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国立劇場 初春歌舞伎公演 [舞台]

新国立劇場中劇場

半蔵門の国立劇場が建て替えのため閉場となってから初めての歌舞伎公演。今回の会場は初台の新国立劇場・中劇場。
本来歌舞伎用の劇場でないため花道はないし、天井も高く違和感はある。だが客席からは見やすいし、ロビーは明るく広々した感じ。まあ、巡業で行く地方の劇場の上等な感じと思えば良いか。
歌舞伎座などと違ってお正月の繭玉飾りなどもないのが殺風景な気がした。

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例年国立の初春公演は菊五郎劇団による復活ものが続いていたが、今年は人数も少なめ、演目も古典が並んだのはもう音羽屋さんに復活を手がける気力体力がないのかも、と想像するとちょっと寂しい。
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一・『梶原平三誉石切』
梶原平三景時 尾上菊之助
大庭三郎景親 坂東彦三郎
六郎太夫娘梢 中村梅枝
俣野五郎景久 中村萬太郎
青貝師六郎太夫 嵐橘三郎
囚人剣菱?助 片岡亀蔵

菊之助初役の梶原は岳父吉右衛門のをよく勉強したのが見える。また、元々ニンにも合っていて爽やかで情のある様子がぴったり。
まあ、吉右衛門さんのように幕開きの「しからば、ごめん」のひと言から客を酔わせるような台詞術はまだ持たない。だが回数を重ねれば持ち役になるだろう。

橘三郎の六郎太夫が良い。娘への情と、気骨・品格がある。
梅枝の梢は言わずもがな。可憐さと細やかな父への情を見せる。
そして彦三郎の大庭が大きくてふてぶてしさもありながら大名の格も見せて立派。
萬太郎俣野のやんちゃさもまずまず。
亀蔵の呑助の台詞に普通と違って酒の銘柄の固有名詞が入らないのは国立劇場の制限か?

二・『芦屋道満大内鑑―葛の葉―』
女房葛の葉/葛の葉姫 中村梅枝
信田庄司 河原崎権十郎
庄司妻柵 市村萬次郎
安倍保名 中村時蔵

梅枝初役の葛の葉、期待を上回る出来。古風な面差しが役にぴったり。
あの人外なのに人並み以上の情の濃さ細やかさ。哀れで優しくてはかなくて、でも強くて。人妻として母としての愛情と悲しみを体現する。曲書きも達者な筆跡。
時蔵の保名がまたぴったり。品良くさらりとした二枚目ぶり。
権十郎と萬次郎の庄司夫婦も丁寧。

『勢獅子門出初台』
最後は出演者総出で華やかに。
菊之助・彦三郎・萬太郎・吉太朗の鳶頭、時蔵・萬次郎・梅枝の芸者、亀三郎・眞秀・丑之助・大晴らちびっ子が手古舞と鳶を早替わりで。
菊之助と彦三郎のコンビで踊るというのも考えると珍しいが粋な様子。
時蔵の芸者が艶やか。梅枝と萬次郎もしっとり。
萬太郎と吉太朗の獅子舞も勇壮。
ちびっ子達も達者な様子を見せて楽しい。
そして最後に御大菊五郎も登場。お腰が悪いそうで動きは不自由そうだが声は元気で、とにかくいなせで格好いい。正月から親父様のお姿が拝めておめでたさひとしお。
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繡と織 華麗なる日本染織の世界 [美術]

繡と織 華麗なる日本染織の世界 根津美術館

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奈良時代から明治時代にかけての日本の布装飾、中で織りと刺繍に注目して名品を見せる展覧会。

刺繍の種類の説明など、文字で読んでもちょっとよくわからないところは正直あった。実際に刺繍やってる人ならわかるんだろうけど。

まず奈良時代から始まり、正倉院宝物にあるような、刺繍を施した裂がいくつか。かなり褪色していて、破片のようになっているものもあるが、それでも細かい刺繍があるのがわかる。

展示の中心になるのは江戸時代の能衣装。
どれもデザインそのものが素晴らしく、それを彩る織りや刺繍さらに染色との見事なコラボレーションにはため息しか出ない。
西洋では豪華な衣装というと金銀宝石などが使われるが、そういうのがなくてもこれだけ豪華なものが作れる。誇るべき日本の文化だと思う。

ただ、現代ではこういう技術は引き継がれているのかしら、と心配にもなる。
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