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八月納涼大歌舞伎・第一部 [舞台]

8月10日
台風の影響か、明け方からの大雨の中出かけた。家を出たときはかなり降っていたが、銀座に着いたときはそれほどでもなく、ラッキー。

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一・天保遊侠録
橋之助の勝小吉、勘太郎の松坂庄之助、扇雀の八重次、萬次郎の阿茶の局、宗生の麟太郎

青果作の新歌舞伎だが、初見。勝小吉親子の話と言えば「父子鷹」と言う小説(子母沢寛著)があって、小説は読んでいないが昔テレビドラマになって幸四郎と染五郎でやっていたのを見た記憶があるが、この話はもっと前の麟太郎がまだ子供の頃。
青果の他の作品に比べると、あまり理屈っぽい台詞もなく、世話物っぽいくだけた雰囲気で楽しく見ることができた。

橋之助の小吉が、侍と言っても貧乏御家人の江戸っ子らしいさばけた様子の中に、息子を思う親の情をにじませてなかなか。息子のために気の進まない仕官をして上司のご機嫌取りをしようとして、でもやっぱり我慢できないと言うのが、現代のサラリーマンにもよく解る感覚。

勘太郎がおっちょこちょいで気の短い、ちょっと頭の弱そうな甥を元気いっぱいに演じていて、でも人柄の良さが伝わるようでうまい。途中で勢い余って鬘が飛んでしまうアクシデントがあり場内爆笑になってしまって気の毒だったが、すぐに脇の人たちが囲んで元に戻した手際の良さには感心した。床山さんがいなくてもできるのねえ。

扇雀の八重次に芸者の意気地と色気があり、萬次郎の局が貫禄たっぷりで締めた。
宗生が素直な演技で、いかにも利発な少年という様子で健気。前に見た時よりだいぶ顔がほっそりしたような。

二・六歌仙容彩
三津五郎の遍照・康秀・業平・喜撰・大伴黒主、福助の小野小町、勘三郎のお梶
三津五郎が六歌仙の五役を踊り分ける、今月いちばんの注目の舞台。いやあ、期待通り、やっぱり上手いなあ、三津五郎の踊りは。どれも洒脱さと柔らかさがあり、一つ一つの役柄の違いも漂わせ、観る者を飽きさせない。最後の大伴黒主などを観ると、ぜひ「関の扉」を三津五郎で観たいと思わせる。
1時間45分の上演時間のうち、着替えに引っ込む以外はほとんど出ずっぱりでさぞかし大変だと思うが、最後までばてずにがんばっていただきたい。

福助の小町が色気があって美しく、抑えた様子が上品。
勘三郎のお梶は踊りは上手いがこざっぱりした様子で色気には乏しいか。
「喜撰」の所化には梅枝、松也を初めとする二十歳前後の若手から小吉ら子供までがずらり。みんな将来が楽しみだねえ、なんておばさんじみた感想を持ってしまう。

「文屋」で康秀が引っ込んだ後の間狂言のようなところで官女の亀蔵と彌十郎の漫才じみたやり取りの中で、「政権交代!」とか「選挙で決めよう」などのアドリブが入って笑わせていた。

10月の演目が出ていてチラシも置いてあった。夜は播磨屋の知盛、菊五郎の忠信で「千本桜」の半通し。お~、来月より良いかも。楽しみ!
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