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パリの100年展 [美術]

6月10日
東京都美術館
http://www.mbs.jp/event/200804paris/

IMG2.JPG

芸大美術館を後にして、お隣の都美術館へ向かう。平日の午後なのでどちらも割と空いていてゆっくり見られたが、やはりこちらの方が一般向けという感じの展覧会なので、少し人が多い。

この展覧会は、日仏交流150周年記念と言うことで、芸術都市パリがいちばん輝いていたという1830年頃から1930年頃のパリに因んだ芸術家の絵画、彫刻、写真などを紹介するもの。

風景画ではいちばん初めにコローの絵が展示されていて、意表をつかれた感じ。コローと言えば緑に煙った田園風景、と言うイメージでパリを描いていたとは知らなかった。その他ではユトリロ、モネなどおなじみの画家の絵が続く。

古い写真で興味深かったのは、エッフェル塔の建設時のもの。まだ土台だけの時のものや、足場で作業する人のものなどが珍しい。

市民の生活ぶりを描いたものでは、ルノワールやフジタの肖像画も目を引くが、何とも愉快なのはドーミエの風刺のきいた版画シリーズ。ブルジョワ階級を痛烈に皮肉ったものが何とも可笑しい。

文学など美術以外の芸術との関連では、19世紀フランスを代表する文豪ユゴーの描いた絵や、ユゴーの作品「ノートルダム・ド・パリ」の一場面を描いた数種の絵もあり、影響の大きさを窺わせる。
カリエールの「アナトール・フランスの肖像」、ヴァラドンの「エリック・サティの肖像」など当時の芸術家の交流を想像させるものも楽しい。
写真では有名なナダールの撮った「ジョルジュ・サンド」や「アレクサンドル・デュマ」なども印象深い。発明当時絵画より低く見られていた写真でも、被写体の内面まで写し出すようなものもあったことがわかる。

彫刻はロダン、ブールデル、マイヨールの三人のものが数点ずつ。ロダンの筋肉もりもりのはあまり好きじゃないけど、「カミーユ・クローデルの肖像」(頭部)には、愛人だったカミーユへの複雑な愛情がこもるようでちょっと切ない。

個人的には、これに後ドガとマネとピカソの絵が1点ずつでもあれば同時代のパリとしては完璧なリストだったが、その他にもセザンヌやモローなどもあり、ものすごく有名な絵はないがどれも水準の高い作品が並ぶ充実した展覧会。
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