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加山又造展 [美術]

2月18日
国立新美術館
http://www.kayamaten.jp/index.html
poster.JPG
加山又造(1927~2004)は現代を代表する日本画家の一人で、今回は没後5年になる画家の大回顧展。

と言っても、正直に言うと私は現代の画家には疎くて、加山の名前も、聞いたことはあるけど、くらいの認識。でも展覧会のチラシやHPを見たらきれいそうだったので見てみようかな、と思って足を運んだ。

加山に限らずだが、現代の画家の絵はどれも大きくて、こうして広い美術館で鑑賞するにはいいけれど、昔の絵のように床の間に飾るわけにもいかないし、個人の家には置けないなあ、などと思ってしまう(余談です)。

midokoro-6-pict3.jpg
最初に展示されていたのがこれ「雪」。
とっても抽象的でモダンアートぽくって、日本画としては斬新。いきなりこれを見て、お、やっぱり普通の日本画家じゃないな、と期待というか覚悟というかをおぼえつつ先へ進む。

展示は時系列と言うよりは、絵のテーマごとに分けられていて見やすい。
最初のコーナーでは動物を主題にした絵が並ぶが、何とも不思議な絵ばかりで、ダリの絵を思い起こすようなシュールレアリズムっぽい雰囲気。

また別のコーナーでは、現代の琳派とも言えるような華麗な金箔銀箔を多用した絵が目を奪う。でもなんというか、筆致が日本画ぽくなくて、アクリル絵の具とか使っていそうな感じに見えて面白い。どうやって描いたんだろう。
千羽鶴.JPG
「千羽鶴」(部分)

さらに裸婦の絵のコーナーは、ドキッとするほどエロティシズムが溢れていて、ますます日本画のイメージと遠ざかる。ちょっとエゴン・シーレの裸婦像を思い出したり。
中で、「黒い薔薇の裸婦」の絵のモデルの顔が、「あ~、美川憲一に似てる」と思ったらそうとしか見えなくなって困ってしまった(ごめんなさいっ!)
midokoro-3-pict.jpg

伝統的な日本画のテーマにももちろん取り組んでいて、例えば「夜桜」。大観や東山魁夷などにも有名な作品があるが、これなどは加山の作品の中では比較的オーソドックスな描き方。
夜桜.JPG

こちらは「紅白梅」。明らかに尾形光琳の絵を意識的に真似ている。
紅白梅.JPG

水墨画もあるが、ものすごく細かく線を描き込んであって、普段水墨画を見るときに感じる枯淡の境地とは程遠い、なにかこう描くことへの執念を感じさせるような妙な生々しさがある。ちょっと怖いような感じがした。
midokoro-5-pict1.jpg
「倣北宋水墨山水雪景」

そして最後のコーナーでは、器や着物、装飾品と言った工芸品が並んで、この画家の多彩な才能を見せてくれる。実を言うとこのコーナーがいちばん見ていて楽しかった。どれも本当に素敵なデザインで、コーヒーカップなど、どこかの陶器会社がデザインを復刻して売り出したら今でも人気が出そうなのに、と思ってしまった。
着物も素敵で、一体どんな人がこれに袖を通したのかしら、と溜息が出てしまうほど。

とにかく、日本画の狭いイメージを打ち破った、多種多様な作品に触れることのできる見応えありの展覧会。
日本画に興味のない人でも面白く見られると思うので、ぜひご覧いただきたい。
タグ:加山又造
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