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松竹大歌舞伎 中央コース [舞台]

7月30日 厚木市文化会館
1707巡業中央.jpg

去年始まった雀右衛門襲名披露の最後となる公演。この日は千穐楽でまさに最後。

一、妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
三笠山御殿
杉酒屋娘お三輪    芝雀改め中村 雀右衛門
烏帽子折求女実は藤原淡海   中村 歌昇
入鹿妹橘姫     中村 米吉
豆腐買おむら    大谷 友右衛門
漁師鱶七実は金輪五郎今国     中村 吉右衛門

雀右衛門のお三輪は田舎娘の朴訥さと求女に恋する娘の一途さがあって可憐。場違いな御殿に紛れ込んでしまった恐れに戸惑いながらも、官女らにいじめられてもひたすら求女の姿を追い求める様子がいじらしくも哀れ。諦めて帰ろうとして、祝言の声に耐えきれず、「あれを聞いては帰られぬ」と一転裏切られた怒りと恨みに「疑着の相」を見せる変化がくっきりとして鮮やか。この人が怒りなどの激しい表情を見せるのって、考えてみると珍しいかもしれない。でもやっぱり最後は求女に会いたいと焦がれながら死んでいく様子が涙を誘う。

吉右衛門の金輪五郎はひたすら堂々として大きい。一種不気味なまでの古怪さがあって、朗々とした台詞回し共々義太夫狂言の面白さを堪能させてくれる。

求馬と橘姫は歌昇と米吉の初々しいカップル。こういう二枚目の色男に不慣れな歌昇君はやや堅さがあり、もっと開き直ってやってもという感じ。米吉もこの人にしては求女恋しさが薄く(まあ、行儀が良いと言えなくもない)、二人ともちょっと物足りなかった。

二、五代目中村雀右衛門襲名披露 口上(こうじょう)
千穐楽、襲名口上もこれが最後。去年4月の襲名から1年半足らずですっかり名前もなじんで、一回りも二回りも存在感が大きくなった雀右衛門さん。福助の不在、玉三郎も歌舞伎の舞台から遠ざかりがちな今、ますます立女形としての活躍が期待される。

三、太刀盗人(たちぬすびと)
すっぱの九郎兵衛    中村 又五郎
目代丁字左衛門     中村 吉之丞
田舎者万兵衛      中村 種之助

又五郎の九郎兵衛は持ち役で、ギロギロと獲物を探す目つきの悪さからして笑いを誘う。何事も万兵衛の後を真似して言う台詞も踊りもわざと下手に見せる匠の技。
種之助の万兵衛は田舎者らしいおっとりした様子で、踊りは行儀よくすっきり。何より困った顔のかわいさがプライスレス。
吉之丞の目代は老人の拵えで、よぼよぼした様子がほんのりおかしい。

播磨屋さんが出て下さったことで、座組は小さいながら巡業とは言え充実した舞台で、襲名興行を締めくくることができて京屋さんもお幸せだと思う。


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