SSブログ

風景画の誕生展 [美術]

Bunkamuraザ・ミュージアム
ちらし.JPG
ウィーン美術史美術館の所蔵品で風景画の誕生から発展を辿る。
宗教画などの背景として描かれていた風景が、それそのものを描いた風景画として成立するまで。

そうか、風景画が風景画として描かれるようになったのって、やっと17世紀頃なんだ。そう言われてみればそうだなあ、と改めて思う。
でも、そのずっと以前から風景自体は描かれてきた。宗教画の、聖家族らのいる風景。ギリシャやローマの神話の世界の背景、、、窓の外の景色であったり、そういった「背景」が主題である「人物」よりだんだん画面の多くを占めるようになっていく。
いつか、ブリューゲルの風俗画のように人間は点景となり、風景の中にいる要素となる。

1.jpg
ヨアヒム・パティニール《聖カタリナの車輪の奇跡》1515年以前 油彩・板
主題のはずの聖カタリナたちは小さくて、むしろ風景を描くための口実のようですらある。どこまで写実でどこまで想像の景色なんだろう?

この展覧会での一つの目玉は季節画や、カレンダーとも言える「月暦画」。風景とともに、月々の農民らの営みが描かれる。春は種まき、秋は収穫、と言った季節毎の農作業や祭りのようなもの。

2.jpg
ルーカス・ファン・ファルケンボルフ《夏の風景(7月または8月)》1585年 油彩・キャンヴァス
麦苅りに従事する人々を取り巻く風景。

3.jpg
このコーナーで参考出品されている《八月の鷹狩り》『ベリー侯のいとも豪華なる時祷書』。いとも豪華なる、いとも華麗なと言っても良い、それはそれは美しい本。展示されていたのはファクシミリ版だけど、十分に魅力的。手にとってめくってみられたのも嬉しい。

そうして17世紀のオランダで「風景画」というジャンルが登場する。

4.jpg
アールト・ファン・デル・ネール《月明かりの下の船のある川の風景》1665–70年頃 
人も描かれているが、もはや主題ではない。空の色、川に浮かぶ船の方が目を引く。

こうして誕生した風景画は一つのジャンルとして確立される。この展覧会では、風景画の誕生と言うことで18世紀あたりまでの作品史か取り上げていないが。

でも考えてみると、西洋では17世紀まで風景画がなかったけど、中国や日本ではそのずっと前から山水画というのはある。この違いはなんなんだろう?なんてことも感じた展覧会。


nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。