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勝川春章展 [美術]

太田記念美術館
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/2015_katsukawashunsho
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先日見た出光美術館のは、肉筆画に絞った展示だったが、こちらは版画。両方観ることで、春章の全貌がわかる。
春章は前半生では役者絵や相撲の力士絵で名を挙げた。

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勝川春章「三代目瀬川菊之丞の草花うりお菊実は大和国小女郎狐 初代坂東三津五郎の忠信」
春章の役者絵は、それまでのと違い、リアルに役者の風貌を写したところが新しかったという。
そしてそれはその後の写楽らに受け継がれていく。

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勝川春章 「西方 江戸 柏戸勘太夫 大坂 稲川政右エ門」
驚きなのは、春章が画家として活躍し始めたのは40代と言う遅いスタートでまずは役者絵で評判をとり、しかしそこに安住せず、相撲絵に取り組んだのは50代になってから。当時としては老年だろうが飽くなき挑戦を続け、さらに晩年に肉筆画の傑作をものにしたわけである。

春章には多くの門人がいて、勝川派は江戸の浮世絵界で大きな派閥となった。北斎も若い頃は春章の弟子だった時期があり、春朗の名をもらっていた。

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勝川春朗(北斎)「初代中村仲蔵」
でも、北斎は春章の死後は勝川派を飛び出し(兄弟子と不仲だったとか言う説があるらしい)、その後もいろいろ名前を変えていく。でもあの北斎のルーツが勝川派なのか、と思うといろいろ面白い。

と言う風に、この展覧会では、春章から写楽へ、あるいは北斎へ、と言う江戸後期の浮世絵の流れの源流を春章に見出して春章の業績を再評価しようという内容。春章がいたから写楽が生まれ、北斎も生きた。肉筆画の見事さと共に確かにもっと認められて良いと実感。
出光と両方観られてほんとに良かった。
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