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勝川春章と肉筆美人画展 [美術]

出光美術館
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html
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今年は春章の生誕290年だそうで、記念の展覧会がいくつか。これはその一つ。
役者絵や相撲の力士絵などで浮世絵の世界で確固たる地位を得ていた春章が肉筆画に積極的に取り組んだのは後半生になってからだそう。今回はその肉筆画に焦点を当て、春章の先行者や同時代の画家たちの絵も見せる。

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宮川長春 立姿美人図
春章は宮川派の系列に繋がるのだそう。宮川派はもっぱら肉筆画を主にした流派で、この長春の美人図も無地の背景にすっきりした線で描かれた姿が美しい。こういう、ちょっと体をひねって振り返ったポーズもこの時期の美人画の典型的なもの。

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勝川春章 吾妻風流図
上の長春から50年くらい後?姿勢などよく似てるようでいて、線描が繊細になり、顔の表情なども柔らかく細やかに。

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勝川春章 桜下三美人図
春章の美人画は、後に続く歌麿や写楽のような大首絵ではなく、また女性の表情も色気よりも楚々とした上品さがあって美しい。特に肉筆画は木版画のような大量生産でなく、おそらく上客からの注文によるものだったろうから、時間もかけ絵の具も良いものを使っているだろう。大衆向けではない、高級品のよう。

それは春章に限ったことではなく、他に展示されている湖龍斎や抱一などの肉筆画にも言えることで、版画とはひと味違う肉筆画の良さが堪能できる。
春章から、下の世代の鳥文斎栄之、歌麿、北斎らへと繋がっていくのが実感できる。

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春章 美人鑑賞図
これは会場最初に展示されていた大判の絵で、最近の調査でこれが鳥文斎栄之の絵に着想を得て描かれたらしいとわかったそう。その栄之の絵も写真が展示してあったが、まさにそっくり。これって今で言えばパクリじゃないの!?いいのか!?って思ってしまった。(笑)

春章は確かに時代の間でちょっと損してる、写楽みたいなインパクトないし、北斎や国芳みたいな楽しさもないかもで、私も今までそんなによく知らなかったけど、とても素敵な絵がいっぱいで、見て良かった。春章以外の画家のも充実してるし、とても良い展覧会。

 

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