秋の夜空にかかる月のような美しさ。
こうして二日間聴くと、メンデルスゾーンやベートーヴェンと言ったドイツものの方が印象に残ったのは予想外だった。でも考えてみれば、ケラス以外はみんなドイツ人なんだもんね。ケラスも今はドイツを拠点にしているようだし、これは自然の成り行きかもしれない。
もちろん、アルバン・ベルク(引退しちゃったけど)やジュリアードなどの大御所のような横綱級のカルテットの深みはまだ無いけれど、小結くらいまでは来たかな?(笑)前回聴いたときはあんまり将来に期待しなかったけど、今回は今後がぐぐっと楽しみになった。こんな風に、アンサンブルの成長を見守るってのも面白いですね。歌舞伎婆みたいだけど(苦笑)。
終演後はサイン会に並ぶ。ほとんど毎回ケラスの演奏会には行ってるけど、サインをもらったのは初めて。だって今までは演奏会前にCDを買ってしまっていたので会場ではもう買わなかったから。今回はカルテットのCDを買って4人全員にサインをいただいた。ちょっとびっくりしたのは、前後で並んでいた人が、色紙とかしっかり用意していらしたこと。熱心だな~。間近で見たケラスはやっぱり格好良かったです。他のお三方も気さくにサインして下さって嬉しかった。
プログラム
<第1夜 9/25 ~夜はかくの如し~>
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10
デュティユー:弦楽四重奏曲 「夜はかくの如し」
********* 休憩 **********
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第6番 ヘ短調 Op.80
アンコール
ブラームス:弦楽四重奏曲 第1番 ハ短調 Op.51-1 より 第3楽章
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調 より 第2楽章
<第2夜 9/28 ~エナジー~>
バルトーク:弦楽四重奏曲 第5番 Sz.102
ハイドン:弦楽四重奏曲 第64番 ロ短調 Op.64-2, Hob.Ⅲ-68
********** 休憩 **********
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 Op.59-1
「ラズモフスキー第1番」
アンコール
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調 より 第3楽章
アルカント・カルテット
アンティエ・ヴァイトハース(ヴァイオリン)
ダニエル・セペック(ヴァイオリン)
タベア・ツィンマーマン(ヴィオラ)
ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
二夜にわたって行われたアルカント・カルテットの3年ぶりの演奏会に行った。
前回の初来日では、一人一人は最高級にうまいんだけど、カルテットとしてはまだまだ、と言う印象だったので、今回もそれほど大きな期待はしていなかった。でもケラスのファンなので、やっぱり聴いておかなくちゃ、と言うところで。
まず一日目。
ソロの時のケラスの感じからして、今回のプログラムの中ではいちばん向いているのでは、と思っていたドビュッシーから始まったが、意外にフツーの出来。もちろん下手じゃないけど、それほど良くもない。う~ん、やっぱりカルテットとしてはまだ未熟かなという出だし。
2曲目のデュティユーは、なにしろバリバリの現代曲でこっちも聞き慣れていないから、なんか凄い曲をやってるなあ、と率直に感心するのみ。他の3人についてはよく知らないが、ケラスは現代曲は得意だからねえ。巧いのよ、こういうの。
と、ここまではほぼ予想通りの出来映え。ま、こんなもんかな~。それが、おおっ、となったのが後半のメンデルスゾーン。
正直言うと、メンデルスゾーンの弦カルなんてあんまり聴いたことなかったし、この曲もたぶん初めて。解説によれば、姉のファニーを亡くして失意のメンデルスゾーンが作った曲で、彼には珍しいほど全編悲壮感が溢れるような、それでいて激しさをともなった曲。
この日の前半の2曲に比べると、ずっと音も厚いし、演奏も熱い。畳みかけるような気迫が感じられる。それまで割とシレッと弾いていた(ように見えた)4人が、正統派ドイツ音楽に真っ向勝負、と言う趣。これが良かった。ほんとに巧かった。目先の技巧の上手さだけじゃなくて、アンサンブルの面白さでぐいぐい聴かせてくれる演奏になっていた。もちろん、一人一人の上手さも際立って、なお4人になって相乗効果を生むカルテットの醍醐味が味わえた。いや~、3年で偉く成長したね~。
さらに良かったのが2日目。
バルトークは彼らのデビューCDにも納められているので得意の曲なんだろう。機知に富んだ起伏の多い難曲を軽々とやってのけたのは彼ららしい。
続くハイドンはうって変わって、晴朗な明るさが印象的。ハイドンらしい暖かみと軽やかさの感じられる演奏。
そして2日間を締めくくるベートーヴェンは、大曲の「ラズモフスキー第1番」。決して奇を衒わない、正面からベートーヴェンに向かいあった演奏でありながら、どこか清新な風が吹くような颯爽とした気持ちの良い出来。それぞれが主旋律を担うところでは皆惚れ惚れするような美音を聴かせてくれて、またアンサンブルではぴったり息のあったところを見せてくれた。
アンコールのラヴェルは、いわばフルコースのあとのデザートに出る、すっきり味のシャーベットのような清涼感。外の秋の夜空にかかる月のような美しさ。
こうして二日間聴くと、メンデルスゾーンやベートーヴェンと言ったドイツものの方が印象に残ったのは予想外だった。でも考えてみれば、ケラス以外はみんなドイツ人なんだもんね。ケラスも今はドイツを拠点にしているようだし、これは自然の成り行きかもしれない。
もちろん、アルバン・ベルク(引退しちゃったけど)やジュリアードなどの大御所のような横綱級のカルテットの深みはまだ無いけれど、小結くらいまでは来たかな?(笑)前回聴いたときはあんまり将来に期待しなかったけど、今回は今後がぐぐっと楽しみになった。こんな風に、アンサンブルの成長を見守るってのも面白いですね。歌舞伎婆みたいだけど(苦笑)。
終演後はサイン会に並ぶ。ほとんど毎回ケラスの演奏会には行ってるけど、サインをもらったのは初めて。だって今までは演奏会前にCDを買ってしまっていたので会場ではもう買わなかったから。今回はカルテットのCDを買って4人全員にサインをいただいた。ちょっとびっくりしたのは、前後で並んでいた人が、色紙とかしっかり用意していらしたこと。熱心だな~。間近で見たケラスはやっぱり格好良かったです。他のお三方も気さくにサインして下さって嬉しかった。
Brahms - String Quartet No 1; Piano Quintet
- アーティスト: Johannes Brahms
- 出版社/メーカー: Harmonia Mundi
- メディア: CD
弦楽四重奏を二晩、ですか。優雅で、素敵!
上の写真を拝見すると、チェロのケラスさんは、ハンサムな方ですね〜^^
私も、彼の演奏、聞いてみたいなあ。
(チェロが好きで、ハンサムな奏者も好きなんです^^;)
by palette (2009-09-29 23:05)
paletteさん、
この頃は歳のせいか(?)、オーケストラなど大人数のより、こういうこぢんまりした編成の演奏会の方が好きになりました。でも聴く集中力は、こっちの方が要って、あまり優雅ではないかも(笑)。
ケラスはもう10年近く前から聴いていますが、ハンサムだしチェロもとっても上手いです。演奏会では目も耳も楽しめますよ~(笑)。
by mami (2009-09-30 00:11)