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歌舞伎座 壽初春大歌舞伎 夜の部 [舞台]

1月11日(月) 歌舞伎座

一、猩々(しょうじょう)
猩々  梅玉
酒売り  松緑
猩々  橋之助

おめでたい演目だからか、正月には似合いの一幕。
幕開きまず登場するのは松緑の酒売り。こういう拵えをするとほんとに顔ちっさいな~。白塗りで目ぱっちりでお人形みたい。踊りは控えめに、すっきりと行儀良く。
梅玉の猩々はこれもまた木目込人形のよう。そしてあくまで品良く、気高い霊獣といった様子。なのになんだかフリーダムに酒を楽しんでる風情もあって、梅玉さんらしい。
橋之助も行儀良いが、ちょっと遠慮してるような感じも。もうちょっとのびのびやっても良いのにな。

吉田絃二郎 作
二、秀山十種の内 二条城の清正(にじょうじょうのきよまさ)
二条城大広間の場
淀川御座船の場
加藤清正  幸四郎
大政所  魁春
豊臣秀頼  金太郎
井伊直孝  松江
池田輝政  廣太郎
斑鳩平次  錦吾
浅野幸長  桂三
藤堂和泉守  高麗蔵
本多佐渡守  彌十郎
徳川家康  左團次

前に吉右衛門と福助で見たことがある。ので、金太郎が秀頼と聞いて、幼すぎるのではと危惧した。
それはまあ確かにその通りで、まだ声変わりもしていない金太郎ではちょっと無理がある。しかし、しっかりと台詞をこなし、家康と対等に物怖じせず話をする位の高さを毅然と見せたのは感心。しかも、とにかくきれいな子!いや~、10年後はどうなってるのか末恐ろしい美貌だわ。そして終幕の幸四郎との「じい」呼びの会話が泣かせる。このために幸四郎さんは金太郎ちゃんとこれをやりたかったのよね。

幸四郎の清正は誠実で、ひたすら秀頼を守り通すことに命をかける。一徹で無骨。家康相手に一歩も引かず、時には無礼なほどにしても秀頼の身と立場を守ろうとする。貫禄と大きさ、さらには清潔さまでも感じさせた。爺馬鹿と言われても、これがやれて良かったですね、高麗屋さん。

左團次の家康がいかにも狸親父然として食えない老人。
魁春の大政所が穏やかで品がある。この人のたたずまいの美しさはほんと一級品。

三、玩辞楼十二曲の内 廓文章(くるわぶんしょう)
吉田屋
藤屋伊左衛門  鴈治郎
吉田屋喜左衛門  歌六
阿波の大尽  寿猿
おきさ  吉弥
扇屋夕霧  玉三郎

昨年の襲名披露以来三度目の鴈治郎の伊左衛門。一年前の松竹座での初演に比べると、一回りふっくらと大きくなって、ゆとりが出た。松竹座よりもずっと広い歌舞伎座の舞台に一人残されても、舞台を支配している貫禄がある。そしてぼんぼんらしいおおらかさと愛嬌があって、なによりとにかく可愛い可愛い。

玉三郎の夕霧はもう美しさでは何も言うことはない。登場して懐紙で隠していた顔を見せた途端客席からため息が。病み上がりの憂いと愛しい人への焦がれる気持ちとが美しさに凄味を与えるほど。しかも可愛さもあって。襲名公演ではないが、いわば襲名一周年記念の舞台に華を添えた。

歌六の喜左右衛門が誠実。
吉弥のおきさが上方の女将の風情。ただ秀太郎で見慣れると、やや上品がちか。

河竹黙阿弥 作
四、雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)
直侍
浄瑠璃「忍逢春雪解」
片岡直次郎  染五郎
三千歳   芝雀
暗闇の丑松   吉之助
寮番喜兵衛  錦吾
丈賀   東蔵

染五郎の直次郎は二度目だそうだが、前回は観ていないと思う。好い男なのはもちろん、追われる身の緊張感とうら寂しさとともに、根底の育ちの良さ、人への優しさが見え隠れする。丑松への「達者でいろよ」に親身な情がこもる。さらに良かったのは、蕎麦を食べたり手紙を書いたり、段取りの多い芝居でそれを段取りと感じさせず、動きが自然に体に入って見えたこと。三千歳との束の間の逢瀬は所作事で柔らかみを見せるが、もう少し二人の間に情の濃さがほしい。

三千歳は芝雀で、病身らしい儚さと寂しさがあり綺麗。今一歩、直はん好き好きの熱さも見えたら。でも見たのが月前半だから、月末にはもっと良くなってるかも。

丈賀は初役の東蔵。誠実で人のよい様子が良く出た。
吉之助の丑松が健闘。


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