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十二月大歌舞伎 仮名手本忠臣蔵 夜の部 [舞台]

12月23日(月) 

今年の歌舞伎座通いもこれで終わり。4月以来、なんか狂乱に近い観劇の日々だったなあ。
ともあれ、本日は3階で見納め。

五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
     同   二つ玉の場
 六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
   
早野勘平 染五郎
斧定九郎 獅 童
女房おかる 七之助
母おかや 吉 弥
判人源六 亀 蔵
千崎弥五郎 高麗蔵
一文字屋お才 萬次郎
不破数右衛門 彌十郎

染五郎の勘平は初役かしら。この役は手順に追われると言うが、楽近いせいかそんなにばたばたした感じはなく落ち着いて勤めていて不安感はなし。
なんと言っても美形の勘平。それだけに、心の弱さから道を間違って堕ちていく姿の哀れさが引き立つ。五段目幕開き、かさをとって顔を見せた姿の美しさ。その綺麗な顔が弥五郎に出会って金がいると知って曇る。その後も驚き、絶望、悲嘆、遠い詰められていく毎に見せる哀れさに胸が痛む。おかやにぶたれる場面では、ああもう許してあげて、と思わず思う。なんというか、そういう美しさにまぎれて勘平の罪が弱く感じられてしまうのも仕方ないか。仁左衛門の勘平もそういうところがあるが、「運が悪い人」になってしまう感じ。はあ、でも、綺麗な人は得よね、と言うところか。

吉弥のおかやが良い。ほんとはこんな老け役もったいない人なのだが、おかるへの情がやさしく、一方、婿勘平への複雑な思いが夫の死で一気に吹き出す感じが上手い。
でもできればお才の方をやらせてあげたい。

七之助のおかるは綺麗で儚げで、勘平への愛情だけをよすがに生きている感じがあふれる。別れの場面での「もういきますぞえ、、、、えぇ」に万感募り、切ない。

獅童の定九郎は、黒羽二重の衣装はよく似合うし、凄味もあるが、線が細いというか。一場面一人で支え切れていない。

亀蔵の源六が軽妙で、萬次郎のお才がてきぱきやり手な女将。
高麗蔵の弥五郎は真面目で律義、彌十郎の数右衛門が懐深い様子。

七段目 祇園一力茶屋の場
   
大星由良之助 幸四郎
寺岡平右衛門 海老蔵
竹森喜多八 松 也
富森助右衛門 廣太郎
大星力弥 児太郎
斧九太夫 錦 吾
赤垣源蔵 亀三郎
遊女おかる 玉三郎

もうこれは玉三郎おかるを見るためだけの一幕と言っても過言ではない。2階障子を開けて登場したときの息をのむような美しさ。ほんのり酔った態の色気。無邪気な可愛らしさ。ふわ~、やっぱり玉様すごいな。
と思ったけど、海老蔵の平右衛門との場面になると、海老に合わせようとしてかちょっと軽すぎる感じ。兄妹に見えるというのは大事だけど。枝折り戸を挟んでのやりとりなど、まるで漫才のコントみたい。誰がやってもここはおかしみのあるところだが、世話物の笑いとは違うと思う。義太夫狂言の面白さではなかった。海老玉で綺麗だからいいや、とは思わない。

海老蔵の平右衛門は生真面目にやっていて重さを感じる。低い身分の足軽の軽さがもう少しほしい。小身者の悲しさ、妹への愛情の方はよく出ていたけど。

幸四郎の由良之助は、貫禄や酔態の面白さなどはあるが、独特の台詞回しが聞きづらい。特に最後の九大夫を打擲しながらの台詞が間延びして緊迫感が薄い。名調子に自分が酔ってる感じに聞こえてしまった。

児太郎の力弥が成長を見せた。
仲居で小山三が出演。拍手をさらう。


十一段目 高家表門討入りの場
     同 奥庭泉水の場
     同 炭部屋本懐の場
   
大星由良之助 幸四郎
原郷右衛門 友右衛門
奥田定右衛門 宗之助
矢間重太郎 竹 松
富森助右衛門 廣太郎
大星力弥 児太郎
竹森喜多八 松 也
小林平八郎 獅 童

泉水の立ち回りは松也と獅童。若いだけに力任せというか、チャンバラっぽくなってしまっているのはどうかなあ。先日お母さんが亡くなった獅童ちゃん、応援の拍手一杯もらってたけど。頑張ってほしい。
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