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「フランス絵画の19世紀」展 [美術]

8月9日 横浜美術館
http://france19.com/top.html

「ダヴィッド、アングルらが確立した新古典主義から、ドラクロワを旗手とするロマン主義、クールベ、ミレーなどレアリスムの台頭、そしてモネ、ルノワールなど印象派の登場といった革新派の胎動まで19世紀フランス絵画の全貌を紹介します」
という宣伝文句が全てを語っている展覧会(笑)。これ以上書くこともないか……。

実を言うと、見に行く気はなかったのです。新古典主義もロマン主義もあんまり好きじゃないから。でもちょっとした勢いで、やっぱり観ておこうかな~という感じでした。

19世紀初めから中頃にかけてというのは、ある意味油絵の技術が最高に洗練されて高まった時期だと思う。もちろんそれ以前も、レオナルドやラファエロ、レンブラントをはじめ天才的な画家はたくさんいたけど、美術界全体の水準がこの時代に底上げされた感じ。
だからこの頃の画家の絵はどれも「巧い」「よく描けてる」という感じ。

01_a_photo.jpg
アングル「パフォスのヴィーナス」1852~3年
その頂点がアングルかな。白い陶器のようななめらかな裸婦の肌。写真のような背景。
でもね、絵の中の人物の表情が死んでるのね。全然生き生きしてない。なんだかマネキンみたいなの。
それが新古典主義の絵が面白くない最大の理由。

この展覧会では、新古典主義がその後ロマン主義へ、さらにアカデミズムへと変遷していったと言うことだが、素人目には技法的に見てそれほど大差があるとは思えない。
この辺で、美術界が行き詰まっちゃったように見える。もうこれ以上「巧く」描くことなんてできやしないじゃないか、って。

革新的に変わるのは、やはりマネ以降かな。その後の印象派などの画家は「写実」にこだわるのを止めて、フランス美術は劇的に変化した。
IMG.jpg
マネ「カルメンに扮したエミリー・アンブルの肖像」1880年

アングルからマネまでたった30年、ナポレオンお抱えのダヴィッドから展覧会最後を飾るドニまで約100年の大変化。いかに19世紀が美術界にとっても激動の時代だったかよく解る展覧会。
もちろん、その後の100年はもっと激変だったわけだが。今の画家に「巧い」なんて決して褒め言葉じゃないんだろう。美術家は「技術力」ではなく「感性」ではかられる時代になった。18世紀までは画家はある意味職人だった。(だから「工房」というのがあった)。描く技術を磨けばよかった。でも19世紀後半からはそうじゃなくなった、ということ。
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リュカ

この展覧会。
いろんな人のブログを見ていて
興味が湧いてきました。

by リュカ (2009-08-11 23:45) 

mami

リュカさん、こんばんは。nice!&コメントありがとうございます。
たった100年を切り取っただけなのに、幅広い絵が見られて結構満腹できました。お時間があればぜひどうぞ。
by mami (2009-08-12 00:57) 

TaekoLovesParis

私も行きました。そのうち記事にするつもりです。
by TaekoLovesParis (2009-08-18 08:21) 

mami

TaekoLovesParisさん、nice!&コメントありがとうございます。
私としては好みじゃない絵が多かったのですが、それなりに見応えありましたね。
記事楽しみにお待ちしています。
by mami (2009-08-19 00:56) 

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