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国立文楽劇場4月公演・第二部 [舞台]

4月5日
今年は大阪の国立文楽劇場ができて25周年だということで、この一年は記念公演が行われるらしい。その第一段として、今月はその25年前の開場記念公演と同じプログラムでの上演である。
25年前は、私は残念ながらまだ文楽は見始めておらず(ちなみに歌舞伎ももうちょっと後から)、なので文楽劇場ができたときの記憶はニュースで見たくらいしかなくて、感慨と言うほどのことも持ち合わせていない。しかし、今月劇場1階の資料室では思い出の舞台写真が展示されていて、越路大夫をはじめ名前しか知らない方達や、住大夫さん、玉男さんらの若い写真を見て、25年の時の流れを感じずにはいられない。25年後には誰が舞台に立って、誰が切り場語りになっているかしら。25年どころか、5年後だって顔ぶれはかなり変わっているだろう。仕方ないことではあり、またある意味楽しみでもあるが。もっともそういう自分がその頃まで生きているかどうかも判らないけれど。

文楽09041a.JPG

さて記念公演の演目は「義経千本桜」の通しだが、遠征なのでまず第二部から先に拝見する。
一・三段目
 「椎の木の段」 津国・団吾、英・団七
 「小金吾討死の段」 三輪・文字栄・つばさ・呂茂・清友
 「すしやの段」 住・錦糸、千歳・清二郎

玉也の権太、簑助のお里、和生の弥左衛門、紋寿の弥助実は維盛、清三郎の若葉の内侍、幸助の小金吾、玉英の弥左衛門女房

普段年寄り役の多かった玉也の権太はもう少し行儀の悪さを出してもという気もするが、全体に丁寧な運びできっちり。
簑助のお里がさすがにいじらしい娘の恋心を見せて、健気さが胸を打つ。ほんとに簑助さんが遣うと、ちょっと俯き加減で手をちょんちょんと合わせる仕草だけで、可愛らしさにぐっと来てしまう。
和生もこの頃老け役に手を広げて、この弥左衛門も維盛をかくまう気骨ある老人の様子をしっかり出した。
紋寿の弥助に品がある。

「すしや」の住大夫は期待に違わぬ情のこもった語りでお里、維盛初め、それぞれの心情をじっくりと聞かせてさすがに上等。
千歳も権太の苦しい打明け話を切迫感を持って語って上々。

二・四段目
 「道行初音旅」 津駒・文字久・睦・靖・咲寿・寛治・清志郎・清丈・寛太郎・清公
 「河連法眼館の段」 呂勢・宗助、嶋・富助・龍爾
簑助の静御前(道行)、勘十郎の忠信・源九郎狐、清十郎の静御前(河連館)、勘弥の義経、亀次の佐藤忠信

「道行」での簑助の静を見るのは久しぶり。本当に美しくて、はんなりと色気があって、まさに溜息が出るよう。後ろ向きの扇投げもお見事に決まって拍手喝采。簑助さんの裃の柄が、まるで吉野山の景色のような色合いで、とても素敵でした。
相手の勘十郎の忠信も、最初は狐の人形を持って登場後衣装早変わりで忠信に変わるのが鮮やか。戦語りも勇壮に颯爽とした風情。
三味線の寛治の音色がさすがに艶やかで場に相応しい。

「河連法眼館の段」では静が清十郎に交替。こちらもしっとりとした様子を見せ、源九郎狐に同情を寄せる優しさも見せて上品。
ここでも勘十郎が大きな動きで偽忠信と狐の躍動感を見せた。最後は宙乗りまで見せるサービスつき。勘十郎さん、すっかり立ち役になっちゃいましたね。簑太郎時代はきっと女形で行くんだと思ってたので、襲名後の変化にはちょっとびっくり。

切りの嶋大夫が、いつもながら素晴らしくて、情があってメリハリが効いていて、本当に立派。嶋大夫さんは、狐言葉をほとんど強調しないやり方。歌舞伎だと変に引っ張った台詞廻しをする役者もいるが、大事なのはそういう細部にこだわることじゃないと嶋さんを聴いていると改めて感じる。

四段目は舞台上は桜が満開。ちょうど桜の季節にこの演目が見られるのはやっぱり気持ちが良い。

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劇場の外の桜も満開。

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