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花形歌舞伎・夜の部 [舞台]

11月9日 新橋演舞場

顔ぶれと演目を見て、う~んどうしようかな~、と迷ったが、菊之助の政岡がやっぱり気になって夜の部だけ拝見することにした。

前日から急に冷え込んできて、慌てて冬物を引っぱり出していく。まだ夏物も片付いてないのに。

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一・通し狂言 伽羅先代萩
序幕から、竹の間の場も含めて全通しの丁寧な上演。
菊之助の政岡、愛之助の八汐、獅童の荒獅子男之助、海老蔵の弾正、門之助の沖の井、吉弥の松島、右之助の栄御前、亀三郎の頼兼、男女蔵の谷蔵・渡辺外記左衛門、松緑の細川勝元、家橘の山名宗全

菊之助もちろん初役の政岡。玉三郎に習ったそうだが、まず声が良い。第一声から、凛として気迫のこもった、若君を守り抜こうと張りつめた様子が出ている。御殿の場に移っても、非常に楷書体というか、きっちり教えられたとおりにやっているのがわかる。眼目の一人舞台になっての愁嘆は、さすがに義太夫に乗っての台詞は難しく、泣かされるところまでは行かなかったが、期待以上の立派な出来。
思えばこの政岡、普段座頭格の立女形がやるので中年女性のような気がしていたが、実年齢としてはどうなのだろう。千松の母であることを思えば30になるやならずやだろう、今の菊之助とそうは変わるまい。そう思って見ると何だか新鮮。

愛之助の八汐は仁左衛門に習ったのか、竹の間ではちょっと三枚目がかったオーバーな演技で笑いを誘うが、いささかやり過ぎかなとも。逆に御殿の場ではもう少し残忍で憎々しげでも良いか。加減の難しい役なのだろう。

門之助の沖の井、吉弥の松島、右之助の栄御前がそれぞれニンにあった風で菊之助を盛り立てた。
この芝居、御殿の場が有名だが、竹の間の場も面白い。ちょっとドラマの「大奥」みたいで、女の対決、と言う感じ。

獅童の男之助は、ニンにあっていると思い期待していたのだが、あまりに力が入りすぎて声も割れているし、あらあら、という感じでがっかり。

海老蔵の弾正は、床下、対決では大したことはないが、刃傷では本領発揮で、いつも通り目をむいての立ち回りは迫力いっぱい。この人は台詞がないと安心して見ていられるんだけど(苦笑)。ただ最後の外記に刺されてから倒れるまでのところがしつこい。

勝元は松緑。どちらかといえば男之助が本役で、こういう捌き役はちょっとニンじゃない気がしたが、智恵と情に優れた様子が見えてなかなか。対決の場での台詞運びがちょっと早すぎる気がして、もうちょっと緩急があってもとは思う。

外記が男女蔵というのはちょっと気の毒な感じ。お父さんの持ち役でしょうに。男女ちゃんって、正月の浅草歌舞伎でも老け役を振られるんだよね。しかし、メークだけでなく、歩き方などにも工夫があって、それらしく見えたのは立派。
しかし何度見てもこの外記は可哀想。勝元も、薬だ駕籠だと言いながら、死にそうな外記にひとさし舞えってそりゃないでしょう、といっつも思う。

二・龍虎
愛之助の龍、獅童の虎
竹本連中のつく舞踊。新作なのか、曲も何となく現代風。装置も凝っていた。
始めは冠にそれぞれ龍と虎の飾りが付いた、昔の中国風の衣装。途中で引っ込んで隈をとって獅子のような鬘で登場、毛振りをしながら引き抜きで衣装を替えるのが珍しく、後見が大変そう。またもう一度引き抜きをやって、顔が元に戻ったのは、隈はどうなっていたのだろう。三階からではよくわからなかったが、お面でもなさそうだったし、ちょっとマジックみたいで面白かった。
だが踊りとしては、毛振りをするくらいでそれほど見所があるわけでもなく、何だか仕掛けだけが目を引く一幕だった。
しかし獅童って、あんなに顔が細かったかな?痩せたのかしら。
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