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「水墨画の輝き」展 [美術]

5月24日 出光美術館
日本の美・発見I 水墨画の輝き ―雪舟・等伯から鉄斎まで―
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/index.html
出光.jpg

新橋の昼の部の後、有楽町へ。なかなか行く暇がなくて、会期は後一週間となってしまったがやっと行くことが出来た。出光美術館は有楽町の帝劇のビルの上にあるのだが、割と地味な展覧会が多いせいか、日曜に行っても比較的ゆっくり見ることができて好きな美術館。

なんだか、阿修羅とルーブルに席巻されている東京のアート・シーンだが、他にも小粒ながらいい展覧会はやっていてこれもその一つ。
タイトルにあるとおり、雪舟から鉄斎までの日本の水墨画の流れを、出光美術館の所蔵品から見せてくれる。
とは言ってもこちらはずぶの素人だから、水墨画の技法の発展とか専門的なことは解らない。それでも、墨の濃淡だけで全てを描き分ける画家の技術の高さには目を見張る。

水墨画と西洋の油絵とのいちばんの違いは、余白ではないだろうか。塗り残しなんてありえない油絵と、いかに省略して描くかの水墨画。若い頃は水墨画なんてあまり面白いと思わなかったが、今はこの水墨画の風通しの良さが何とも心地よい。

どの展示作品も良品だが、やはり抜きん出て良いのは雪舟と等伯。
雪舟の「破墨山水図」のおおらかさは他にはない。輪郭線を描かないのね。

等伯は動物を扱った2点「竹虎図屏風」(チラシ部分)と「竹鶴図屏風」。虎の大胆な筆致もさることながら、濃淡で表された竹の思い切り省略された描き方に、等伯の抜群のセンスを感じる。

珍しいのは宮本武蔵の「竹雀図」。武人の手すさびと言うには洗練された絵に武蔵の多才ぶりがうかがえる。穏やかな雀の絵は、数々の修羅場をくぐり抜けた後に達した武蔵の静謐な心境を反映しているのだろうか。

時代が下ってからは、面白いのは宗達の「龍虎図」。さすが「風神雷神」の宗達らしい、デフォルメされた虎と龍のユーモラスな表情に思わず笑ってしまう。
またきらびやかな琳派の印象の光琳の「蹴鞠布袋図」は、一見さりげないようで計算された構図の妙に唸らされる。

その他全部で41点と数は多くないが、規模は小さいが充実した展覧会。
全て所蔵作品なので、観たことのある人も多いだろうが、まだの方はぜひお見逃しなく。会期は5/31まで。
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TaekoLovesParis

地味だけど、よさそうな展覧会ですね。
等伯が好きなので、見てみたいです。時間的に都合がつくといいけど。。
by TaekoLovesParis (2009-05-26 22:48) 

mami

TaekoLovesParisさん、こんばんは。
等伯の絵は2点とも大きな屏風絵で見応えがありましたよ。お時間があったらぜひご覧になって下さいね。
まあ、万が一今回見逃しても、所蔵品なのでまた観る機会はあると思いますが。
by mami (2009-05-27 00:29) 

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