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三月花形歌舞伎 昼の部 [舞台]

3月11日(火) 京都南座

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翌日は昼の部を観劇。今回は泊まりで通しを避けたので体は楽。

一、吹雪峠(ふぶきとうげ)
 
直吉 亀三郎
おえん 梅 枝
助蔵 松 也

吹雪に閉じ込められた山小屋を舞台に、登場するのは三人だけの新歌舞伎。
兄貴分の女房を奪って逃げた男が松也で女が梅枝。女を盗られたのが亀三郎。この三人が偶然出会って・・・。
亀三郎は声も良いし台詞回しもドスが効いてこの中ではさすがに兄貴分の貫禄を見せる。直吉っていわば「思い切っても凡夫心」みたいな男なんだなあ。亀三郎だととても良い人に見えた。なりこそ渡世人だけど、とてもまっとうな人。だから余計に助蔵とおえんの薄っぺらさが際立ったように思えた。

松也は気の弱い、でも女好きのする優男がぴったり。ちゃらいわ~。なんでこんなにはまるんだ。
梅枝のおえんが男を惹きつける「いいおんな」。ただちょっと上品で、もうちょっと下素っぽい方がこの役には合うような気はした。でもこの若さであれだけの存在感はすごい。

ところでこの芝居、吹雪も大事な演出と言うことで、まあ降るわ降るわ。かぶりつきで見ていたら、頭から真っ白になるくらい紙吹雪を浴びました。後が大変だったわ。

二、新歌舞伎十八番の内 素襖落(すおうおとし)
   
太郎冠者 松 緑
太刀持鈍太郎 亀 寿
三郎吾 巳之助
姫御寮 新 悟
次郎冠者 松 也
大名某 権十郎

松羽目ものの踊り。意外にも松緑初役。
前半は行儀良かった太郎冠者が勧められた酒を過ごしてだんだんへべれけになっていく段階がよくわかって可笑しい。乞われて那須与一の物語をし始めたところはきりっとしていたのに、徐々に怪しくなってくる。松緑は踊りが上手いのはもちろんだが、表情が豊かで愛嬌たっぷり。最後の大名、次郎冠者と素襖を取り合うところの可笑しさ可愛さと言ったら!こんな可愛い松緑君見たことないかも。でも大爆笑の喜劇ではなく、あくまで松羽目ものの品位は保っての楽しさ。いやほんとに楽しかった。

姫御寮の新悟が良い。品があっておっとりして優しげ。この人も声が良いなあ。

三、与話情浮名横櫛 (よわなさけうきなよこぐし)
木更津海岸見染めの場
源氏店の場
   
与三郎 菊之助
お富 梅 枝
蝙蝠の安五郎 團 蔵
鳶頭金五郎 松 緑
和泉屋多左衛門 彦三郎

菊之助の与三郎に梅枝のお富という清新な顔合わせ。菊之助は前にお富の方はやっていたが与三郎は初役。
菊之助の与三郎は木更津ではいかにも江戸育ちの二枚目のぼんぼんという感じ。お富と出会って見とれるところにもうちょっと色気がほしいか。源氏店の方も持ち崩しても消えない育ちの良さが見える。お富をののしっても、すべてはお富への愛情ゆえ、というところがやや薄い。まあ、菊ちゃんならこれくらいはやるだろうという及第点ではあるけれど、まだまだ成長の余地あり。再演に期待。

びっくりしたのは梅枝のお富。大人の女の色気があり、やくざのおかみの貫禄もあり、それでいて変にすれていない純情な女の風情もあり。う~ん、すごい。はっきり言って初演の菊ちゃんお富よりずっと良い。「吹雪峠」も良かったが、梅枝君はこれからどうなるのか、良い意味で想像がつかない。

松緑の金五郎がいなせな江戸っ子。すっきりとして義理堅い様子。菊之助の与三郎と客席に降りてくるお決まりのサービスも楽しい。かぶりつきの席だったので目の前をお二人が通過。きゃー、心臓ぱくぱく。酔っ払いに絡まれると「先の幕で飲み過ぎまして」。菊ちゃんのことは「昨夜先斗町で飲み過ぎまして」(笑)

團蔵の蝙蝠安がさすがに上手い。小汚くて嫌らしくて、でも根っからの悪というわけでもない。といったあんばいが良くベテランの味。
彦三郎の多左右衞門も懐深い様子が十分だが、お富の実の兄というのはちょっときついな。どう見てもおとっつぁん。

菊之助、松緑だけでなく、梅枝、亀三郎始め菊五郎劇団若手の充実が見えた公演。歌舞伎座の公演ではまだなかなか役がtかないが、花形公演などこれからも良い役を見せてほしい。
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