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あ・じゃぱん [読書]

「あ・じゃぱん」 矢作俊彦
第二次世界大戦で敗戦後、日本が東西に分割されて、西は資本主義、東は社会主義国家となり、西の京都御所にいた昭和天皇の崩御をきっかけに「壁」が崩壊して、、、。
主人公はアメリカ人の黒人ジャーナリスト。父親が終戦後GIとして日本に駐在していた日本贔屓の関係で日本語を学び、取材の傍ら、父の思い出の「ハナコさん」を探すが…。

という奇想天外のストーリーに、田中角栄、中曽根康弘、ヘミングウェイなど、実在の人物名がばんばん出てくる。しかもあり得ない状況設定で。
10年近く前に出版された本だけど、当時名誉毀損などで訴えられなかったのかしら?
実際に起きた事件、どこかの国の聞いた話、様々な要素をモザイクのように継ぎ合わせて、いかにもありそうな「戦後日本の歴史」ができあがっている。
中でも可笑しいのは、西日本では標準語が大阪弁になっていて、昔の標準語「東の日本語」を学んだ主人公は理解できずに苦労するのだ!
とにかく抱腹絶倒な大作である。

歴史・政治パロディであるとともに、チャンドラーの「さらば愛しき女よ」へのオマージュでもある。
なにしろ最終章で初めて明かされる主人公の名前が…。
矢作さんは最新作「The Wrong Goodbye」でもチャンドラーへの傾倒ぶりを発揮している。


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