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プラド美術館展 [美術]

三菱一号館美術館
http://mimt.jp/prado/

スペインのプラド美術館のコレクションの中から、「小さな絵」を選んでの展覧会だという。それ以外には特にテーマ的なものはないようで、出品作はスペインの画家だけではなく、時代も14世紀から19世紀までのものをほぼ時代順に展示。あまり知らない画家も多くて、もしプラドに行って鑑賞したら、多分見過ごすだろうなと言うものもかなりあったが、こっちが無知なだけで優品が並ぶ。
でもやっぱり、プラドと言えば、ゴヤ、ベラスケス、エル・グレコが観たいのが人情。もちろん、ありましたよ。数はそう多くないけど。

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目玉の一つが、滅多に日本で観られないボスの作品。
ヒエロニムス・ボス「愚者の石の除去」
ボスというと思い浮かぶのは魚に食われてる人とか、そういう摩訶不思議な絵。そう言ったのに比べるとこれは普通?と思いきや、よく観るとやっぱり変。医者が患者の頭から何か取り出してる?解説によると、中世ネーデルランドでは、頭の中の小石が大きくなると愚か者になるので手術して取り出さないといけないと言われていた、とあるが、あの時代にそんな手術できたわけがない。しかも医者はいかにも藪っぽいし、患者の妻もかたわらの司祭もわけあり風。要は全員が「愚か者」と言うふか~い絵なのだ。さすが奇才の画家ボス。

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エル・グレコ「受胎告知」
エル・グレコの絵は大きいのが多くて見上げるように見る印象だが、これは珍しく小さい。でも色とか、ドラマチックな表現とか、まさしくエル・グレコ。天から渦巻くように天使が舞ってるのが面白い。

ベラスケス.JPG
ベラスケス「ローマ、ヴィラ・メディチの庭園」
ベラスケスと言えば、王女マルガリータ、だけど今回はそれはなし。比較的珍しいかも、な風景画。ベラスケスの絵は近づいて見ると粗い筆致なのが、離れて見ると精緻に見えるのが不思議。

ムリリョ.JPG
ムリーリョ「ロザリオの聖母」
ムリーリョの聖母子像は、親しみやすい顔が特徴。そのへんの人がモデルになったんだろうな。このイエス様ちょっと大きすぎませんかね。

ゴヤ1.JPG
ゴヤ「トビアスと天使」
ゴヤの真骨頂はモデルの内面をあぶり出す肖像画と思っているので、これはお上品でつまらない。でも天使の羽根や服の襞など丁寧に描かれている。報酬の高い仕事だったのかしら。。。ww

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ゴヤ「レオカディア・ソリーリャ」
同じゴヤなら断然こっちの方が良い絵。このモデルはゴヤの内縁の妻。この絵は堀田善衛が「ゴヤ」を描いた時はまだ最初の妻の肖像とされていたが、最近の研究で晩年の内縁の妻(と言うか召使いに手をつけた)、となった模様。せっかくの肖像画にしては髪がほつれて生活感が滲んでる。。。

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メングス「マリア・ルイサ・デ・パロマ」
小ぎれいに描かれてる貴婦人像、と言うだけで名画でもなさそうだが、何がびっくりってこの美しいモデルが、後の国王妃で、ゴヤが散々不細工に描いたあの王妃だと言うこと!
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この、国王一家の肖像の中のこの人ですよ。年月は容貌を変えるのか、メングスがよっぽど美化したのか。。。この日いちばんのびっくりぽん!

スペイン絵画以外でも、ルーベンス、ブリューゲル、ヴァトー、プッサン、、、といった有名画家の絵がある一方で、聞き馴染みのない画家の名前もあるが、始めに書いたとおり水準は高く見応えありの展覧会。
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dezire

こんにちは。
私も『プラド美術館展』展を見てきましたので、ご紹介されている作品を改めて思い出し、プラド美術館展を追体験することができました。比較的小さな作品が多かったですが、日本でめったに見る機会のないボスやメムリンクの作品や、エル・グレコ、ルーベンス、ムリーリョ、ベラスケスの充実した作品が見られてよかったと思いました。

私は今回の『プラド美術館展』から特に印象に残った7つの作品を厳選し少し掘り下げ書いてみました。それと一緒に実際にスペインのプラド美術館に行ったとき、プラド美術館の膨大な絵画の中から特に感動した作品についても書いてみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。

by dezire (2016-02-03 09:23) 

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