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国立文楽劇場4月公演・第一部 [舞台]

4月6日

前日に引き続き、順番は逆になるが第一部を観劇。
この日は何かの団体鑑賞でもあったのか、客席のおばさん率90%(?)。いや、その中に自分も入っちゃうんですけど、ちょっと不思議な雰囲気でした。

記念公演の幕開きは、25周年を祝って「寿式三番叟」。

一・寿式三番叟 綱・呂勢・南都・つばさ・芳穂・希・咲寿、清治・清二郎・喜一朗・清丈・龍爾・寛太郎・清公
清十郎の千歳、和生の翁、勘十郎と玉女の三番叟

体調が心配された綱大夫も無事にめでたく出演、清治と共に人間国宝が揃って幕開きに相応しい豪華な顔ぶれ。大夫、三味線ともこれだけずらりと並ぶと壮観ですね。
人形も、これからの文楽を担っていく四人が揃って、楚々とした清十郎、凛とした和生、颯爽と大きな動きの玉女と勘十郎、とそれぞれの味を出して、見応え十分の一幕。

文楽09042a.JPG
二・義経千本桜
 初段「堀川御所の段」 英・清介、相子・清馗
 二段目「伏見稲荷の段」 三輪・喜一朗
     「渡海屋・大物浦の段」 始・清志郎、咲甫・宗助、咲・燕三
勘弥の義経、文司の川越太郎、勘十郎の忠信(源九郎狐)、文雀のおりう実は典侍局、玉女の銀平実は知盛

文楽で「義経千本桜」の通しをやるときは、ほとんど必ず初段からやるが、歌舞伎では二段目以降しか滅多にやらない。まあ、地味といえば地味かもしれないけど。
英大夫と清介が、義経と川越太郎の問答、二人の苦悩、卿の君の哀れを聴かせて上々の出来。
「伏見稲荷」では三輪大夫と喜一朗が静と義経の別れをしみじみと、忠信の活躍を勇壮に語ってまずまず。
勘十郎の忠信がここでも凛々しく颯爽とした動きで魅せた。

「渡海屋・大物浦」では、この段の本当の主役は典侍局だったか、と思うような文雀の存在感がそれは際立って立派だった。初めて見たわけではないが、前はたぶん玉男が知盛だったからそっちに気を取られていたし、玉女が知盛の時は典侍の局は誰だったか覚えていないが、まあ釣り合った人だったろう。しかし今回は玉女には悪いが、文雀の力がこの段では一際抜きん出ていて、いささか知盛が霞んでしまったような気さえした。
普段、歌舞伎で観ても、知盛が出陣してから手負いになって戻ってくるまでの、局と安徳帝の場面はちょっと退屈に感じられることがある。だが今回は全くそんな感じはせず、局のここまで育て上げた帝へ注ぐ愛情と畏敬の念、大事に思えばこそこれ以上の憂き目は見せられないと入水を決意する悲壮さを、あくまで品良く凛々しく見せていった文雀に圧倒された。いや全く、この一幕の文雀を見られただけでも大阪まで行った甲斐があったというもの。

霞んだとは言っても玉女も十分大きさ、悲壮さを見せて立派な出来。やはりこの人はつっころばしなどよりこういう勇壮な役がお似合い。

この公演から切り場語りへ昇格した咲大夫が、燕三と共に、出陣する知盛の覚悟を能の謡の節を使って朗々と語り、局の情愛をしっとりと、また死への覚悟をずっしりと聞かせ、終盤の知盛を凄みを持って聞かせてさすがに立派。今後ますますの活躍を期待したい。

第一部は11時開演の3時半終演、第二部は4時開演で9時15分終演の長丁場。さすがに疲れましたが、見応え聴き応え十分の記念公演でした。

夏の公演では、なんとシェークスピアの「テンペスト」を翻案した清治さん作曲の新作を上演とか。歌舞伎の「十二夜」の向こうを張ってる?面白そうですね。でも夏は遠征は無理そうだから、東京でもやらないかしら。
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