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女流義太夫の新たな世界 [舞台]

2月24日 紀尾井小ホール

女流義太夫.JPG

前からちょっと興味のあった女流義太夫。でも普段は素浄瑠璃での上演と言うことで、素浄瑠璃をわざわざ聴きに行くほど通じゃないしな~、と思って聴く機会を持てずにいた。それが今回は文楽の人形との「共演」ということで、しかも文雀さんが出演されるというので、行ってみることにした。

会場の紀尾井小ホールは、邦楽の演奏会専門ということで、下のクラシック専門のホールには何度も行っているが小ホールには初めて入った。キャパが250人くらいだろうか、国立の小劇場よりもずっと小さく、しかし客席に段差があるので見やすい。もちろん定式幕や床はないので、緞帳が上がると舞台上手端に義太夫の人たちが座っているという形だった。

初めに司会の水野悠子さんの演目解説と、人形の和生さんによる人形の説明が付く。まあ、贅沢!これは女流義太夫のファンの方の中には、文楽人形のことを知らない人が多いから、と言うことのようだったが、和生さんも「よくご存知の方のほうが多いとは思いますが」と仰りながらも、鑑賞教室のように動かし方など丁寧に見せて下さった。
面白かったのは、頭を動かす胴串の中の糸がたまに切れることがあり、本番中にそうなるとどうしようもない、と。「10年に1回あるかないかですけどね」もしそうなっちゃったのを見たら「珍しいのを見たと思って(勘弁して)下さい」とのことでした。

演目は「加賀見山旧錦絵」から
  草履打の段 竹本越孝・鶴澤寛也
  長局の段   竹本駒之助・鶴澤津賀寿
  奥庭の段  竹本越若・越京・越春 鶴澤駒治
人形 文雀のお初、和生の尾上、玉女の岩藤

始まる前は、女性の声で義太夫って、やっぱり線が細いのかな、とか思っていた。でも始まると、もちろん普段聞き慣れたものとは違うけれど、演目が「加賀見山」という登場人物がほとんど女だけというのも一因かもしれないが、意外にすんなり違和感を感じることもなく入っていけた。
特に「長局の段」を語った駒之助さんは、さすがに人間国宝なだけはあって、描写の確かさや情の深さなどほんとうに素晴らしくて、文楽の太夫と比べても全く遜色なく、感動した。しかも、70分の長丁場を一人で語り切った体力にもびっくり。
三味線のほうは、やはり音量や迫力などは文楽の男性の三味線にはちょっと聴き劣りがする気もしたが、細やかさやしっとりした音など女性ならではと思われるものもあり、面白かった。

人形では、文雀のお初はさすがに立派で、かいがいしさ、健気さなど、若い娘らしい溌剌とした様子と共に見せた。
和生の尾上も、中老らしい落ち着いた物腰の中に、屈辱に耐える苦しさ辛さ、悲しさを見せて美しかった。
岩藤は玉女で、珍しい女形の動きにちょっと不慣れな様子もないではなかったが、敵役らしい憎らしさ、存在感を見せたのはさすが。
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