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芸術祭十月大歌舞伎昼の部 [舞台]

歌舞伎座

1610歌舞伎座.jpg
八代目芝翫とその息子たち3人の同時襲名披露公演。四人同時襲名は記録にないとか。

一、初帆上成駒宝船(ほあげていおうたからぶね)
橋彦  国生改め橋之助
福彦  宗生改め福之助
歌彦  宜生改め歌之助

幕開きは三人揃っての踊り。とにもかくにもお行儀よく、きっちりと。3人とも大きくなったわね、と親戚のおばちゃん気分で見守る。歌詞にも襲名にちなんだ言葉がちりばめられている。背景の絵は山口晃。古典っぽくてかつモダンで素敵だった。

二、女暫(おんなしばらく)
巴御前   七之助
舞台番松吉  松緑
轟坊震斎   松也
手塚太郎   歌昇
紅梅姫    尾上右近
女鯰若菜    児太郎
局唐糸    芝喜松改め梅花
東条八郎  吉之丞
江田源三   亀寿
猪俣平六   亀三郎
成田五郎   男女蔵
清水冠者義高  権十郎
蒲冠者範頼   又五郎
      
七之助の巴はただただチャーミング。ツンとして可愛く、ぷいっと顔を背ける様子にキュンキュン。口跡も凛と張りがあって、聞きやすく素敵。最後の幕外では、叔父たちの襲名にも触れてミニ口上。

又五郎さんの範頼、悪役だけどどっしりとした存在感。これからこういう役増えてくるかも。いいぞいいぞ。
児太郎の若菜、キュッとしたお茶目さと若いのに不思議に大人っぽい色気。見るたびに階段を登ってる。
松也の震斎はやや固さがあり、ニンじゃないのかな。
松緑の舞台番はさっぱりとした愛嬌があり、最後をしっかり盛り上げる。ほんとの「暫」(といっても「御贔屓勧進帳」のだが)を勤めている松緑が、六方の指南をすると言うのもなんだか楽しい。

まわりが皆一回り若い世代になってるのが印象的。成田五郎と言えば左團次さんだったのに男女蔵になってるし。亀亀兄弟とかやたら声の良い人が揃う。 右近の紅梅姫が可憐。
   
     
三、お染 久松 浮塒鷗(うきねのともどり)
女猿曳   菊之助
お染    児太郎
久松    松也 

児太郎のお染が、最初の紫頭巾がよく似合って綺麗。いかにもお嬢様というおっとりした風情があって良い。
松也の久松もダメ男の二枚目で物腰の柔らかさがあるが、踊りはもうちょっとがんばろう。
菊之助の猿曳きがこの二人に比べるとさすがに貫禄で、二人に意見する年嵩の姉さんの雰囲気があり、しかも愛嬌もあって綺麗。

四、極付 幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)
「公平法問諍」
幡随院長兵衛   橋之助改め芝翫
女房お時     雀右衛門
唐犬権兵衛    又五郎
伊予守源頼義   七之助
坂田公平     亀三郎
御台柏の前   児太郎
極楽十三   国生改め橋之助
雷重五郎   宗生改め福之助
神田弥吉   宜生改め歌之助
下女およし   芝喜松改め梅花
舞台番新吉   吉之丞
坂田金左衛門   男女蔵
渡辺綱九郎   権十郎
出尻清兵衛    松緑
近藤登之助    東蔵
水野十郎左衛門   菊五郎

昼の部の新芝翫お披露目狂言。
芝翫は、最初の村山座の場での台詞がえらく大仰で、変な言い方だが芝居がかりすぎているように感じてしまった。たっぷり、自分に酔っているようで。そこ以外は、貫禄もあり、男気のある親分で、次の場での妻子との別れの情もあり、水野邸での最後も大きさもあって立派なんだけど。

菊五郎の水野は何度もやってる役で敵役ながら旗本の貫目も見せてさすがに華を添える。

雀右衛門のお時が、しっとりとした情を見せる。芝翫とは何度か組んでおり、相性も良い。
又五郎の唐犬はニンではなさそうだが、きっちり。
松緑の出尻は軽妙さがあって良い。が、ニンとしては唐犬の方か。

劇中劇の「公平法問諍」が、もったいないくらい面白かった。
特に亀三郎の公平が荒事らしい稚気があり、また中断されての役者としてもおかしみがあり上々。
七之助、児太郎と揃って、この一幕ちゃんと見たいと思ったくらい。
しかし、児太郎と言えば昔この頼義が伝説になるくらい大根だったことを思うと、人間は成長するもんだなあと感慨深い。

しかし、本人が好きだからこそのこの演目なんだろうけど、襲名に最後に殺される役ってのもどうかねえ、とは思ってしまった。

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