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9月文楽公演・第二部 [舞台]

9月8日 国立小劇場

二日続けてジャズのライヴに行って、その翌日は文楽で。さすがに自分でも呆れるというか、頭(耳)が変になりそうと言うか(苦笑)。

一・伊賀越道中双六 : 沼津
綱・清二郎、清馗
住・錦糸、龍爾(胡弓)
簑助の十兵衛、紋寿のお米、勘十郎の平作

まず登場の綱大夫だが、やはり体調はあまり良くないのか声量の衰えが顕著で、席が下手端近くで床から遠かったせいもあってか、三味線と重なると詞章が聞き取れないこともしばしば。聴いていて気の毒な気がするくらい。
なので、住大夫に交替すると、正直ホッとしてしまった。
住大夫は相変わらずお元気で、さすがに余裕のある語り口。お米のクドキも良いが、なんと言っても幕切れの平作の死に際が泣かせる泣かせる。住大夫さんって、本当に人が死んでいくところが圧倒的に上手い。「菅原伝授」の桜丸とかね。十兵衛の悲痛ももちろん情があってじっくり聴かせてくれた。

人形では簑助の十兵衛が、きりっとした二枚目ぶりで、「お米に惚れた」と言ってしなだれかかるところなど色気があって何とも言えない良さ。
平作は勘十郎で、始めの荷物を持ってよろけるところなど、いかにもよぼよぼした老人の風情が上手い。勘十郎さんは幅が広くなったなあ。
紋寿のお米も、身なりは貧しくとも元は傾城という色気があり、クドキのところでの嘆きが儚く美しい。紋寿さん、髪がすっかり白くなっていてちょっとびっくり。前は染めてらしたのかな?見たところはお元気そうだったので、ご病気でなければいいけれど。

二・艶容女舞衣 : 酒屋の段
英・団七
嶋・清友
文雀のお園、玉女の親宗岸、玉輝の半兵衛、勘寿の半兵衛女房、清三郎の三勝、一輔の半七、文哉の丁稚長太

私としては、今月いちばん期待の演目。なにしろ文雀さんのお園と嶋大夫さんだもの。
文雀のお園が凄いのは、身なりは「嫁」でも、あくまで「娘」に見えるところ。どんなに舅の世話を甲斐甲斐しくやっても、「一度の添い臥しもなく」の身であるお園の体から抜けない娘らしさが匂うように感じられるのだ。何がどう、とは言えないが、所作の端々にうかがわれるとでも言おうか。いじらしさ、健気さ、哀れさの溢れるクドキといい、本当に見応えのあるお園だった。
玉女の宗岸には、もう少し枯れた年寄りの風情があって欲しい。

女、それも娘のクドキを語らせたら嶋大夫さんがいちばんだと思うが、ここでも十二分に魅力を発揮。お園の健気さいじらしさが哀れで涙を誘われた。皆で順番に半七の書き置きを読むところも、それぞれの思いと嘆きが溢れて、さすがに立派。三味線の清友も良く付き合ってなかなか。
嶋さん、素浄瑠璃の会とかやらないのかな。あったら絶対行くのに。
このところ好演の英大夫も前半きっちり。


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