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庄司紗矢香ヴァイオリンリサイタル [音楽]

1月15日 王子ホール
 
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プログラム
シューベルト:ソナチネ 第3番 ト短調 Op.137-3, D408
ブロッホ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番

********** 休憩 **********

メシアン:主題と変奏
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 Op.100

アンコール
シューベルト:ヴァイオリン・ソナチネ 第1番 
         ニ長調 Op.137-1, D384 より アンダンテ
クライスラー:ウィーン奇想曲
        :ウィーン小行進曲
エルガー:愛の挨拶

ピアノ:イタマール・ゴラン

3年ぶりくらいかな、庄司さんのリサイタルを聴くのは。まだ20代半ばにしてすっかり大人の貫禄、もう紗矢香ちゃんとは呼べないかなあ。いえ、見た目はまだまだ少女の面影なんだけど。

シンプルな明るめの小豆色のドレスで登場。
まずは肩慣らしとでもいった雰囲気のシューベルト。実はシューベルトとは相性の悪い私。どんな名演奏家の演奏でもシューベルトって好きになれない。何故かわからないけど。そんなわけで紗矢香ちゃんでも、「ふ~ん」という感じで聞き流す(ごめんなさい)。

圧巻は次のブロッホのソナタ。初めて聴いた曲だが、3楽章を通じて激情が貫いている、厳しさのようなものが感じられる曲。紗矢香ちゃん自身、インタビューで「謎のある曲」というようなことを言っているのが何となくわかるような。決していわゆる現代音楽風の難解さがあるわけではないのだけれど、作曲者が聴く人にあるいは演奏家に、激しく何かを訴えているというか突きつけてくる、(いやもちろん作曲家は誰でもどんな曲でも何かを訴えているんだろうけれど)、その言葉のない声に圧倒されるような大曲。でもメロディはブロッホらしいユダヤ風の旋律が見え隠れしたりして、面白かった。

そのブロッホよりも感心したのは次のメシアン。「主題と変奏」などというと想像する19世紀のヴィルトゥオーゾ的名人芸披露の曲からは程遠い、よく聴いていないとどこまでが主題でどこから変奏になったのかもわからないような曲だが、とにかくメロディの息が長くて一瞬たりとも弛緩を許さないような曲。これを見事に緊張感を持続させて弾ききった集中力の高さに、いまさらながら脱帽。

最後のブラームスのソナタの第2番は、他の2曲のソナタに比べるとやや小ぶりで地味な印象もあるが、逆に歌曲を思わせる旋律の美しさはいちばんで、イメージとしては晴朗で澄んだヨーロッパの秋の空。これを紗矢香ちゃんは甘美に流されずにくっきりとした輪郭で描いて見せた。ブラームス晩年の枯淡の曲を若い人で聴くのも一興。

アンコールでは、少し緊張を解いて、名曲を軽々と、楽しげに弾いて聴かせてくれた。

ピアノのゴランも、名サポート。いやサポートではなく本当の意味で共演か。決して出過ぎもしないが、ブロッホのような難曲も紗矢香ちゃんとの息もぴったりに堂々とした音楽を作り上げた名演奏ぶりはさすが。
タグ:庄司紗矢香
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