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新秋九月大歌舞伎・昼の部 [舞台]

9月14日 新橋演舞場

一・源平布引滝
 義賢最期
 竹生島遊覧
 実盛物語

海老蔵の義賢・実盛、門之助の小万、権十郎の折平実は蔵人、松也の葵御前、梅枝の待宵姫、男女蔵の進野次郎、右之助の小よし、新蔵の九郎助、市蔵の瀬尾十郎、友右衛門の平宗盛

演舞場の昼の部は、亀治郎が歌舞伎座の方に行ってしまっているので、ほとんど海老蔵ワンマンショーの趣。
まず義賢では、病鉢巻とは言え、顔色が随分灰色がかっていてちょっと不気味。初めの折平(蔵人)とのやり取りに腹がないので、源家再興のために働く苦悩などが伝わらないのがもどかしい。だがおそらく本人も観客の大部分もこのあたりはどうでも良くて、注目は後半の大立ち回り。血糊のついた顔はいつもながら眼力も利いて大迫力、襖を使った屋台崩しも最後の階段落ちも見事に決めて拍手喝采。まあ、こういう役はこの人ならではというか、気持ちよく観ていられるのは確か。

一方の実盛は颯爽とした捌き役だが、涼やかな容姿はともかく、こちらは身体能力で見せる役ではないから、懐の深さも知にも情にも長けた様子も、今ひとつのつっこみが足りなくて型をなぞって終わっている。特に眼目の「物語」や終盤での糸に乗った台詞が拙すぎてまだまだ勉強の余地ありすぎ。夜の岩藤に比べればずっとましだが、やはり台詞廻しはもっと頑張ってくれないと。

松也の葵御前が、品のある様子を見せてなかなかの出来。
近頃老け役がすっかり板に付いた市蔵も、瀬尾の憎々しげな様子と、一変して親の情を見せるあたり上手く見せた。
権十郎の折平は、残念ながら地味すぎてニンでない。なにしろ小万と待宵姫と二人に惚れられてる男なのに、華がないのは辛い。男女蔵と逆でもよかったのに。
門之助の小万に気丈な様子と健気さがあり上々。
梅枝はお似合いのお姫様だが、昼も夜も同じような役で、役の幅が広がらないのは気の毒な感じもする。
太郎吉役の子役がなかなか達者だった。番付を買っていないのでお名前はわからないが。

二・枕獅子
時蔵の傾城弥生・後に獅子の精、松也と梅枝の禿
「鏡獅子」の原型という古い踊りだそう。
時蔵が前半では傾城姿も艶やかにしっとりと踊るのが、傾城と言ってもこの人のは品があっておっとりとした美しさで魅せる。
後半では獅子の姿になると言っても、「鏡獅子」のような隈取りはせず、顔はそのままで獅子の鬘だけかぶった姿。毛振りもそれほどたくさんは回さないが一応やってみせる、くらいで、時蔵の線が細いこともあって迫力があるとは言えないが、品よく見せて華やか。
梅枝と松也が、子供ではないのだが禿の愛らしい雰囲気をよく出して花を添えていた。
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