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九月文楽公演・第二部 [舞台]

9月8日 国立劇場小劇場

今月の文楽は、第一部では清之助さんが豊松清十郎襲名の披露公演、第二部は「奥州安達原」とどちらも見逃せない舞台。まずは第二部から。

IMG2.JPG

奥州安達原
 朱雀堤の段
 環の宮明御殿の段
 道行千里の岩田帯
 一つ家の段
 谷底の段

「朱雀~」と「環の宮」は文楽でも何度か観ており、歌舞伎でも「環~」は特に袖萩歌祭文で人気のある演目。
その歌祭文は千歳大夫と富助で、袖萩親子の辛さ悲しさと、傔仗夫婦の苦衷を聞かせて立派。
玉女の貞任に大きさがあり、紋寿の袖萩も哀れさを見せ、文雀の浜夕がいつもながらに無駄のない動きで場を締めてさすがに立派。

「道行」以下は上演機会の少ない場面ということで、私も初見。
いや~、「一つ家の段」の怖かったのなんのって。文楽や歌舞伎では殺しの場面はいっぱいあるけれど、これだけ残酷でグロテスクなのは珍しいんじゃないかしら。なにしろ、妊婦を殺して胎児を取り出してその血を採る、って言うんだから、もうほとんどホラー映画のようで、人形とわかっていても目を背けたくなるシーンも。これは歌舞伎ではやれないな。
もちろん、作者が描きたかったのは、そうまでして手に入れたものも全ては無駄になるという人間の虚しさ、業の深さであろうけれど、それは理解できても、あまりの残虐さに気圧されてしまって、ホラーが苦手の私は「あ~、なんか夢に出そう」などと思ってしまい(苦笑)、感動と言うよりは呆気にとられてしまった感じではあった。

その怖い老婆は勘十郎。鬼気迫る様子など迫力一杯。
殺される恋絹は和生で、道行での可憐な様子と殺される悲惨さをよく出した。
義太夫はその殺しの場面は咲大夫休演で文字久大夫と燕三だったが、老婆の恐ろしさ不気味さと、恋絹の哀れさの対比が良く出て、迫力満点。文字久大夫はこれまでもう一つ物足りないことが多かったが、今回は代演にもかかわらずとても立派だったと思う。

それにしてもこの物語は、傔仗も袖萩も、さらにはこの老婆も恋絹も、死んでいった人はみんな義家の策略のせいのようで無駄な死に思えて後味が悪いことこの上ない。どうも好きになれない演目である。
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