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第三回双蝶会 [舞台]

8月6日(日) 国立劇場小劇場

中村歌昇と種之助兄弟による勉強会も3回目となった。尊敬する播磨屋に指導を仰ぎ、播磨屋の芸を受け継ごうとする二人の成長に目を細める機会となった。

第3回双蝶会b.jpg
一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
 奥殿

一條大蔵長成:中村種之助
吉岡鬼次郎:中村歌昇
お京:中村米吉
八剱勘解由:中村蝶十郎
鳴瀬:中村蝶紫
常盤御前:中村壱太郎

まずは種之助が大蔵卿に挑んだ。種ちゃんの大蔵卿は、世を偽って生きてきた人の悲しみが見えるようで、とにかく可愛い作り阿呆とのギャップを巧く見せていた。檜垣も見たい。

歌昇の鬼次郎はニンに合っていつか本公演でもやれそう。種ちゃんを見る目が時々お兄ちゃんになっちゃうのが、らしいと言えばらしい。

壱太郎の常盤は品良く位取りも良い。いかんせん幼く見えて子供が三人いるようには見えないが。
米吉のお京は眉なしのメークがしっくりきたのが収穫。ちょっと前まではああいうのは浮いてたと思う。声が凜として武家女房の雰囲気が出てた。
蝶十郎の勘解由が憎々しく、蝶紫の鳴瀬もしっかりとした武家勤めの女の風情があって、脇を固めた。


第3回双蝶会a.jpg
傾城反魂香(けいせいはんごんこう)
 土佐将監閑居の場

浮世又平後に土佐又平光起:中村歌昇
女房おとく:中村種之助
土佐将監:中村又之助
将監北の方:中村梅乃
狩野雅楽之助:中村蝶三郎
土佐修理之助:中村米吉

又平は、愚直なまでの必死さが歌昇君自身の必死さと重なって胸を打つ。最後の名字をもらってからがやや顔芸気味になったのが惜しい。

種之助のおとくはほんとに情があって旦那思いの気立ての良い奥さん。経験の浅い女形でこれほどやれるとは期待を遙かに上回った。これからももっと女形もやってほしい。

師匠夫婦がいなくなって、又平夫婦二人きりになって、死を決意して絵を描いて奇跡が起こって、の部分が客席も静まりかえって二人を見守っていたのが印象的だった。それほど二人に引き込まれていたんだと思う。良い夫婦だったなあ。

米吉の修理之助はすっきりとしたお行儀良い好青年。花道引っ込むとき刀を腰に差すのに手間取ったのがツボった。

又之助のお師匠さんも威厳と情があって素敵だった。
梅乃の北の方は綺麗で、後妻ですか、って思うくらいだけど、お優しくて、着替えを持ってきておとくに声かけるのがほっこり。
蝶三郎の雅楽之助が颯爽として凜々しかった。

大蔵卿では愛大夫が、吃又には葵大夫が竹本を務めて下さる贅沢もありがたい。

第一回では染五郎や松緑、芝雀などゲストに頼る部分もあったが、今回は同年配の米吉、壱太郎の他はお弟子さん達で作り上げた舞台。
でも去年までの熱気で持って行った芝居から、一段上がって、たとえ二人を応援していない人にもちゃんと見せられる内容の充実した舞台になっていた。おばちゃん、よくここまでとしみじみしてしまって、思い返しても泣けてくる。

もちろんまだまだ播磨屋さんからお褒めにあずかるレベルではないかもだけど、でもこうして二人が真摯に播磨屋の芸を受け継ごうとしてくれることは播磨屋さんにとっても贔屓にとっても本当にうれしいこと。染ちゃんが頑張ってくれるとしても一人では難しい。その隙間を埋めてくれればと思う。
来年の開催も決まっている。何をやるのか、本当に楽しみ。


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