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第6回「囃子の会」 [舞台]

8月2日 歌舞伎座

能楽囃子(はやし)葛野(かどの)流大鼓方で人間国宝の亀井忠雄と歌舞伎囃子田中流の田中佐太郎の夫妻が主催する「囃子の会」、今回が6回目だそうだが初めて足を運んだ。
主催のお二人の他にご子息の亀井広忠、田中傳左衛門、田中傳次郎の三兄弟ももちろん参加。
踊りも富十郎に吉右衛門、玉三郎ら歌舞伎役者に、日舞の藤間勘十郎、能の観世銕之丞、梅若六郎らが出演する豪華な顔ぶれ。

とは言え、こちらは踊り、ましてや能はほとんど予備知識のないものなので、知ったかぶりは避けて記録とごく簡単なコメントだけにしておきたい。

舞台は全演目とも、能舞台を模した下手から橋掛かりのような道があって、奥には真ん中に大振りな枝の松の木と左右に金屏風(演目によってはこれが銀になった)。

一、『三番叟』藤間勘十郎
メークや鬘・衣装などを着けない、袴だけの素踊り(というのだろうか)。
ふつう歌舞伎舞踊で観る三番叟は翁と三番叟を別の役者が演じるが、この日は一人で踊り分け。

二、『鶴亀』中村梅玉、中村梅枝、中村萬太郎、中村梅丸
こちらは衣装、メークをしての上演。梅玉はさすがにこういうお役は気品があってお似合い。梅丸君が従者だが、一人前にしっかり踊っていたので感心。

三、『小袖曽我』観世銕之丞、梅若六郎
こちらは袴だけを着けての舞。能は、まったくと言っていいほどよく解らないのだが、お二人の端然とした品のある佇まいと、謡の緊張感に圧倒される思いがした。

四、『静と知盛』中村富十郎
素踊り。歌舞伎の「船弁慶」の世界を、衣装を着けずに、きっちり静と知盛を踊り分ける富十郎の上手さ。
そんなに激しい動きはなかったので、お膝の具合はよくわからなかったが、お元気そうで何より。

・・・・・休憩・・・・・
  
五、『羅生門』中村吉右衛門
素踊り。渡辺綱を演じる吉右衛門が凛々しく存在感十分。やっぱり吉右衛門様は素でも素敵。

六、『楊貴妃』観世清和、宝生閑
この楊貴妃は面と衣装を着けた形。
でもこれがちょっと長くて、ゆったりした能舞の動きと謡が心地よく、つい意識が遠のくことしばしば。申し訳ありません。

七、『老松』坂東玉三郎
黒に緑の松の裾模様の着物。鬘は、元禄風でもないのだがちょっと古風な派手な飾りのない髷。幕が開いた瞬間、「あら、博多人形みたい」などと思ってしまった。いつもながらお綺麗で、さすがに手の指先から裾捌きまで隙のない動きを見せて美しかった。

番外『獅子』亀井忠雄、田中佐太郎、亀井広忠、田中傳左衛門、田中傳次郎
最後に踊り無しで、一家の演奏だけで締めくくった。「獅子」はもちろん、「鏡獅子」や「連獅子」などの獅子の出てくる場面で演奏される音楽。あの鼓と太鼓の間が絶妙で緊張感が出るのね。こうして音楽だけを聴いていても、赤や白の毛の獅子が今にも登場しそうな気分になって、とても面白かった。

初めて観た「囃子の会」、とても豪華な顔ぶれでいろいろな演目が観られて満腹感いっぱい。
でも私など素人は、踊りがつくとどうしても音楽は二の次になってしまってもったいない気もする。
せっかくなら、最後の「獅子」のように音楽だけの演目をもっとやっても良いかも、と思った。
タグ:囃子
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コメント 4

とみた

こんにちは。私も初めて行きました。玉三郎さんのファンなんですが、今回は主目的がお囃子だし、踊りもどちらかというと勘十郎さんのを楽しみにしていました。でも玉三郎さんにやられちゃいました。きのう、三響会倶楽部のパーティに行ったら「玉三郎さんの踊り見てみんな帰っちゃうんじゃないかと心配した」と言ってましたが、まさか帰りはしませんけど、最後の「獅子」が多少喰われたかも・・・という印象はあります。

私も踊りがつくとどうしてもそちらに目が行ってしまうので、お囃子だけをもっと聞きたいです。能は、シテが出てくると眠ってしまう人間ですし。
by とみた (2008-08-04 12:04) 

mami

とみたさん、こんにちは。
私は吉右衛門様目当てで行ったのですが、玉三郎さんはさすがにお綺麗でしたねえ。溜息ものでした。でも実を言うと、踊りの玉様は冷たい感じがしてちょっと苦手なのです。ごめんなさい。

私は最後の「獅子」がいちばん面白かったんです。お囃子だけを聴いて、あれだけ情景が浮かぶってすごいなあ、と感心しました。
能は、「楊貴妃」を観ながら、やっぱり私には無理!って感じてしまいました(苦笑)。こういう時こそイヤホンガイドがほしかったです。
by mami (2008-08-04 14:37) 

とみた

そうそう、イヤホンガイドがあれば助かったのに。後で聞くと楊貴妃の舞台超豪華メンバーだそうで、私も本当に申し訳ないです。
by とみた (2008-08-05 12:40) 

mami

とみたさん、こんばんは。
1回だけの公演じゃ、イヤホンガイドは無理ですかねえ、やっぱり。
能の謡でも長唄でも、初めてだとなかなか聞き取れないんですよね。
最近は国立能楽堂では字幕があるらしいですね。国立劇場の文楽も字幕は必ずつくようになりました。日本語なのに情けないと言えばそうですが、初心者にはありがたいですもん。
by mami (2008-08-05 23:49) 

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